心疾患の早期発見につながる
冠動脈CTによる検査
子安脳神経外科クリニック
(横浜市旭区/二俣川駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
心臓に栄養と酸素を送る血管に動脈硬化を起こすことで突然発症する心筋梗塞。そのメカニズムは火山の噴火に例えるとわかりやすいと、「子安脳神経外科クリニック」の日本循環器学会循環器専門医である松田督先生は話す。プラークという脂肪の塊がマグマのようにたまり血管内腔の表面にまで達すると、内膜が破裂して血管内にプラークが露出する。流れ出たプラークは血液に触れると一瞬にして血栓を作り、血管を詰まらせてしまうという。つまり、この「プラーク破綻」が起こる前に見つけることができれば、心筋梗塞の発症の予防につながるというわけだ。「冠動脈CTはそのプラークを非侵襲的に、より早期に発見できる検査です」と松田先生。冠動脈CTのメリットや特徴、同院の検査について聞いた。
(取材日2019年7月20日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q冠動脈CTとは、どのような検査なのですか。
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A
狭心症や心筋梗塞は、動脈硬化によって心臓の血管が狭くなる病気です。この病気の疑いがある時に行う検査として、従来は血管から心臓へ細い管を入れるカテーテル検査しかなく、患者さんの体への負担が非常に大きかったのです。入院も必要で、気軽にできる検査ではありませんでした。しかし、近年登場した64列マルチスライスCTという新鋭のCTは、64個のカメラが高速で回転することによって、拍動している心臓の状態を詳細に、かつ安全に配慮した方法で画像化することができます。検査には痛みの心配もなく、30分もかからずに終了するので、患者さんの負担は大幅に軽くなっています。
- Q検査の目的、および受ける目安について教えてください。
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A
心筋梗塞は、血管内にプラークという脂肪の塊がたまるところから始まります。プラークが大きくなっても、血管はすぐには狭くなりません。噴火直前まで、火山の外側に変化がないのと同じですね。しかし、表面までプラークが増えると、最終的に内膜は破裂し、血管内にプラークが噴出します。噴出したプラークは、マグマが海水に触れると一瞬で固まるように、瞬間的に血栓を作って血管を詰まらせます。プラーク破綻と呼ばれるこの状態を、起きる前に見つけること。冠動脈CT検査の最大の目的はここにあります。胸の違和感や息切れの他、糖尿病、脂質代謝異常症、高血圧など複数の動脈硬化リスクをお持ちの方は、検査の良い適応だといえるでしょう。
- Qこちらのクリニックの検査の特徴を教えてください。
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A
当クリニックには、大学病院と同等レベルのCT・MRIおよび超音波検査装置がそろっています。このことにより、正確で詳細な画像診断につながるという点が一番のメリットです。治療を必要とする患者さんを高次医療機関にご紹介する際にも、治療に直結する情報を提供することができるので、紹介から治療までがスピーディーに進みやすいというのも患者さんにとっての安心材料になるのではないでしょうか。また、脳神経外科の専門家と、循環器内科の専門家がそろっており、脳と心臓の血管の両方を検査できるのも当クリニックの特徴でありメリットの一つだと考えます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診
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事前に循環器の外来を受診し、冠動脈CT検査の必要性を十分検討した上で検査日程を予約する。胸部症状を伴う病気には狭心症・心筋梗塞のほか大動脈疾患、エコノミークラス症候群、弁膜症、心筋症、不整脈などさまざまで、聴診・触診・心電図・エックス線だけで診断ができる場合も少なくない。いきなり冠動脈CTを行うのではなく、まずは負担の少ない検査で原因を探っていくそうだ。
- 2準備室で薬の服用
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看護師の案内で準備室へ。詳細な冠動脈CTを撮影するため、心拍数を60前後に調整するための薬を服用する。「心臓の検査」ということで緊張状態にある患者に対しては、必要に応じて鎮静剤を使い、リラックスした状態で心拍数コントロールを行う。薬が作用するまで30分ほどはゆったりと過ごしながら目標心拍数をめざし、血圧計や心電図モニターを装着して検査を待つ。
- 3冠動脈CT撮影
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撮影ベッドに上がり、冠動脈CT用の心電図モニターを装着する。併せて、心臓の血管を拡張させるためのニトロ製剤を舌下で溶かしながら服用。顔が火照ったり頭が重くなったりすることもあるが、多くは30分程度で和らぐ。造影剤が体に入ると体内が熱くなるように感じるが、これも10秒ほどの間とのこと。撮影の際は15秒程度息を止める必要があるが、事前にしっかり練習時間が設けられるので、医師の指示に従う。
- 4準備室で経過観察
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ゆったりとした検査用の椅子に座り、安全の確認が取れるまで、医師のもと、準備室で30分ほど経過観察をする。造影剤の副作用でじんましん、喘息などが出る場合もあるため、血圧、心拍数、呼吸状態、皮膚の状態などを一通り確認した上で帰宅となる。24時間は副作用の心配があるので、体調に気をつけて過ごすよう心がけたい。
- 5検査結果の説明
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約1週間後の再受診の際に、詳細なモニター画面で検査結果を見ながら医師の説明を受ける。なお、画像の作成は検査当日に行うので、その時点で緊急性のある病変が見つかった場合には直ちに診察をするか、患者が既に帰宅していれば自宅へ速やかに連絡を入れているそうだ。その後は、病変に応じた適切な医療機関へ紹介してくれる。