小関 聡 院長の独自取材記事
小関産婦人科医院
(横浜市旭区/二俣川駅)
最終更新日:2026/03/02
相鉄本線・二俣川駅南口バスロータリーからすぐの「小関産婦人科医院」は、長年にわたり二俣川エリアを中心に多くの女性の健康を支えてきた。産科・婦人科に加え、一般内科診療にも対応し、世代を超えて通える「町のかかりつけ医」として地域に根づいている。院長の小関聡先生は、患者一人ひとりの声に丁寧に耳を傾け、その人の背景やライフステージに合わせた医療を大切に提供してきた。近年は、若い世代からの月経トラブルの相談に加え、産後や育児期の悩み、ワクチンに関する相談も増えているという。「困った時だけ来る場所ではなく、人生を通じて付き合っていける産婦人科医院でありたい」。そんな想いを胸に早期からの受診を推進する小関院長に、現在の取り組みや今後の展望について話を聞いた。
(取材日2025年12月22日)
生涯体の変化を見守り、女性のトータルヘルスを支援
クリニックの歩みをお聞かせ願えますか。

1964年、私が5歳の時に父が開業したのが始まりで、1971年に現在の場所へ移転しました。私は大学卒業後、病院勤務を経て1990年頃から診療に加わり、2008年に2代目院長に。今でも父の代から通ってくださる方がいらっしゃいますし、母娘孫3代で通院されるご家庭も。現在、分娩は扱っておらず妊婦健診が中心ですが、国際親善総合病院を軸とした産科セミオープンシステムを活用しています。妊婦健診は身近なクリニックで、分娩や合併症の管理は設備の整った病院で行うという役割分担です。私自身も週1回、国際親善総合病院で外来を担当し、精密検査や経過観察が必要な患者さんを診ています。こうした連携は患者さんにとって安心なだけでなく、医師同士で知見や経験を共有できるという意味でも重要だと感じています。
最近、新たに始められた取り組みがあると伺いました。
助産師の人数を増やし、母乳指導を本格的に行う体制を整えました。完全予約制で、赤ちゃんと一緒に来ていただき、実際の授乳の様子を見ながら指導します。急性乳腺炎が起きている場合なども、迅速に対応をします。産後は不安が一気に増える時期ですが、医療が介入しにくくなる難しさがあります。だからこそ、地域の中で完結できる相談先が必要だと考えました。出産した施設が遠いと、何か相談したいことがある時に行きづらさを感じる方もいらっしゃるでしょう。助産師は、授乳や育児の細かな部分まで対応できる専門職ですので、地域での産後ケアの一環として重要な役割を担ってくれると考えています。
子宮がん検診について教えてください。

横浜市の子宮頸がん検診がHPV検査に移行して1年ほどたちました。最初は浸透していませんでしたが、最近では制度への理解が広まりつつあるのか、希望者が増えています。検診はがんを見つけるためだけのものではありません。検診を女性のトータルヘルスケアの入り口の一つとし、生涯を通じて体の変化を見守っていく姿勢が大切なのです。検診をいい機会として捉えていただき、検査についてだけでなく、生理のことや体調のこと、娘さんのワクチン接種状況など、さまざまなお話をすることが重要だと考えます。ただ、HPV検査で異常がなければ次は5年後の検査となるため、それだけで安心してしまうと5年の間に他の疾患を見落とす可能性があります。何か気になる症状があれば、検診の時期を待たずに早期に受診してほしいですね。
一人で悩まないで。10〜20代からの相談も増加傾向
ワクチンについての取り組みも教えてください。

