真弓 絵里子 院長の独自取材記事
エクシアクリニック東京
(中央区/京橋駅)
最終更新日:2026/04/16
都営浅草線宝町駅から徒歩1分、東京メトロ銀座線京橋駅から徒歩3分の場所に「エクシアクリニック東京」はある。2025年に開業した内科・循環器内科のクリニックで、院内に足を踏み入れるとまず目を引くのは畳敷きの和室。帰り際にここで休息する患者もいるという、穏やかな空気が漂う空間だ。院長の真弓絵里子先生は、基幹病院での急性期医療の経験をはじめ、介護施設や健診施設の立ち上げなど多彩な経験を経て予防医学の道へ進み、患者やスタッフに背中を押される形でこの地での開業を決めた。診療の根幹にあるのは、患者の物語に耳を傾ける対話の姿勢だ。「医療だけでは人は健やかになれない」と穏やかに語る真弓院長に、独自の歩みと診療への思いを聞いた。
(取材日2026年3月13日)
縁に導かれ、人のつながりで生まれたクリニック
まずは、先生が医師を志されたきっかけをお伺いします。

祖父と父が医師で、私は3代目になります。幼い頃から祖父の診察室が遊び場で、来院される地域の皆さんに家族のように見守られて育ちました。父が自宅で開業したのはちょうど私の小学校入学の頃で、ランドセルを患者さんに見せに行ったり、帰宅すると「お帰り」と声をかけていただいたりと、医療と生活が自然に溶け合った環境でした。こうした温かな関わりの中で人生を歩みたいと思い、父のような医師を志すようになりました。
内科の中でも循環器を専門に選ばれた理由を教えてください。
循環器を選んだきっかけは恩師とのご縁です。医師になって3年目の頃、つらい経験から一度だけ医師を辞めようと思ったことがありました。その時、循環器科の恩師が「辞めるなら研修医に戻ったつもりで僕を手伝ってくれない?」と声をかけてくださったんです。循環器を専門としていたわけではなかったので、自分の状況を正直に話すと「循環器を学ぶチャンスを取っておいてくれたんだね」と言ってくださり、その言葉が私に勇気を与えてくれました。その後、母が祖父を介護した経験から介護施設で働く人の力になりたいという思いを知り、母の念願でもあった介護施設の立ち上げに関わり11年間施設長として従事しました。現場でご高齢の方々と向き合う中で、もっと早い段階で予防ができれば健康寿命を延ばせるのではないかと考えるようになり、健診施設の立ち上げを経て予防医療の道へ進みました。
この京橋の地で開業された経緯をお聞かせください。

私は育ててもらった香川に貢献したいという想いが強く、東京での開業は夢にも思っていませんでした。ただ、都内で勤務医として働く中で、スタッフと患者さんから「先生の経験を生かした理想のクリニックをつくってほしい」と背中を押していただいたんです。この院内の設計と施工を担当してくださったのも患者さんで、今も関わってくださっています。以前の勤務先が東京駅や銀座の近くだったこともあり、通ってくださっていた方が引き続き通いやすい京橋エリアで物件を探しました。ところがこれだと思う物件がなかなか見つからず、開業は難しいかもしれないと思い始めた頃、散歩中にこのビルのほうき店が目に留まりました。江戸時代から続く老舗で、なぜか気になったんです。すると、偶然同じビルの2階にご縁があり開業に至りました。人生の節目には不思議と良いご縁が巡ってくることを改めて感じました。
患者の物語に耳を傾け、心が緩まる空間をつくる
クリニック名の「エクシア」の由来やロゴに込めた想いを教えてください。

