正木 嗣人 院長の独自取材記事
古淵駅前 まさき糖尿病・甲状腺クリニック
(相模原市南区/古淵駅)
最終更新日:2026/07/29
JR横浜線古淵駅から徒歩30秒。「古淵駅前 まさき糖尿病・甲状腺クリニック」は、2026年5月に開院した糖尿病・甲状腺を専門とするクリニックだ。院長の正木嗣人(つぐと)先生は、北里大学病院で約15年にわたり糖尿病や内分泌疾患の診療経験を重ねてきた。勤務医時代、古淵周辺に糖尿病や甲状腺の専門クリニックがないことを課題に感じ、自らの手でこの地域に専門的な医療を届けようと開業を決意。明るく清潔感がありながらも、受付背面に重厚感のある素材を配した内装には、安心して受診できる雰囲気づくりへの正木院長のこだわりが詰まっている。正木院長の診療の魅力は、わかりやすい説明と患者一人ひとりに寄り添う誠実な姿勢にある。今回は、開業の経緯や診療方針、北里大学病院との連携体制などについて詳しく聞いた。
(取材日2026年7月15日)
糖尿病や甲状腺の専門医療を担い手不足の地域に届ける
まずは、古淵駅前で開業された経緯をお聞かせください。

北里大学病院に勤務していた頃から、古淵の周辺には糖尿病や甲状腺を専門に診るクリニックがごく少ないことを課題に感じていました。この地域にお住まいの患者さんを紹介しようにも適切な送り先が限られ、相模大野や町田まで足を運んでいただいていました。「本当はもっと近くで専門的に診てもらいたい」という声も耳にしていましたし、需要がないわけでは決してありませんでした。大学の中でも外でも外来を担当する機会が増える中で、それなら自分がこの地域で専門医療を届けようと考えたのが、開業に踏み切った一番の理由です。実際に「ここにできたので来ました」とおっしゃってくださる方もいて、この場所を選んで良かったと実感しています。
先生がこの分野を専門に選ばれた理由を教えてください。
2008年に北里大学を卒業後、そのまま北里大学病院で糖尿病や内分泌の領域を中心に約15年間、診療に携わってきました。もともと手技を磨くこと以上に、患者さんの訴えや検査値を多角的に読み解きながら病態を考えていく過程に魅力を感じていました。内分泌領域は、まさにそうした思考が求められる分野であり、自分に適した領域だと感じていました。症状だけでは原因がわかりにくい分、丁寧にお話を聞き、検査数値を組み合わせて「この状況だからこういう病態だろう」と考え抜く必要がある。そこに知的な魅力を感じて、この分野を専門に選んだのです。わかりにくい病気だからこそ、問診を通じて患者さんの状態を深く理解することが診断の出発点になります。そのプロセスは開業した今も変わらず大切にしています。
院内づくりや診療体制で、工夫された点を教えてください。

院内は全体を明るく清潔感のある空間にしつつ、最初に目に入る受付の背面には少し重厚感のある素材を使い、安心して受診していただける雰囲気をめざしました。待合室の座席は同じ方向を向く配置にして、患者さん同士の視線が交わらないよう配慮しています。また、発熱患者さんのための入り口は正面とは別に設けています。糖尿病の方は血糖管理の状態によっては免疫面への配慮が必要になりますので、一般の診察と動線を分けることが大切になるのです。診療体制の面では、北里大学病院との連携を開業後も継続しています。入院が必要な方を速やかに紹介したり、病状が安定した方を大学から受け入れたりと、双方向のやりとりが日常的に動いている状況です。
一人ひとりに合った治療を、一緒に探していく
糖尿病の治療で、特に大切にされていることを教えてください。

