「年のせい」で片づけないで
手術以外の選択も多い変形性膝関節症
高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック
(港区/高輪ゲートウェイ駅)
最終更新日:2026/04/06
- 保険診療
柔軟な曲げ伸ばしによって地面からの衝撃を吸収し、歩行や立ち座りといった動作時の体重を支える膝。知らず知らずのうちに負担が蓄積し、慢性的な痛みや違和感につながることが少なくない。膝の痛みは「年のせい」で片づけられることが多いが、明確に痛めた覚えがない場合、クッションの役割を担う膝の軟骨がすり減って炎症や変形を引き起こす「変形性膝関節症」の可能性がある。変形性膝関節症の原因は肥満や体の動かし方、筋力の低下、過去のけがなど多岐にわたるため、精密な診断で原因を見極めることが根本解決と再発防止の鍵だ。変形性膝関節症の保存療法に力を入れる「高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック」の松崎時夫院長に話を聞いた。
(取材日2026年3月17日)
目次
複合的な原因の見極めが鍵。適切な保存療法と個別リハビリテーションで、痛みの根本解決と再発防止をめざす
- Q膝の痛みが起こる原因を教えてください。
-
A
▲患者一人ひとりに合った治療を提案する松崎院長
膝の痛みは、病院を受診しても「特に異常はない」「年齢的にやむを得ない」と言われるケースが多く、「年のせいだから仕方ない」と諦めて暮らしている患者さんが少なくないようです。確かに加齢も一つの原因ですが、実際には体重増加や筋力低下、過去のけが、日常動作の癖など、複数の要因が複合的に重なって変形性膝関節症を発症していることがほとんどです。膝関節は体重の負荷を受けやすく、体のバランスがわずかに崩れているだけで負担が蓄積して痛みにつながります。根本的な解決を図るには、精密な検査と診断で原因を見極めることが重要です。
- Qエックス線検査では「異常なし」でも痛むのはなぜですか?
-
A
▲エックス線検査をはじめ、必要に応じて多角的な評価を行う
エックス線検査は、主に骨折や骨の変形などを確認するためのものです。そのため、軟骨や半月板、靱帯、筋肉などに問題がある場合、エックス線検査では原因を解明することができません。実際、エックス線検査で異常がなくても、MRIを撮ると半月板損傷や初期の軟骨の損傷が見つかることはよくあります。また、歩き方の癖や筋力バランスの偏りによって膝に負担が集中している場合も、エックス線検査での判断は困難です。当院では、歩行解析や姿勢解析、スポーツの現場でも採用されている筋力計測器などを使って体の動きやバランス、筋力を定量的に評価することで、原因を多角的に探っていきます。
- Q膝の痛みの治療は、ヒアルロン酸注射が中心でしょうか?
-
A
▲検査結果を見える化し、治療方針への納得感を高めている
変形性膝関節症の場合、症状の進行度に合わせて保存的治療を行い、それでも改善しない場合に手術的治療が検討されます。ヒアルロン酸注射は、変形性膝関節症を含む膝の痛みに検討される代表的な保存療法の一つで、体への負担が少ないこともあって最初に選択されることが多いでしょう。潤滑油の役割を担う関節液を物理的に補うことで、関節の動きが滑らかになることが期待でき、炎症を抑えるよう促し、痛みの軽減が見込めます。ただし、ヒアルロン酸は、あくまで選択肢の一つに過ぎません。症状が進んでいたり、膝の痛みを誘発する別の原因があったりする場合は有用性が出にくいため、ほかの保存療法も検討する必要があります。
- Q変形性膝関節症の標準的な治療には他にどんなものがありますか?
-
A
▲筋力やバランス、歩行の癖を評価し、根本改善と再発防止をめざす
代表的なものにリハビリがあります。当院のリハビリは、データをもとに筋力や関節の動き、歩行時のバランスなどを総合的に見直し、個別にプログラムを作成している点が特徴です。姿勢や歩行が膝の痛みを誘発している場合には、他の治療法と並行してリハビリプログラムを行うことで根本的な改善をめざすことができるでしょう。また、当院では、新しい研究に着目してより進んだ医療を患者さんに提供できないかと学び続けています。痛みの程度などに応じて医師と相談し、自分に合った治療法を選んでいただけたらと思っています。
- Q新しい保険適用の治療法もあると聞きました。
-
A
▲手術以外の選択肢も含め、幅広い保存療法を提案
近年は、変形性膝関節症で慢性的な痛みがあり、既存の保存療法で状態が改善しない方に対して行うラジオ波焼灼療法が保険適用になりました。ラジオ波焼灼療法は、痛みがある部分の神経の一部を焼灼し、脳に伝わる痛みの信号を一時的に遮断するよう図ることで、痛みの軽減をめざす方法です。なかなか痛みが引かないけれども合併症などで手術が難しい方や、そもそも手術に抵抗がある方には、有用な選択肢だといえるでしょう。当院では、ラジオ波焼灼療法を含めた多様な選択肢から、患者さん一人ひとりに適した治療を提案しています。

