動悸や寒がりは甲状腺疾患のサインの可能性も
早期の対応が重要
古淵駅前 まさき糖尿病・甲状腺クリニック
(相模原市南区/古淵駅)
最終更新日:2026/10/15
- 保険診療
動悸や疲れやすさ、寒がり、気分の落ち込みは、どれも日常的に感じやすい不調だが、その背景に甲状腺の病気が隠れていることがある。甲状腺疾患は症状が幅広く、ありふれた不調と区別がつきにくいため、健診で異常を指摘されて初めて意識するようになることや、複数の医療機関を回ったのちにようやく診断がつくことがあるという。「古淵駅前 まさき糖尿病・甲状腺クリニック」の正木嗣人院長は、北里大学病院で糖尿病や甲状腺疾患をはじめとする内分泌疾患を数多く診てきた。「自分には関係ないと思わず、まずは来ていただきたい」と語る正木院長に、甲状腺の働きや代表的な病気、健診で異常を指摘されたときの対応、検査の内容について詳しく聞いた。
(取材日2026年9月29日)
目次
症状が幅広く気づきにくい甲状腺疾患。「なんとなく不調」を見過ごさず、早めに相談を
- Q甲状腺とは、どのような臓器ですか?
-
A
▲明るく落ち着いた雰囲気の待合室で、リラックスして過ごせる
甲状腺は首の前側にある小さな臓器で、全身の代謝を整える甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺ホルモンは、エネルギーを使うか使わないか、コレステロールの代謝、心拍数や体温など、体のさまざまな働きに関わっています。意外なところでは、体重の増えやすさ、減りやすさも一部は甲状腺が要因です。このホルモンは狭い範囲で量が保たれていて、多すぎても足りなすぎても問題が起こるため、甲状腺に異常が起こると全身にさまざまな症状が現れます。当然のことながら、「甲状腺の異常」と一口に言っても、ホルモンが多すぎる場合と少なすぎる場合とでは真逆の症状となります。
- Qどのような症状があれば甲状腺疾患を疑うべきでしょうか?
-
A
▲気になる症状を丁寧に聞き取り、適切な検査や治療につなげる
ホルモンが多すぎると、動悸や手の震え、発汗の増加、体重減少、イライラなどが、少なすぎると倦怠感や寒がり、むくみ、気分の落ち込み、集中力の低下などが見られます。症状が幅広いため、「この症状が出たから甲状腺」とは判断しにくいのが難しいところです。実際、不定愁訴として耳鼻咽喉科や内科、精神科などを回った末に、紹介されて来られる方もいるため、各科の医師が、こういった症状で甲状腺を疑えるかどうかが、早期発見のためには重要だと考えています。「なんとなく不調」といった状態が続いている方や、症状があって受診しても原因がわからないと言われた方は、一度甲状腺内科を受診してみてください。
- Q代表的な甲状腺疾患にはどのようなものがありますか?
-
A
▲甲状腺疾患の早期発見の大切さについて語る正木院長
代表的なのが、バセドウ病と橋本病(慢性甲状腺炎)です。バセドウ病は甲状腺ホルモンを作りすぎる病気で、汗が増える、手が震える、心拍数が上がって動悸がする、体重が減るといった症状が現れます。一方、橋本病は甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気で、進行するとホルモンが十分に作れなくなり、脈がゆっくりになる、体重が増えやすくなる、寒がりになる、便秘傾向になるといった症状が特徴です。注意したいのがご高齢の方で、特徴的な症状がなく、認知症に似た症状だけが現れることもあります。認知症は進行性の病気ですが、認知障害がみられても甲状腺が原因であれば改善が見込めることもあるため、一度調べてみることをお勧めします。
- Q健康診断で甲状腺の異常を指摘されたらどうすればいいですか?
-
A
▲甲状腺の大きさや内部の状態を確認する超音波検査機器
健診で甲状腺の腫れなどを指摘されたら、「要経過観察」であっても放置せず、一度受診してください。甲状腺の異常は、ホルモンの値を測らないとわかりません。症状だけでは判断できないからこそ、専門的な検査で適切に診断することが大切です。専門的な検査といっても決して大がかりなものではなく、問診や血液検査、そして超音波検査で、甲状腺の腫れやサイズ、内部が均一に写っているかを確認すれば疾患名がある程度わかることが多くあります。当院では、甲状腺ホルモンの検査結果をその日のうちに確認できる体制を整えており、不安を抱えて来院された方に、当日中に診断の方針をご説明できるのが強みです。
- Q検査後、どのような治療を行うのですか?
-
A
▲甲状腺ホルモンなどの測定に対応
まず、今すぐ治療が必要かどうかを見極めます。健診で指摘されて来られた方の中には、異常が軽度で経過観察となることもあります。しかし「経過観察=何もしなくていい」ではなく、例えば海藻類や、ヨウ素を含むうがい薬を控えていただくなどの生活の助言もさせていただきます。治療が必要な場合ほとんどが薬物療法で、特に橋本病は、お薬のみで症状の軽減が期待できることがとても多いですね。バセドウ病も大半は薬で治療しますが、白血球が減って感染症にかかりやすくなる無顆粒球症や、肝機能障害、じんましんなどの副作用に悩まされて薬が使えないケースがまれにあり、その場合は手術や放射性ヨウ素を使ったアイソトープ治療が検討されます。

