神前 格 院長の独自取材記事
関目内科・血液内科クリニック
(大阪市城東区/関目高殿駅)
最終更新日:2026/04/03
関目高殿駅から徒歩5分。白とグリーンを基調とした明るい院内が印象的な「関目内科・血液内科クリニック」は2026年に開院。日本血液学会認定血液専門医がいるクリニックであることから、開院前からすでに大規模病院より患者のフォローを依頼されている。院長の神前格(こうざき・ひとし)先生は東京大学医学部を卒業後、大学病院や総合病院で血液疾患と膠原病の診療に長年携わってきた。血液内科を志した原点には、大学在学中に身内を血液疾患で亡くした経験があるという。患者家族としての痛みを知る医師だからこそ、「患者さんのお話はすべて聞く」という言葉に揺るぎない重みが宿る。穏やかな語り口の中に医学に対する厳格な思いをのぞかせる神前院長に、診療への思いや今後の展望を聞いた。
(取材日2026年3月23日)
身内の血液疾患を原点に、血液専門医の道へ
まずは、こちらのクリニックについて教えてください。

当院の特徴は、血液専門医がいるクリニックである点です。こうした体制のクリニックは少なく、開院前から2つの大きな病院より「経過の安定した患者さんのフォローをお願いしたい」とご依頼をいただきました。大規模病院の血液内科の外来はどこもいっぱいで、血液疾患の患者さんを安心して任せられるクリニックが求められているのです。当院はそうした専門病院との連携の窓口としての役割を担いながら、生活習慣病や風邪など内科全般も幅広く診療しています。院内は明るい雰囲気を大切にし、キッズスペースやおむつ替えのできる広いトイレも備えました。私はかつて京阪本線で関目付近を通って高校に通っておりまして、この土地にはご縁を感じています。
先生が医師を志し、血液内科を選ばれた経緯を教えてください。
血液内科を選んだきっかけは、大学在学中に身内を血液疾患で亡くしたことです。大学5年の時のことでした。それまでは漠然と内科に進もうとは考えていたものの、その中で何を専門にするかはまだ決めていませんでした。家族の病気に直面して、自然と血液内科の道に進もうという気持ちが生まれたのです。振り返ってみれば、私は医師になる前にまず患者の家族という立場を経験したことになります。家族として病気と向き合った日々があったからこそ、患者さんやそのご家族がどのような思いでいらっしゃるか、少しは想像できるのではないかと思っています。その原体験が、一人ひとりの患者さんに向き合う今の診療姿勢にもつながっていると感じています。
その後、どのような環境で研鑽を積まれたのですか?

卒業後に入局したのは東京大学医学部の物療内科学教室で、膠原病と血液疾患の両方を扱う教室でした。そこで血液疾患だけでなく膠原病の診療についても多くの経験を積むことができたのは、今振り返るととても大きかったと感じています。その後は大学病院や研究所、総合病院とさまざまな医療機関を経験してきました。多様な環境で研鑽を重ねる中で改めて実感したのは、内科というのはそもそも体全体を診る学問だということです。まず内科全般をしっかり診られる力があって、その土台の上に自分の専門がある。当院でも血液内科を専門としつつ、高血圧症や糖尿病といった一般的な内科疾患に対応するのは当然のこととして診療にあたっています。
患者の声をすべて聞き、一人ひとりに向き合う診療を
血液疾患の患者さんに対して、どのような診療をされるのですか?

