守谷 和樹 院長の独自取材記事
大阪京橋イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック
(大阪市都島区/京橋駅)
最終更新日:2024/12/12
京橋駅から程近い場所に、2024年6月に開院した「大阪京橋イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック」。院長を務めるのは、病院で整形外科の医師として研鑽を積んできた守谷和樹先生だ。患者一人ひとりの症状と向き合う姿勢を大切に、症状の原因を追究。院内には広々としたリハビリテーションルームを備え、理学療法士とともに根本的な治療を目標に治療を行っている。今回守谷院長に、これまでの歩みや新しいクリニックの特徴、力を入れている検査、日々の診療にかける思いなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2024年12月3日)
患者一人ひとりに寄り添った良質な医療提供をめざす
先生が医師をめざしたきっかけは何ですか?
歯科医師が多い家系に生まれ、私も父が歯科医師という環境で育ちました。父は開業医でしたので、小さい頃は虫歯などで父の治療を受けることもありましたね。いつもの父とはちょっぴり違う働く父の姿を見て、僕も自然と医学の道をめざすようになっていきました。歯科医師ではなく医科の医師になることは父親から勧められました。「歯科の患者さんはちょっと減っていて、もしかするとこれからは厳しい時代が来るかもしれない。もし医学部に行けるなら行ったほうがいい」とアドバイスをされたこともあり、医学部に進学しました。
整形外科を専門に選んだ理由と、先生のご経歴について教えてください。
大学は九州の久留米大学へ。さまざまな専門領域がある中で整形外科を専門に選んだのは、研修医2年目に外科系を回った時に、簡単な手術ではありますが整形外科の手術を担当したことがきっかけです。率直に「手術が面白い!」と感じたんです。そこで福岡新水巻病院整形外科へ入局。7年勤めて日本整形外科学会整形外科専門医を取得。次に、グループ内の異動があり東京品川病院整形外科へ移りました。その後、地元が京都だったものですから関西で働きたいと思い、枚方市にある佐藤病院整形外科へ。市立ひらかた病院では整形外科副部長として研鑽を重ねました。病院はいずれも急性期病院でしたので、手術をメインにさまざまな整形外科疾患に関わってきました。そして2024年6月に開院した「大阪京橋イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック」の院長に就任しました。
診療ポリシーについて教えてください。
診療ポリシーは「質の高い医療を提供すること」。現在、当院には私を含め日本整形外科学会整形外科専門医が4人在籍しています。しっかり患者さんに寄り添いながら治療するのはもちろん、より良い治療後をめざす医療を提供していきたいと考えています。そのためにやっぱり重要視するのはリハビリですね。当院では、物理療法ではなく理学療法士による運動療法で根本的な治療をめざします。そして超音波検査装置を活用して、精密な処置を行っていくのも特徴です。
痛みの原因を探り、根本的な治療をめざす
現在の患者層や、主訴で多いものは何ですか?
当院は京橋駅からすぐという土地柄もあって、30代から60代の働く世代の患者さんが多いですね。主訴としては首・肩・腰・膝などの痛みや関節の痛みなど。もちろん高齢の患者さんも通ってくださっています。10代、20代の若い世代はスポーツによる障害の悩みも多いです。クリニック名に「痛みと骨粗鬆症クリニック」と入れているとおり、さまざまな痛みや骨粗しょう症に関することまで、お悩みは何でもご相談いただけたらと思います。
骨粗しょう症の検査はどのように行うのですか?
