田川 徹平 副院長の独自取材記事
田川クリニック
(横浜市瀬谷区/瀬谷駅)
最終更新日:2023/02/02
瀬谷駅より徒歩6分。閑静な住宅街にある「田川クリニック」は、消化器疾患をはじめ、風邪からちょっとしたケガまで、家族ぐるみで幅広くかかれるかかりつけ医として、地域に根差したクリニックだ。2代目となる田川徹平副院長は内視鏡検査とがん治療のエキスパート。2017年に副院長に就任したのを機に、同院でも内視鏡検査に力を入れてきた。最近は瀬谷地区のみならず、横浜や大和、相模原方面からも患者が訪れるという同院ならではの内視鏡検査や診療について、朗らかに笑う田川副院長にじっくり聞いた。
(取材日2020年8月21日/更新日2022年12月7日)
困った時に最初に相談できる窓口として地域貢献
まずはこちらの特徴について教えてください。
当院は約30年前に父である院長が開院した消化器内科を専門とする内科のクリニックです。父は小学生くらいのお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、家族みんなで安心して通える「町医者」として診療してきました。診療科目は風邪や腹痛から生活習慣病、何科を受診すればいいかわからないような体調不良まで幅広く対応しています。開院当初から通ってくださる患者さんも多く、通院が困難になった方には訪問診療にも対応しており、生涯を通じてホームドクターとして務めさせていただきます。3年前に私が副院長に就任してからは内視鏡検査が加わり、消化器内科系の疾患であればクリニック内でほぼ対応できるようになりました。
先生は大学病院で活躍されてきたそうですね。
昭和大学病院の消化器内科に入局し、同院をはじめ関東労災病院や国立がん研究センターなどで内視鏡の検査や治療、研究に携わってきました。これらの病院では重症例や難症例が多く、抗がん剤治療を専門とする腫瘍内科ではがんで亡くなる患者さんもたくさん診てきました。こうした経験を通じて、「ここまで重症化する前に、もっと初期の段階でがんを見つけることができていたら」と強く思うようになり、父と一緒に患者さんにとって最初の窓口となるクリニックでの診療に携わることを決意。副院長に就任して良かったと思うのは、大学病院では患者さんとゆっくり向き合う時間が取れなかったのに対し、こちらでは一人ひとりの患者さんのお話をじっくりお聞きし、家庭環境や生活習慣などを含めた診療や、より親身な対応ができることです。
先進の検査機器を導入するなど、クリニックのバーションアップにも力を注がれたそうですね。
開院当時、この辺りにはクリニックがほとんどなかったこともあり、父は内科全般からケガまで幅広く対応していました。特に専門である消化器内科については、患者さんがあちこちの病院に行かなくて済むよう、エックス線や超音波検査装置に加えて、CT検査装置までそろえていましたが、私が加わったのを機に内視鏡を導入しました。これらの検査を組み合わせることで、消化器疾患の検査をほぼカバーできるようになり、気軽に通えるクリニックでありながら、より早く確定診断につながるような専門性の高い検査を提供できるのが当院の強みだと思います。さらに電子カルテやウェブ予約システムなどを導入し、待ち時間を短縮。もともとアットホームなクリニックで、スタッフと患者さんの距離が近いのが当院の魅力ですが、スタッフ自身が専門性を高めることで、より患者さんの力になれるよう勉強会も行っています。
大学病院レベルの内視鏡検査をクリニックで提供
こちらで行っている内視鏡検査について教えてください。
大学病院と同等の病変発見率を得るために、先進的な内視鏡システムを導入し、詳細な画像診断が可能となっています。内視鏡検査は、これまでのバリウム検査と比べて苦痛が少なく、精度の高い検査を行えるようになりました。初期の胃がん・大腸がんの発見に有用なだけでなく、早期の食道がんの発見にも内視鏡検査が役立つことも知っていただければと思います。現在も週1回大学病院で指導していますが、そちらで行うものとまったく変わらないレベルの検査を提供できるように心がけています。また、上部内視鏡検査(胃カメラ)、下部内視鏡検査(大腸カメラ)ともに、細いスコープを採用しており、いずれも鎮静薬を使用して、うとうととした状態で検査を受けることも可能です。痛みや苦痛に対しても配慮できるので、安心して相談していただきたいですね。
