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患者自身と家族のために
緩和ケアの正しい知識を学ぶ

おおい在宅緩和ケアクリニック

(小金井市/東小金井駅)

最終更新日:2026/10/15

おおい在宅緩和ケアクリニック 患者自身と家族のために 緩和ケアの正しい知識を学ぶ おおい在宅緩和ケアクリニック 患者自身と家族のために 緩和ケアの正しい知識を学ぶ
  • 保険診療

緩和ケアと聞くと、治療の手立てがない患者が受けるもの、という認識を持つ人が多いのではないだろうか。だが実際は、緩和ケアとは、痛みや不安を抱えている、すべての人が対象となるケアになる。そういった緩和ケアに関する正しい知識を知り、必要としている人たちに利用してもらうことをめざしているのが、「おおい在宅緩和ケアクリニック」の大井裕子院長だ。大井院長は、20年以上、緩和ケアの実践を積んでおり、その道の専門家。「2006年に制定されたがん対策基本法によれば、緩和ケアはがんと診断されたときから受けられるもの。しかしまだまだそのことすら浸透していない。がんだけではなく苦痛を感じている人に届けてほしい」と話す大井院長に、緩和ケアの基本的な知識を中心に、ケアの中で大切にしていることを語ってもらった。

(取材日2026年9月25日)

緩和ケアの正しい知識を知り、必要なタイミングで利用していく

Q緩和ケアについて教えてください。
A
おおい在宅緩和ケアクリニック 緩和ケアへの理解を深めるため、さまざまな書籍をそろえている

▲緩和ケアへの理解を深めるため、さまざまな書籍をそろえている

緩和ケアは、生命を脅かす疾患に直面する患者と家族のQOLを、痛み・身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題の早期発見・評価・対応によって改善するアプローチとされています。欧米などでは1990年代から、がん以外の病気でも緩和ケアが行われてきましたが、日本ではいまだ終末期のがん患者に向けたケアだと誤解している人が多いのが現状です。緩和ケアは、苦痛を抱えているすべての人が対象です。ようやく呼吸不全や心不全、腎不全に対する緩和ケア提供が認められるようになりましたが、認知症の方にも応用したい考え方です。

Q緩和ケアはどういうタイミングで始めればいいのでしょうか。
A
おおい在宅緩和ケアクリニック 患者や家族が気兼ねなく思いを話せる、落ち着いた雰囲気の院内

▲患者や家族が気兼ねなく思いを話せる、落ち着いた雰囲気の院内

現在がんの治療をしているけれど、自分自身のことや家族のことを考えると不安で仕方なくなる方も多いと思うんです。でも、そういう不安を主治医や看護師に話す時間はなかなか取れないと思います。当院では、治療と並行して不安な気持ちや将来への不安をゆっくり聴く緩和ケアの外来を設けています。ここで関係性をしっかり築いて、気兼ねなく話ができるようになると、その後治療が終わり、在宅に移行していくまで、シームレスにつながっていくのが緩和ケアの理想形だと考えています。

Q緩和ケアの際に心がけていることを教えてください。
A
おおい在宅緩和ケアクリニック 一人ひとりの思いや不安に耳を傾け、ケアを一緒に考える

▲一人ひとりの思いや不安に耳を傾け、ケアを一緒に考える

患者さんにはさまざまな考えや価値観があります。同じ病名で同じ治療を受けた人でも、仕事や家族などの環境によって抱える苦痛は異なるので、こちらの考えを押しつけないよう心がけています。初回は1時間程度お話を聴き、患者さんが抱える苦痛にどんな要素があるかを整理して、身体的なものであれば薬で痛みの緩和を図り、周囲との関係性に何か課題がありそうなら解決の糸口を探り、一つずつアプローチしていきます。この先のことを話し合う場面もしばしばあるのですが、これからどうなるかという情報を聞く準備ができているかどうかも大切にしています。知りたいと思うタイミングが一番情報を受け取る良い時だと思います。

Q不安を感じている人にどのように対応していますか?
A
おおい在宅緩和ケアクリニック 患者や家族がゆったりと過ごせる、温かみのある待合室

▲患者や家族がゆったりと過ごせる、温かみのある待合室

繰り返しになりますが、「しっかり話を聞くこと」がとても大切になります。患者さんは、これまでの治療への思いや、今後の生活への不安など、さまざまな気持ちを話してくださいます。そうして言葉にしていくうちに、ご自身の考えが整理され、本当に大切にしたいことや抱えている不安に気づかれることも少なくありません。しっかり耳を傾け、適度に質問を挟みながら気持ちを引き出すようにしています。一人ひとり置かれている環境や価値観は異なるため、求める答えも同じではありません。だからこそ、オーダーメイドの治療を組み立てるように、その方にとって最適な選択肢を一緒に探していきたいと考えています。

Q患者さんの残りの人生の過ごし方についてどうお考えですか?
A
おおい在宅緩和ケアクリニック 自宅でその人らしく過ごせるよう、患者と家族に寄り添い支える

▲自宅でその人らしく過ごせるよう、患者と家族に寄り添い支える

たとえ先の見通しが厳しく、患者さんに残された時間があと数ヵ月だとしても、今この瞬間にできることはまだあります。多くの方が先の見えない将来に不安を抱えています。「今が一番元気な時」と伝えるのは、一見、厳しいことを言っているようですが、「今」に目を向けることができれば「だったらあれがしたい、あそこに行きたい」と、考え始められることもしばしばです。私たちは、患者さんやご家族が今できることを積み重ねていけるよう伴走していきたいと思っています。「良かった」と思えることがあれば遺された人もその後生きていく支えになります。

ドクターからのメッセージ

大井 裕子院長

高齢多死社会においては複数の疾患を抱えている方が増えています。がん、心不全、腎不全、神経難病、認知症などどんな状況にあっても苦痛に目を向け生活の質向上のためにできることを考えるのが緩和ケアです。緩和ケアは、積極的な治療が終了した後に受けるものではありません。何か困ったことがあったら治療中でもご相談ください。