将来の骨折を予防するためにも、当院は骨粗しょう症の検査や治療に力を入れています。検査はDEXA(デキサ)法により、腰椎と大腿骨の骨密度を測定。そして胸椎と腰椎エックス線写真を撮り、骨折や変形の有無を確認。骨代謝マーカーを含めた血液検査を行い、骨の形成と破壊の評価や、ビタミンDの値の確認をします。治療をしていく上で、腎機能やカルシウム値も必要なので一般的な血液検査項目も入れています。骨密度は1回落ちるとなかなか上がらないもの。まずは検査をして患者さん自身で骨密度が落ちかけていることに気づく、自覚することが大事なんです。知らないまま何もしないと病状が進んでしまい、将来の骨折や寝たきりを招く可能性があります。ですから早期発見・早期治療で、骨密度が落ちないように予防することが大切です。予防の基本は、食事と運動、日の光に当たること、そしてビタミンDの摂取です。
非常に広いリハビリルームを備えていらっしゃいますね。
現在リハビリスタッフは8人いて、リハビリが必要と判断した患者さんに対してリハビリを提供しています。当院は物理療法ではなく理学療法士による運動療法で対応する体制を取っています。例えば、痛み止めの薬で痛みを抑えるよう図るだけではなかなか症状の改善が得られません。医師、理学療法士が動作・身体機能を評価し、患者さんの痛みの原因を探り、根本的な治療を目標に医療を提供していく必要があります。リハビリでは、痛みがある部位だけではなく全身から見てどこを治療したらいいかを考えてアプローチします。家での体操も継続がなかなか難しいと思いますので、患者さんに頑張って通院していただくことが、一番の根本的な治療につながると思います。
超音波検査装置による診察について詳しく教えてください。
整形外科での検査と言えば、これまでエックス線、CT、MRIの3つでした。しかしエックス線検査でわかるのは骨だけですので、それ以外の筋肉、靱帯、神経はわかりません。CTやMRIは静止時の状態の検査を行うものです。昨今、整形外科領域でも超音波検査装置の普及が進み、評価する選択肢が一つ増えたことで診療は大きく変わったなと感じています。超音波検査では、筋肉、靱帯、腱、神経などをリアルタイムで確認できます。そして超音波検査を併用することで注射の針先や神経・血管も確認できますので、ハイドロリリースや関節内注射も大事な組織を傷つけることを防いだ上で、適切な位置に注射することができます。
患者一人ひとりの思いに寄り添う
これからの研究で注目されている分野はありますか?
血液中のある成分と関節の炎症の関係性に関する研究について注目しています。血液の中には、組織を修復したり炎症を抑えたりする成分が含まれていることが知られています。その成分を高濃度で抽出することで、それを変形性股関節症や変形性膝関節症にアプローチできないかと研究が進められているのです。先進的な研究にもアンテナを張って、これからも動向に着目していきたいです。
先生が患者さんと接する際に気をつけられていることは何ですか?
大きく2つあります。1つ目は原因の追求ですね。しっかり診断をつけることで、そこから治療が始まっていくと思っています。そのためには痛みはどこからきているのかをしっかり検査をして、突き止めたいと思っています。2つ目は、患者さんに合わせた治療を行うことです。社会的状況や患者さんの背景を知り、それぞれのニーズに合わせてお応えしていくことです。例えば「怖い病気じゃないか知りたいだけ」「全部原因を突き止めて治療してほしい」など、患者さんの思いはそれぞれ異なります。一人ひとりに合わせてオーダーメイドの医療を提供していきたいですね。
ところで、先生が健康のために取り組んでいることはありますか?
テニスです。中学時代は軟式テニス部に所属していたんですよ。しかしながら大学時代や病院勤務時代は全然していなくて、実は最近再開したんです。テニスは結構膝に来るスポーツなので、なかなかに大変ですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
病院での勤務時代は、手術で患者さんを治療することがメインでした。しかし、日々患者さんの診療・治療に携わっているうちに、患者さんは手術以外の方法で治療したいという思いがあることを感じて、保存療法で一人ひとりに向き合っていきたいと考えたことも院長就任の理由の一つです。当院は月曜日から土曜日はもちろん、日曜日も診療を行っています。日曜日にケガをしたり、どうしても我慢できない痛みがある場合は、ぜひ頼っていただけたらと思います。