セカンドオピニオンにも対応されていると伺いました。
近年は内視鏡検査を行うクリニックが増えたこともあり、胃がんの早期発見につながりやすくなったことから、胃がんは不治の病ではなく、予防できる時代ともいわれるようになりました。それにもかかわらず、迷走してしまう方が一番多い病気ががんだと思います。大学病院でも、きちんと治療を受けられればもっといい未来が待っているのにと思う患者さんを何人も見てきました。当院にも抗がん剤に関する質問や、「別の病院でこう言われたけれど、どうすればいいでしょうか」と、遠方からセカンドオピニオンの相談に来られる方が増えてきています。大学病院では多くの症例に携わってきたので、抗がん剤の副作用のことや検査・治療についてもできるだけ親身にお答えしています。また、診断の結果、専門的な検査や治療が必要な場合は、大学病院やがんセンターと連携した診療も行っています。
睡眠時無呼吸症候群の診療にも取り組まれているそうですね。
実は院長である父のいびきがすごくて、夜寝ている時に呼吸が止まっているのが気になっていたので検査をしたところ、睡眠時無呼吸症候群でした。早速、CPAPという睡眠中に気道を広げて無呼吸を防止する目的の治療を始めました。父の様子を見て、「ぜひうちの患者さんにも!」と、当院でも睡眠時無呼吸症候群に取り組むことにしました。家族からいびきや睡眠中に呼吸が止まると指摘された方や、日中の眠気や倦怠感が続く方はご相談ください。
胃がん・大腸がんによって亡くなる人をゼロにしたい
印象に残っている患者とのエピソードを教えてください。
腫瘍内科にいた時に、担当していた患者さんが亡くなる前に、「先生が主治医で良かった」と言っていただけたことでしょうか。先のことが予想できる患者さんでも、われわれは最後まで痛みの緩和やケアに努めますが、治療のかいなく、患者さんが亡くなるというのは医師にとってもかなりつらいことです。私にできるのは、地道に患者さんのもとへ顔を出し、話を聞くことでした。重篤な患者さんの場合は、ご家族とお会いする機会も多く、患者さん本人と同じくらいご家族のメンタルへの配慮が必要です。多くの患者さんががんで亡くなるのを見てきたからこそ、これからはがんが原因で命を落とさせないための医療に力を注ぎたいというのが今の率直な思いです。
今後の展望をお聞かせください。
横浜市の中でも瀬谷区はがん検診の受診率がとても低いことが、医師会でも課題となっています。今は精度を追求した内視鏡検査によってがんが早期に発見されるケースが増えただけでなく、臓器を丸々残して内視鏡治療を行うことも可能な時代です。ぜひ定期検診を受けていただき、自覚症状の出る前の早期発見・早期治療に結びつけていただきたいですね。そのためには、内視鏡検査のハードルを下げることが大切だと思っています。体への負担の少ない内視鏡カメラを使い、土曜日にも検査を実施するなどしていますが、今後もより内視鏡検査のハードルを低くできるよう工夫していきたいですね。ゆくゆくは瀬谷地区から胃がん・大腸がんで亡くなる方をゼロにしようという気持ちでスタッフ一同頑張っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
インターネットには明らかに誤った情報がもっともらしく紹介されていることも少なくありません。情報が錯綜する中、最新の正しい情報を伝えるのもかかりつけ医の大切な役割だと思っています。そんな思いもあって、当院のホームページではさまざまな症状から自分の病気は何か見当をつけられるよう逆引きできる内容になっています。たとえ当院を受診されなくても、当院のホームページが誰かのお役に立てればという思いで作りました。私はこれまで「忙しいから」「面倒だから」という理由で検査を後回しにしている間にがんを悪化させてしまった患者さんを大勢見てきました。もし気になる症状があれば、すぐに信頼できる医師に診てもらうことをお勧めします。そしてこれはすべての方に言えることですが、定期検査をしっかり受けてほしいと思います。当院にご相談いただければ、できるだけ速やかに親身の対応をいたしますので、お気軽にご相談ください。