血液疾患の中でも、クリニックレベルで最も多く診るのは鉄欠乏性貧血をはじめとする貧血です。貧血は一般の内科でも対応できますが、やはり血液専門医の目で診ることで適切な判断につながる面はあると思います。もう一つの大きな役割は、大規模病院の患者さんのうち、寛解に至った方のフォローです。例えば1回の採血と内服薬の管理で経過が安定している段階の方を、当院で継続的に診ていくことができます。病院から症状が安定している方をご紹介いただく一方で、状態に変化があれば速やかに専門施設へおつなぎする。そうした形で病院と連携しながら、患者さんが地域で安心して過ごせるようお支えしていきたいと考えています。疾患ごとに、お一人お一人の状態に応じた対応を大事にしています。
他に力を入れている診療はありますか?
先ほどお話ししたように、膠原病についても豊富な診療経験があります。SLE(全身性エリテマトーデス)や皮膚筋炎、多発性筋炎といった疾患を長年にわたり数多く診てまいりました。こうした疾患も血液疾患と同様に、大規模病院で確定診断を受けて治療方針やお薬が定まり、状態が安定した段階の方を当院でお引き受けし、継続的にフォローしていくことを想定しています。診察の中で膠原病が疑われるサイン、例えば関節の痛みや皮膚に変化が見られるような場合には、速やかに専門施設へご紹介もいたします。その他風邪やインフルエンザといった日常的な疾患にも対応しており、胸部エックス線も備えていますので、発熱時に肺炎の有無を確認することもできます。
診療にあたって大切にされていることを教えてください。

大切にしているのは、患者さんのおっしゃることをすべて聞くということです。ただ、患者さんのリクエストに全部応じるかというと、それは別の話だとご理解ください。お気持ちはしっかり受け止めた上で、医学的に適切な判断を優先させていただきます。私はよく「ポリシーはない」と言うのですが、これは自分の流儀や過去の成功体験に頼ってはいけないという意味です。以前うまくいったからといって同じやり方をすべての方に当てはめるのは危ういことでしょう。人間の体は千差万別ですから。まず標準的な治療として推奨されているものをお示しし、その上で選択肢をご説明する。患者さんの理解度に合わせてかみ砕いてお伝えすることもあれば、よくご存じの方には専門的な用語を用いることもあります。
体のことが気になったら、いつでも気軽に相談を
受診の際に、患者さんにお願いしたいことはありますか?

お願いしたいのは、ご自身の体に起こっていることを、できる範囲で整理してからいらしていただくことです。いつ頃からどんな症状が出て、どう変わってきたかという時系列を、頭の中でまとめておいていただけると診察がスムーズに進みます。もちろん完璧にまとめる必要はまったくありません。足りない部分は私のほうから質問して補っていきますので、ご安心ください。ただ、手がかりが何もない状態ですと判断が難しくなりますから、ご自身でまとめられるものはまとめてきていただけると助かります。私はかつて『患者学』という本を書いたことがありまして、そこにも受診の際の心構えについて詳しく記しています。ご興味があればぜひお読みいただければと思います。
今後の展望についてお聞かせください。
血液疾患や膠原病の患者さんの窓口となり、寛解後のフォローをしっかり担う医療機関でありたいと考えています。血液専門医がいるクリニックはまだまだ少ないですから、大規模病院との橋渡し役として、患者さんが地域で安心して通い続けられる場所にしていきたいのです。当院で対応が難しい場合には専門施設へおつなぎしますし、逆に病院から安定した患者さんをご紹介いただくこともあります。もちろん、専門的な疾患をお持ちの方だけをお待ちしているわけではありません。体調に気になることがあればどなたでも、いつでもいらしてください。内科のかかりつけ医として、皆さんが健康でいるためのお手伝いができればと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

体の調子がおかしいなと感じたり、何か疑問に思うことがあったりしたら、どうぞいつでもご相談ください。当院は血液内科を専門としていますが、内科というのは、そもそも体全体を診る診療科です。血液の病気でなくても、どのような症状であれ、まずは拝見いたします。私にできることはしっかり対応させていただきますし、必要に応じて適切な医療機関へおつなぎもします。少し診療を離れた話になりますが、私は趣味でキンカンやレモン、ユズといった柑橘類を育てています。手をかけてじっくり向き合うと、ちゃんと実をつけて応えてくれるんですよね。日々の診療でも、お一人お一人の患者さんに丁寧に向き合っていくことを大切にしていきたいと思っております。