妊婦さんへのRSウイルスワクチン接種も積極的に行っています。RSウイルスは新生児が感染すると重症化しやすい感染症ですが、妊娠中にお母さんにワクチンを接種することで、胎盤を通じて赤ちゃんに免疫を届けることが見込めます。2026年4月1日以後は定期接種の対象となり無料で接種できます。ぜひ検討していただきたいですね。また、HPVワクチンはキャッチアップでも接種できなかった方が多く、そこは課題だと感じています。女子だけでなく男子への接種も重要だと考えています。男性自身のがん予防も図れますし、結果的に子宮頸がんを減らすことにもつながります。今後とも社会全体で考え続けていく必要がありますね。
中高校生からの相談も増えてきているそうですね。
もともとお母さんが娘さんを連れてくるケースが多く見られていたのですが、最近はクラスや部活のお友達から紹介されたという生徒さんが増えてきています。10代から20代前半の若い世代の方たちは、やはり生理痛など月経困難症の相談が多いですね。子宮内膜がその機能を発揮するために、排卵後一定時間を経過した内膜は再構築される必要があります。再構築するために子宮の内膜を体外に押し出すのが月経のイメージで、この時に子宮が強く収縮するために痛みを伴います。最近は生理痛の強い人は子宮内膜症の予備軍と考えられています。子宮内膜症自体は良性の病気ですが、月経を重ねるごとに進行し、症状も強くなるため、早めに治療を開始することが大切です。特に思春期以降、月経痛がだんだんひどくなって来た方は子宮内膜症の可能性が高いので、我慢せず受診してほしいですね。
低用量ピルを用いた治療には抵抗がある方もいるのでは?

月経困難症の治療には低用量ピルあるいは黄体ホルモン剤を用いますが、毎日飲み続けなければならないこともあり、確かに躊躇される方はいらっしゃいます。とはいえ、習慣づけてしまえば難しいことではないはずです。昨今、低用量ピルをオンラインで入手される方もいますが、ご自身の体に合った薬を状況に応じてきめ細かく選んで行くことが大切です。服用に際しては必ず専門の医師にご相談いただきたいと思います。
「聞く」姿勢を大切に、患者の気持ちに寄り添う診療を
他にどのようなご相談が多くありますか。

30~40代では子宮筋腫で来院される方が多く、昔よりも増えている印象です。今では薬剤治療もいろいろありますし、手術も子宮鏡や腹腔鏡での手術の選択肢も広がっています。また、高齢の患者さんは子宮脱や膀胱脱、直腸脱といった骨盤臓器脱のご相談が多いですね。骨盤の底を支える筋肉が弱くなることによる病気ですが、来院されているのはごく一部の方で、実際にお悩みの方はさらに多いのではと思われます。外出をおっくうに感じて家にこもりがちになり、体力が落ちてQOLを下げてしまう病気なので、気軽にご相談いただきたいですね。最近は、外陰部の違和感、ヒリヒリ感を訴えられる方も多いです。加齢に伴うエストロゲンの減少が主たる原因と考えられているものの、他にも原因があり、なかなか治療は難しいのですが、積極的に取り組んでいます。
患者さんと接する時、どのようなことを心がけていますか?
患者さんのお話を丁寧に、誠意を持ってお伺いするよう心がけています。「よく来てくださいました」「大変でしたね」「つらかったでしょう」。まずは患者さんの気持ちに寄り添い、どうすればいいか考えるのはそれからです。外来では幼児から100歳以上の方まで診ているので、とにかく患者さんとはよく話すようにしています。また、患者さんから質問されたときは、1つだけでなく、3つくらい答えるようにします。親身な対応で患者さんに喜んでいただきたいという気持ちからですが、自然にいろいろ話してくれるようになると思うんです。薬のこと、ご家族のこと、日常生活のことなど、なんでも気軽に話せる存在と思っていただけたら、かかりつけ医としてうれしいですね。
最後にメッセージをお願いします。

医療機関は、具合が悪くなってから行く場所と思われがちですが、そうでない時こそ相談してほしいと思います。特に若い世代には「産婦人科はハードルが高い」「内診が怖い」と思われがちですが、いきなり内診をすることはなく、話をするだけでも構いません。早い段階で相談できれば、防ぐことが望める病気や不調も多いものです。生理痛や更年期症状は我慢する必要はありませんし、薬が苦手な方には漢方という選択肢もあります。現在横浜市では女性の健康づくり推進検討部会を立ち上げ、医師や行政はもちろん、現役の女子大学生なども交えてできることを模索しています。若い世代が気軽に相談できる場づくりとして、当院でも今後はユース世代向けの相談の時間を設けることも検討中です。どの世代の女性にも寄り添えるかかりつけ医として、産婦人科診療に新しい風を吹き込みながら、これからも地域の皆さんを支えていければと思っています。

