井澤 瞳美 院長の独自取材記事
あおと耳鼻咽喉科クリニック
(葛飾区/青砥駅)
最終更新日:2025/05/15

「あおと耳鼻咽喉科クリニック」は、京成本線・京成押上線の青砥駅から徒歩1分の好立地にある。温かな雰囲気の商店街にあるビルの3階に、この4月にオープンした。院長の井澤瞳美先生は、隣駅で耳鼻咽喉科のクリニックを開業する父親のもと、小さい頃からこの地域や耳鼻咽喉科の仕事に親しみを持ってきた。北里大学を卒業後、慶應義塾大学病院などで研鑽を積んだ後、近くで父が診療をしており、以前からなじみのあった青砥で、地域医療に貢献したいという想いから開業を決意。「感覚とは、普段は気にとめなくても失うとつらいもの。そこを改善するお手伝いをしたい」と語る井澤院長に、耳鼻咽喉科にかかるメリットや診療対象となる主な疾患について話を聞いた。
(取材日2025年4月22日)
地域の役に立つため開業を決意
この地で開業されたいきさつと、患者の年齢層を教えてください。

父も耳鼻咽喉科の医師で、そのクリニックが隣の駅にあります。子どもの頃、父のクリニックによく連れて行ってもらったため、この辺りにはなじみがあり、地域の方々のお役に立ちたいと思いこの土地での開業を決めたのです。青砥は2つの路線が乗り入れているため、行き交う人が多く活気があります。下町のような温かみがあるのも魅力ですね。開業したばかりなので患者数はまだ安定していませんが、若い方や小さなお子さんを連れたお母さんをはじめ、ご高齢の方にもお越しいただいています。
医師をめざし、耳鼻咽喉科を選んだ理由と、医師という仕事のやりがいについてお聞かせください。
小さい頃から父の働く姿を見ていたので、医師という仕事を身近に感じていました。実際の現場を見て育ってきたことで、患者さんと親身に向き合いながら病気を治療していける部分に魅力を感じたことが大きな理由ですね。耳鼻咽喉科は他の診療科と異なり、聞こえや匂いなど感覚器を扱う科です。普段は特に気にとめなくても、失うとつらいのが感覚だと思います。そこの改善をサポートできることに魅力を感じ耳鼻咽喉科を専攻しました。大学卒業後、大学病院などに勤務しましたが、やはり病院に比べクリニックは患者さんにとって身近です。患者さんの身近な存在でありたいという原点から今日に至っています。やりがいについては、病気の特性にもよりますが耳の病気は治癒が難しいものもあります。以前勤めていた病院で、困っている患者さんに適切な対応を行ったことで、とても喜ばれた経験があります。その姿を見た時に、医師になって良かったと思いました。
耳鼻咽喉科はどんなときに通うと良いのでしょうか?

一般的な風邪であっても、鼻や喉に症状があれば耳鼻咽喉科を受診するのがお勧めです。風邪は内科というイメージがあると思いますが、鼻や喉などの局所の診察や処置をすることで詳しい原因の究明やすぐに改善をめざせるケースも多いのです。また、風邪の症状だと思っていた声のかれが喉の腫瘍が原因だったなどの重大な病気の発見につながることがあります。耳の場合、聞こえにくいなどの症状があっても放置されてしまう方も多いのですが、突発性難聴のような早期で治療が必要な疾患は、検査をしないと発見に至りません。耳鼻咽喉科では、耳については聴力検査、鼻や喉は内視鏡検査、副鼻腔炎を疑う場合はエックス線撮影など、それぞれの局所に対応した検査を行うことで、早期発見がめざせることが大きなメリットです。
わかりやすい説明と話しやすい雰囲気づくりを心がける
耳鼻咽喉科では主にどのような疾患を扱いますか。