血糖値が上がる理由は患者さんによって異なります。遺伝的に血糖値が上がりやすい方もいれば、生活環境の影響が大きい方もいて、それらが複雑に絡み合っていることがほとんどです。それと同時に、教科書的なことだけをお伝えしても、実際の生活では実践が難しいケースも少なくありません。例えば1日3回のインスリン注射が必要でも、お仕事の都合でどうしてもできないという場合もあります。そういう場合は、できる範囲で最善の方法を一緒に探していきます。そのためにまず大切にしているのが問診です。初診ではかなりの時間をかけて生活背景や血糖値が上がる要因を細かくお聞きし、その方に合った治療の方向性を一緒に組み立てていくようにしています。
甲状腺や内分泌の疾患について、専門の医師に相談する意義を教えてください。
ホルモンの異常による病気は、症状だけでは原因にたどり着きにくいのが特徴です。疑わなければそもそも検査をしませんし、検査をしなければ診断にも至りません。私は北里大学病院で糖尿病や甲状腺疾患をはじめとする内分泌疾患を数多く診てきましたので、「この症状の裏にホルモンの異常があるかもしれない」というアンテナを常に張っています。複数の内科を回っても原因がわからなかった症状が、検査することで初めて診断がつくということもあり得ます。また、甲状腺ホルモンや血糖値についてはその日のうちに結果が出る検査機器を導入していますので、心配を抱えて来院された方にその場でお答えできるのも強みの一つです。
診療の際に工夫されていることはありますか?

糖尿病は痛みなどの自覚症状が乏しく、ご自身の状態を深刻に受け止めにくい方もいらっしゃいます。そうした方には、将来どのようなことが起こり得るかを時間をかけて繰り返しお伝えするようにしています。一度では伝わらなくても、説明を重ねるうちに信頼関係が生まれ、「やってみようかな」と治療に向き合ってくださるようになると考えています。私だけが頑張っても、患者さんだけが頑張っても、うまくいきません。お互いのめざす方向が一致したときに初めて治療が動き出す、その瞬間にやりがいを感じます。スタッフからは「診察室を出ると患者さんの表情が変わる」と聞くこともあり、思いが伝わっているのかなとうれしく感じています。当院には糖尿病療養の専門知識を持つ看護師が常勤している他、管理栄養士による栄養相談も行い、多方面から皆さんをサポートしています。
「ここに来て良かった」と思ってもらえるクリニックへ
今後、この地域でどのような存在でありたいですか?

まず、古淵の近くに糖尿病や甲状腺を専門に診るクリニックができたということを、地域の皆さんに知っていただきたいですね。先ほど申し上げたとおり、この周辺にはこれまで専門的に診られる場所が少なく、大学病院に患者さんが集中しやすい状況がありました。ただ、病状が安定している方であれば大学病院でなくても、クリニックで十分に対応できることは多いんです。重症の方は大学病院へ、安定した方は地域の専門クリニックで。そうした役割分担が広がれば、お一人お一人により丁寧に向き合う時間が生まれ、この地域全体の医療の質も高まっていくと考えています。そして何より、受診してくださった方が「ここに来て良かった」と感じてくださるクリニックでありたい。それが今の一番の目標です。
受診をためらっている方に向けて、伝えたいことはありますか?
健康診断で「要経過観察」と言われたまま何年も放置してしまう方は、実は少なくありません。「経過観察」と「何もしなくていい」はまったく違いますので、そこだけは誤らないでいただきたいですね。糖尿病は早い段階で対処するほど選択肢が広がります。食事の見直しだけで改善が見込めることもありますし、もう少し進んでいても服薬で日常生活を大きく変えずに済む場合もあるんです。逆に、後回しにするほど選択肢は狭まってしまいますので、やはり早めにご相談いただくのが大切だと思います。甲状腺についても、動悸や倦怠感、寒がりといった症状が続くようであれば、お気軽にご相談ください。結果的に異常がなかったとしても、「心配ない」とわかることが安心につながりますからね。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

予防の観点からお伝えすると、規則正しい食生活と、日常の中で少しだけ活動量を増やすことが大切です。本格的な運動でなくても構いません。通勤時に階段を使ったり、帰り道を少し遠回りしたりするだけでも十分に有用ですし、間食を控えるといった小さな積み重ねが将来の大きな違いにつながります。実は私自身、ランニングが趣味でフルマラソンにも出場していました。患者さんに運動や生活改善を勧める立場として、自分自身がお手本でありたいという思いがあるんです。開業の準備で少し遠のいてしまいましたが、落ち着いたらまた再開するつもりです。体調の変化や健診の結果が気になったときに、気軽に相談できる場所がここにあることを知っていただければうれしいですね。

