渡海 義隆 院長の独自取材記事
半蔵門 渡海消化器・内視鏡クリニック
(千代田区/半蔵門駅)
最終更新日:2024/12/06

半蔵門駅から徒歩1分という便利な場所にある「半蔵門 渡海消化器・内視鏡クリニック」。院長の渡海義隆(とかい・よしたか)先生は、がん研有明病院で長年にわたり内視鏡検査と内視鏡治療に取り組んできたスペシャリストだ。大腸がんや胃がんの早期治療の大切さを知るからこそ、身近な場所で見逃しのない検査を受けられるようにしたいと2024年6月に開業した。皇居や英国大使館にも近い閑静な町並みに自然に溶け込む、品の良い雰囲気のクリニックだが、敷居は決して高くない。どんな人でも通いやすいクリニックをめざしているという渡海院長に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2024年7月28日)
質の高い内視鏡検査を身近なクリニックで提供したい
まず、医師になったきっかけやご経歴を教えてください。

中学生の頃、よく家に遊んでくれた親類が若くして大病を患い、「助けたい」と思ったのがきっかけでした。筑波大学卒業後に東京都立駒込病院を選び、その後は早期胃癌検診協会附属茅場町クリニックを経てがん研有明病院に長年にわたり勤務。内視鏡検査はもちろん、先端治療であるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)も数多く手がけました。頭頸部、食道、胃、十二指腸、大腸すべてのがんにおいて、早期発見できれば大きな手術や苦しい抗がん剤治療ではなく、体への負担が少ない内視鏡的治療で完治をめざせるんです。見落としのない内視鏡検査は、患者さんの人生を変えるといっても過言ではありません。より身近な場所で苦痛が少ないだけではなく、質の高い内視鏡検査を提供したいと思うようになり、開業を決意しました。
開業に至った思いを詳しくお聞かせいただけますか?
残念なことに、がん研有明病院ではすでに内視鏡治療ができない段階になって送られてくる患者さんも少なくなかったんです。中には「毎年、検査を受けていたはずなのに」という方もいました。きれいな画像を撮るのはもちろんのこと、それを正確に読み取り初期の病変を見逃さない診断力を磨かなければと、自戒する日々でもありましたね。また、基本的に治療後の患者さんは紹介元のクリニックにお返しする流れになっていて「今頃どうなさっているだろうか」と気になることも多々ありました。もともと、患者さんとのコミュニケーションが好きで「もっと密に寄り添い、関わり続けたい」という思いが強かったのも、開業を志した理由の一つです。
どのような患者さんが多いですか?

開業したばかりの頃は有明時代からの患者さんが大半だったのですが、約2ヵ月たった今は、近くにお勤めの方やお住まいの方などにも少しずつ「新しいクリニックができたんだ」と認知していただいているようです。この辺りは都心でありながら意外と住宅街で、目の前にあるスーパーでの買い物ついでにいらっしゃる方もいるんですよ。そんな、気軽に立ち寄れるクリニックとして活用していただけたらうれしいです。早期発見に強みを持つ内視鏡検査を中心にしていますが、消化器内科では胃痛、下痢、便秘、吐き気、嘔吐などの一般的なおなかの症状も一通り診ています。また、肛門内科ではイボ痔、切れ痔などの診察と治療も可能です。高度医療が必要と判断される場合も、当院はがん研有明病院の連携協定医療機関でもあり、速やかに紹介できるのでご安心ください。
磨き上げた技術と先進機器で見逃しのない内視鏡検査を
先進の内視鏡検査装置を導入していると伺いました。