「エクシア」は造語で、エクセレントやエクストラ、エクササイズの「エク」と幸せの「シア」を組み合わせた言葉にしました。ロゴは循環器科にちなみハートをモチーフにしています。砂時計には健康寿命を延ばしたいという願い、ハートの形は耳を模していて、患者さんの声に耳を傾けてしっかり聴かせていただくという想いを込めました。特に「耳を傾ける」という部分は私の診療の根幹で、患者さんの語りを大切にするナラティブ・メディスンという医療概念を知ったときも自分の診療とつながるものを多く感じたのです。病気にはその方の人生や生き方にヒントや原因があると考えているため、対話の中から一緒にそれを探り、例えば血圧が高ければただ下げるのではなく、なぜ上がるのか、血管をしなやかに保つにはどうするかをともに考える。そうした本質的な診療を大切にしています。
院内の空間づくりでこだわったポイントはありますか。
一番こだわったのは和室です。畳には空気浄化作用や吸湿性があるといわれますし、ヒノキにはリラクゼーション効果があるといわれています。何より地べたに座ったり横になれたりする場所は、心身の緩みにつながります。実際に仕事帰りの患者さんが和室でゴロンと横になって休んでいかれたり、お母さんの診察中にお子さんに和室で過ごしてもらったりと、自由に使っていただいています。もう一つのこだわりは照明ですね。「疲れているときに明るい光がつらい」という声を患者さんからいただいていたので、全室に調光式の照明を入れました。片頭痛の方には暗めに調整するなど、一人ひとりに合わせた対応ができます。「リラックスして過ごせる」と言っていただけることが増えており、その言葉がうれしいですね。
特に力を入れている診療についてお聞かせください。

生活習慣病の予防と治療が当院の柱です。高血圧や糖尿病、肥満症などに対する保険診療をしっかり行うことを基本に、運動に関するアドバイスまで一貫してサポートできる体制を整えました。院内にトレーニングルームを設け、トレーナーと連携しています。検査データを医療従事者とトレーナーで共有し、その方の体調やリスクを踏まえた上で安全性に配慮して運動していただける点が特徴です。また循環器内科として、心臓超音波検査や頸動脈エコーをその場で行える環境も整えました。診療は昼休みなしの通し体制にしていますので、お昼の時間にさっと立ち寄って短時間のトレーニングだけして帰られる方もいらっしゃいます。忙しい方にこそ気軽に使っていただきたいですね。
医療の枠を超え、心身ともに整う場所をめざして
先生の診療を支えるチームについて教えてください。

チームの土台にあるのがスタッフとの信頼関係です。スタッフが元気でなければ良い医療は提供できませんから、体調管理やご家族のことにも気を配っています。ありがたいことに、いくつもの職場を経験する中でずっとついてきてくれたスタッフがいて、日々の診療はその共感と協力で成り立っています。患者さんだけでなく、働く側も整える場でありたいと思っています。
今後、さらに取り組んでいきたいことはありますか。
今後特に力を入れたいのは、更年期の方への対応です。生活習慣病や動脈硬化の進行にはホルモンバランスも深く関わっていて、例えば女性ホルモンの低下が骨粗しょう症のリスクにつながることはよく知られていますよね。こうした領域は泌尿器科や婦人科の専門になりますが、全人的に診るという視点から、それぞれの専門の先生方と連携して一緒に診させていただくことで、より効率的な診療をめざしたいと考えています。また、京橋というオフィス街にあるクリニックとして、忙しい方が短い時間でも立ち寄れる場でありたいですね。平日のお昼にさっと相談に来られる方もいれば、土日しか時間が取れない方もいらっしゃいます。そうした一人ひとりの生活リズムに寄り添いながら、この地域に貢献していきたいと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

お子さんから人生の先輩方まで、どんな些細なことでも気軽にご相談いただけたらうれしいです。専門外のことであれば適切な専門の医師にきちんとおつなぎしますし、迅速な対応を心がけています。「これくらいの不調なら大丈夫かな」と思っているところにこそ、実は大切なサインが隠れていることがあります。症状がなくても対話の中から気づきが生まれて、検査をしたら早期に見つかったというケースも少なくありません。そうしたきっかけになれることが、私が医師として生かされている意味であり、喜びだと感じています。どんなお悩みでも丁寧にゆっくりお話を聞かせていただきますので、安心してご相談ください。

