いびきに気づいたら受診を
心疾患にもつながる睡眠時無呼吸症候群
金沢文庫駅前三須ハート内科クリニック
(横浜市金沢区/金沢文庫駅)
最終更新日:2024/12/03


- 保険診療
睡眠中にいびきをかいたり、呼吸が繰り返し停止したりする睡眠時無呼吸症候群。眠りが浅くなるために日中に強い眠気に襲われ、交通事故を起こしたり、重要な会議や商談で失敗をしたりと、さまざまなリスクを生じる病気だ。加えて、最近では、睡眠時無呼吸症候群の患者は高血圧であることが多いことから、生活習慣病との関連でも注目されている。「金沢文庫駅前三須ハート内科クリニック」三須彬生院長は、重篤な心疾患を未然に防ぎたいと高血圧症をはじめとする生活習慣病の診療に力を入れるドクター。睡眠時無呼吸症候群についても、高血圧症や心疾患、脳卒中のリスクを高めるとして、その早期発見・治療に注力している。そこで、三須院長に、循環器内科を専門とする立場からの睡眠時無呼吸症候群の症状や診療について詳しく聞いた。
(取材日2024年11月7日)
目次
痩せている人や若い人、女性にも起こる睡眠時無呼吸症候群。いびき、寝起き頭痛、昼間の強い眠気は要注意
- Q睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気でしょうか? 原因は?
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A
▲心配な症状がある場合は、すぐに医療機関に相談を
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中のいびきで有効な呼吸ができず、呼吸が繰り返し停止する病気です。10秒以上の呼吸停止(無呼吸)、浅い呼吸(低呼吸)が1時間に5回以上起こり、日中の過度な眠気・疲労感などの症状を伴う場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。閉塞性(OSAS)と中枢性(CSAS)、両者の特徴を持つ混合性の3タイプがあり、多いのは、睡眠中に鼻から喉にかけての上気道が狭窄する閉塞性です。閉塞性の大きな原因は肥満で、首や喉周りの脂肪により気道が狭くなります。一方、顎の発育不良や扁桃腺の肥大、日本人に多い顔の形状や小さな顎なども要因となり、痩せている人や女性にも見られる病気です。
- Qどのような症状があった場合に病気を疑うべきでしょうか。
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A
▲日中の眠気や身体のだるさは、睡眠時無呼吸症候群を疑うことも
同居する家族などから「いびきが大きい」「睡眠中に呼吸が止まっていた」などと指摘された場合は受診が必要です。他にも、頻繁にトイレで目覚める、息苦しさで目覚める、長時間眠っても疲れが取れない、日中になると眠気が強くなる、体がだるく集中力や記憶力が下がっている、運転や会議中に居眠りをしてしまうなどの症状も要注意です。朝起きた時に頭痛を感じる方も多いようです。また高血圧の原因の一つが、睡眠時無呼吸症候群だったという場合もあります。複数種類の薬で治療しているのになかなか血圧が下がらず、調べてみると睡眠時無呼吸症候群だったということも。睡眠時無呼吸症候群の治療を進めると血圧の薬が減らせる可能性もあります。
- Q放置するとどのようなリスクがありますか?
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A
▲命に関わる疾患が隠れていることも
昼間の眠気は、注意力の欠如や居眠りなど日々の活動に支障を来し、運転時の事故や重要な会議での失敗など深刻な影響を及ぼすことも。また、抑うつや不眠症、男性の性機能障害など多岐にわたる健康上の問題につながる恐れもあります。何より、閉塞性の睡眠時無呼吸症候群は高血圧の原因の一つになることが大きなリスクです。高血圧が続くことにより、心臓に過度なストレスを与え、心機能の衰えを引き起こすリスクも高くなります。また動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中など命にも関わる心血管疾患につながる場合も。睡眠時無呼吸症候群と不整脈、特に心房細動は密接な関連がいくつも報告されているので不整脈治療にいびき治療は欠かせません。
- Qどのような検査や治療を行うのですか?
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A
▲自宅でのPSG検査の実施も可能になっている
検査には簡易検査と精密終夜睡眠ポリグラフィー検査(フルPSG検査)があります。PSG検査は入院が必要でしたが、自宅で行うこともできます。簡易検査で無呼吸低呼吸指数(AHI)が40回以上の場合、睡眠時無呼吸症候群と診断され、治療が必要です。40回未満の場合はPSG検査により確定診断を行います。1時間に5〜20回は軽度、20〜40回は中等度です。中等度以上の場合はCPAP治療を行います。これは鼻に管をつけ、鼻と口を覆うマスクで空気を送り込み、睡眠中の気道確保を図ります。心疾患を合併している場合やCPAP治療で改善が見られない場合は、毎回の呼吸に応じて換気量を変化させるASV療法で治療を行います。
- Q日常生活で改善すべきことや、気をつけることは?
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A
▲生活習慣の改善が、睡眠時無呼吸症候群の改善につながることも
肥満をきっかけにいびきの回数が増えたという方は、減量することでいびきの改善につながることがあります。また、就寝前の飲酒は血液の循環が良くなり、粘膜を腫れさせ、舌根が喉の奥に落ち込みいびきを起こす原因にもなりますので、飲酒を控えることも一つの対処法です。扁桃腺やアデノイドの肥大が睡眠時無呼吸症候群の原因となっていた場合は、手術が勧められます。最も大切なことは、昼間の眠気で大きな事故を起こしたり、高血圧症や動脈硬化が進んで重篤な病気になったりしないように治療や通院を続けることです。無理なく治療が続けられるように、専門的な検査や治療が受けられる、通いやすいクリニックを見つけていただきたいと思います。