胃内視鏡、大腸内視鏡ともに、2024年6月時点で新型のハイエンドモデルを導入しています。一番の特色は狭帯域光という特殊な光を使えるモードを搭載している点です。これにより、頭頸部から大腸に至るまで、これまでの光源では見逃していたような極めて初期のがんも発見できるようになりました。クリニックはもちろん大学病院でも取り入れているところはまだ少ないと思いますが、今後はこのテクノロジーが主流になっていくでしょう。AI導入のお誘いもありましたが、今回は見送りました。というのも、実は私はAIを用いた診断に関する研究もしていたからです。私自身、論文ではAIが人間に勝った一例を挙げたこともありますが、臨床ではまだまだ有用ではないという結論に至りました。
具体的にはどのように内視鏡検査を行っていますか?
例えば、大腸内視鏡検査の下剤は自宅だけではなく、院内にあるトイレつきの半個室ブースでも飲めるようにしました。小さなポリープは検査時に切除しています。胃の内視鏡検査は経口・経鼻、どちらにも対応可能です。先進機種なので経鼻は見えにくいということもありません。挿入部分はできるだけ細く、曲がりやすい、患者さんの負担にならないような機種をそろえました。もちろん、内視鏡検査への不安が強い方、痩せ型・便秘体質・腹部手術歴があるなど苦痛を感じやすい方もいらっしゃいますので鎮痛剤・鎮静剤も用意しています。鎮静を希望しない患者さんは、様子を見ながらこまめに声かけをするようにしていますね。これまで研鑽を重ねてきた技術をすべて投入し、できるだけ苦痛がないように細心の注意を払うのは言うまでもありません。
患者さんと接するときに何を大事にしていますか?

第一印象から「何でも話せそう」と思ってもらえるように心がけています。患者さんにはできるだけいろいろとお話しいただき、一つ一つに丁寧に耳を傾けることが大事だと思うんです。どんなに問診票に詳しく書いてくれていたとしても、よく聞いてみると、まったく違う問題が明らかになることも少なくありませんからね。患者さんにどんどん話していただくには、笑顔と共感でしょうか。どちらもやりすぎるとかえって「怪しい」と不信感につながってしまいますので、程よい距離で心に入っていけるように気をつけています。おなかの悩みはデリケートな問題でもあるので、下痢ではなく「おなかを下す」、便秘ではなく「お通じが出ない」など、言葉の選び方にも注意していますね。
体も心も満足できる「おなかのかかりつけ医」が目標
今後の展望についてお聞かせください。

患者さんが体だけではなく心も満足して「また来たいな」と思ってもらえるようなクリニックにしていきたいですね。開業前は、当院は入り口に少しだけ階段があり患者さんにご不自由をかけるのではないかというのだけが気がかりでした。ところが、階段が大変そうな患者さんがいらしたら、自ら進んで外まで迎えにいってくれるような温かなスタッフたちばかりで、本当に助けられています。患者さんへの対応も、マニュアルどおりではない臨機応変な優しさにあふれている自慢のスタッフたちです。これからも、みんなで力を合わせ「かかりつけのおなかのクリニック」として成長していければと思っています。
お忙しい毎日ですがお休みの日はどうお過ごしですか?
子どもが3人いるので、広い公園に行ってみんなで一緒に遊ぶなどしています。がん研有明病院は「有明の丘」に隣接していて、テニス、野球、サッカー、ブレイブボードなどを楽しむ人々でにぎわっていましたが、私たちも家族で鬼ごっこをするなどしていましたね。また、2年前からアコースティックギターを習い始めました。きっかけは、妻が選択理論心理学をベースにした子育てのための勉強会を主催していて、何か手伝えたらいいなと考えたからです。なかなか面白いワークショップで、子育てだけではなく勤務医時代には部下との関わり方にも応用できました。最近は父親の参加も多く、パパだけの飲み会などもあるんですよ。知り合いは医師ばかりとはならず、いろいろな職業の方とお話しできて視野も広がり、ありがたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

内視鏡検査は誰でも不安なものです。顔には出さないものの、実は女性以上に怖がっている男性も数多く診てきました。ここでは弱みを見せても大丈夫です。スタッフ全員で包み込みたいと思っていますので、遠慮なく素直な気持ちをお聞かせください。これまで内視鏡検査でつらい経験がある方でも「来て良かった」と納得してもらえるような技術を磨いてきたと自負しています。これまでの経験上、何度か検査を重ねるうちに安心していただけるのか鎮静剤なしに切り替え、「自分のおなかがどうなっているのか見たい」という方も少なくありません。勤務医時代に毎年内視鏡検査をさせていただき、もう10年以上のお付き合いの方もいます。どんな小さな病変も見逃すことなく、末永くおなかの健康を見守らせていただければ幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃の内視鏡検査/2万円~、大腸の内視鏡検査/2万5000円~