主な耳の疾患は、中耳炎や外耳炎などの炎症性疾患と、難聴、めまいです。難聴に関しては、原因がさまざまで突発性難聴のような急性疾患もあれば、加齢などの慢性的な難聴もあり詳しい検査が必要です。鼻の疾患は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の他、内視鏡検査で腫瘍の発見につながることもあります。喉の疾患も炎症性疾患や腫瘍が主なものですね。花粉症については、症状が鼻に出る方もいれば喉に出る方もいらっしゃいます。鼻と喉はつながっているので、両方に症状が出る場合もあります。異変があればお気軽ご相談いただければと思います。耳、鼻、喉の疾患に対しては、こちらで対応できるものはできる限り対処いたしますが、大きな病院での検査が必要な場合は連携している病院をご紹介しています。
子どもの場合、耳鼻咽喉科と小児科のどちらを受診すべきなのでしょうか。
耳、鼻、喉はつながっているため、鼻の調子が悪くなると並行して耳の調子も悪くなるケースが多いのです。特にお子さんの場合、鼻の調子が悪いときは、中耳炎も起こす可能性が高いのです。保育園などに通うお子さんは、中耳炎にかかりやすいので注意が必要です。小児科でも耳の中を診ると思いますが、耳鼻咽喉科の医師のほうが耳の中は見慣れているため、せっかく小児科に行っても「耳鼻咽喉科で耳を診てもらってください」と言われてしまうことも。お子さんに風邪の症状があるときには鼻の吸引や喉の吸入などお子さんの症状を改善するための処置も行えますので、風邪をひいたら耳鼻咽喉科にかかるのがベストだと考えています。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか。

耳鼻咽喉科の病気は、疾患の場所の説明が難しいという特徴があります。例えば喉と一口にいっても、喉のどこに疾患があるのかは一人ひとり異なります。一般的に患者さんは耳や喉などの詳しい構造を知らないものです。そのため内視鏡で写真を撮っている場合はそれを提示しながら、場合によっては図を使って解説し、何が起きているのかをわかりやすく説明するように心がけています。聴力検査も結果の表の見方がわかりにくいので、患者さんには基本的なことから説明しています。また、不安なことは何でも話してもらえるよう、話しやすい雰囲気づくりを心がけています。たいしたことはないと思われる話の中に、病気発見につながる大きなヒントが隠されていることもあるので、何でもお話しいただくことはとても大切なのです。クリニックは患者さんが不調を感じたときに、最初に相談される場所。接し方を常に意識しながら丁寧に診察しています。
早期の受診を推奨し、地域の健康を守っていきたい
スタッフさんとの連携についてはいかがでしょうか。

現在、当院のスタッフは事務が5人、看護師が1人、看護助手が1人です。エックス線の撮影は私が行っています。まだ開業して日が浅いのですが、スタッフには日々問題点を挙げてもらい一緒に相談しながら解決を図っており、良い連携が取れていると思います。地域のかかりつけ医として地元の患者さんたちに安心してご利用いただくために、医師とスタッフの連携を大切にし、常に気持ちの良い対応ができるよう努めていきたいですね。
院内の設備について教えてください。
リラックスできるクリニックをめざしているため、院内は落ち着きのあるカラーでまとめました。待合スペースの椅子はパステルブルーで、白い壁紙も同色のかわいらしい模様がついています。キッズスペースも設けており、こちらは元気が出る黄色を使用しています。スクリーンでアニメーションも流していて、ここでゴロゴロしたり、おもちゃで遊んだりすることができます。また、発熱された患者さんのための予防室もあります。こちらはクリニックの入り口から入ると、待合室の反対側に設けています。発熱がある場合、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなど感染症の疑いがあるため、抗原検査を受けて結果が出るまでの間、他の患者さんと動線を分けているのです。検査もでき、待合室も別という体制を整えているので、発熱された際には気兼ねなくいらしてほしいですね。
今後の展望と、読者へのメッセージをお聞かせください。

クリニックの看板ができた時、オープンしたら行こうと思っていたというお話を患者さんから聞いたり、近隣の方々から「ようやく耳鼻咽喉科ができた」と言ってもらえてうれしく思っています。耳、鼻、喉という器官は異変を感じたときに処置をすることで改善をめざせることが多いですし、処置が必要かどうかを確かめることも大切なのです。地域の方々の健康を守るために、気軽に来てもらえるクリニックをめざしています。耳、鼻、喉の疾患は、早期の治療介入によってその後の診療が大きく変わるものなので、読者の皆さまも感覚に違和感を感じたときには、早めにお近くの耳鼻咽喉科に通われることをお勧めいたします。