消化器がんのサインを知ろう
適切な内視鏡検査のタイミングとは
東京下町おなか内視鏡クリニック 葛飾金町院
(葛飾区/金町駅)
最終更新日:2025/04/08


- 保険診療
今や2人に1人ががんを経験するともいわれる時代。中でも大腸がんは、女性のがん死亡原因の第1位、男性の第2位とされており、身近で気をつけなくてはならない病気の1つだ。早期発見のために必要なのが、定期的な内視鏡検査の受診。苦痛の少ない内視鏡検査で地域の受診率の向上をめざしたいという「東京下町おなか内視鏡クリニック 葛飾金町院」の三井智広院長は、「大腸がんは怖い病気であるのと同時に、良性のポリープの段階で切除を図れば予防につなげることもできます」と、検査の重要性を伝えている。これまでがん専門病院で消化器のがんの早期発見と治療に注力してきた三井院長に、見過ごしてはいけない病気サインや放置した場合のリスクなどを踏まえ、内視鏡検査を受けるべきタイミングについて教えてもらった。
(取材日2025年3月24日)
目次
続く血便や便潜血検査は大腸がんに気づく重要なきっかけ。自分はどのくらいの間隔で受診すべきかも把握する
- Q血便が出ても、恥ずかしさから受診しない方も多いと思います。
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A
▲血便などの症状があれば、自己判断せず専門の医師へ相談を
血便が出た場合、痔になっているか大腸に何らかの異常があるか、主に2つの原因が考えられますが、それを患者さんご自身で判別するのは困難です。痔だと思っていたら、実は大腸がんだったというパターンも少なくありません。そのため、血便が出たら安易に自己判断せず、消化器内科や肛門外科など専門の医師に相談してください。特に、血便が定期的に出たり何日も続いたりする場合には注意が必要です。どうしても受診に抵抗があるという方は、同じ性別の医師やスタッフが対応してくれるクリニックを探してみるのも良いと思います。また当院もそうですが、今はプライバシーにしっかり配慮しているクリニックが多いので安心してください。
- Q便潜血検査やバリウム検査で要精査の場合どうすれば良いですか?
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A
▲苦痛の少ない内視鏡検査を提供し、受診率の向上をめざす三井院長
一般的に、便潜血検査で陽性となる人の割合は多くなく、そしてそのうち進行がんが見つかる人の割合はごくわずかといわれています。大腸がんがとても珍しい病気のように感じるかもしれませんが、そもそも早期のがんは検査で陽性になりにくく、陰性の方にがんが隠れていることも珍しくありません。胃がんも大腸がんも初期段階ではほとんど症状が現れず、なによりも怖いのは、がんはいつ発症するかわからないということです。「自覚症状もないし、1度検査を受けて陰性だったから大丈夫」という考えはたいへん危険です。便潜血検査やバリウム検査で要精査となったら、遅くとも3ヵ月以内に内視鏡検査を受けましょう。
- Q異常を放置するとどのようなリスクがありますか?
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A
▲大腸がんは早期発見・早期治療が重要
大腸がんでは、がんの前段階である良性のポリープや初期のがんであれば、内視鏡など比較的体に負担の少ない方法で治療が可能です。しかし、進行がんになると抗がん剤治療や大きな手術、長期の入院などで負担が大きくなってしまいます。長期間放置すると、最悪の場合、見つかった時には治療が難しい状態の可能性もあります。内視鏡検査を受けることに対して煩わしさを感じることもあるかもしれませんが、進行がんの治療のほうが比べ物にならないくらい大変なのは間違いありません。定期的に検査を受け早期発見につなげることが、身体的な面だけでなく費用面でも一番負担が少なく済む方法なのです。
- Q内視鏡のクリニックを受診するべきタイミングを教えてください。
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A
▲大腸がんは初期段階での適切な処置が重要となる
血便などの不調が現れたときや、便潜血検査やバリウム検査で要精査となった場合に加えて、たとえ自覚症状がなくとも40歳になったら必ず1度は内視鏡検査を受けてください。また、消化器がんの家族歴がある方や両親がピロリ菌を持っていた方は、消化器のがんを発症するリスクが高いため、30代を目安に内視鏡検査を受けることをお勧めします。内視鏡検査は必ずしも1年に1回受けなくてはならないわけではありません。その方の消化器の状態やポリープの有無などによって、適切な受診の間隔は2年に1回、5年に1回など変わってきます。ご自分がどれくらいの頻度で検査を受けるべきか、医師からアドバイスを受けましょう。
- Q医師による診察や内視鏡検査はどのような流れで行われますか?
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A
▲検査結果をもとに、わかりやすく丁寧な説明を行っている
まずは医師が問診で、お困りの症状や日頃の食生活、内視鏡の検査歴、消化器疾患の家族歴などについて話を伺います。診察の中で内視鏡検査が必要だと判断したら、別日に予約を取っていただき、そこで検査を行います。内視鏡検査そのものにかかる時間は15分ほどで、ポリープ切除術などを行ったとしても基本的には30分以内で終了します。恐怖心や嘔吐反射が強い場合には、鎮静剤を使って眠っているような状態で検査を行うことも可能です。検査が終わったらしばらく休んでいただいた後、医師による検査結果の説明があり、帰宅という流れになります。がんを早期発見するためにも、医師のアドバイスを参考に内視鏡検査を受け続けることが大切です。