依田 真隆 院長の独自取材記事
よだ内科・循環器内科クリニック
(柏市/柏の葉キャンパス駅)
最終更新日:2024/09/04
200台分の駐車場を備え、バスでも通いやすい立地にある「よだ内科・循環器内科クリニック」。同院では一般内科のほか、心臓血管外科出身の依田真隆院長による循環器診療が幅広く行われている。国内にとどまらずドイツでも学びを深め、幅広い手術に対する経験が豊富な依田院長が注力するのは術前・術後のフォローや重大疾患の予防。専門的な視点と献身的な姿勢を持ち合わせ、丁寧なコミュニケーションを通して治療方針を模索する。話を聞くほどに医療への情熱が感じられる依田院長に、同院の特徴や日々の診療の際の心がけ、診療スタイルのベースとなった出来事などを聞いた。
(取材日2024年8月1日)
循環器全般の診療から術前・術後のフォローまで対応
この場所に開業した理由と、医院の特徴を伺います。
直近で働いていた病院と連携しやすく、病院で診てきた患者さんを引き続き診療できる場所でもあるという理由で柏に開業しました。ちなみに私はこの近辺の出身で、公私ともになじみのある土地なのです。勤務医時代は心臓血管外科の医師として、さまざまな手術に携わりました。開業医となった現在は、主に不整脈や狭心症、心臓弁膜症といった循環器領域の症状・疾患に全般的に対応しています。軽い胸痛や動悸であっても重度の病気が隠れている可能性があります。少しでも違和感があれば一度検査にお越しください。他にも高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病の治療や、院内でできる外科処置として下肢静脈瘤の治療も行います。最近増えている睡眠時無呼吸症候群についても、適切な検査を行い治療につなげています。
設計や設備面などでこだわった点はありますか?
当院は医療モールにあるクリニックとしては珍しい平屋の構造です。心臓外科や循環器内科の患者さんはご高齢の方が多く、1階のほうが出入りしやすいため、「1階であること」を条件に物件を見て回りました。内装や部屋の配置などは、スタッフが快適に働ける動線を確保しつつ、車いすを利用する患者さんが余裕を持って通れるように廊下や扉の幅も広く設計しています。また一般の患者さんと発熱の患者さんの動線を分けて診療が行えるよう別室の待合室と診察室を用意しています。設備に関しては、循環器診療に必要な機器を一通りそろえました。具体的には超音波検査装置やエックス線撮影装置の他、24時間、場合によっては1週間続けて心電図を記録できる機器も備えています。大型のCTやMRIを除き、大きな病院で実施している検査をクリニックレベルで受けられるのが特徴です。
ここでどのような医療を提供したいとお考えですか?
先ほどお話しした循環器診療に加え、心臓血管外科の専門性を生かし、術前・術後の診療に取り組みたいです。こうした対応が専門的にできる医療機関は限られているため、心臓・血管手術後のフォローを希望される飛び込みの患者さんも受けつけています。また、他院で手術を勧められた患者さんが本当に手術が必要なのか迷われている時の、セカンドオピニオンとしての機能も果たしたいです。「教科書的には手術が必要とされていても、それが果たしてご本人にとって幸せなことなのか」「高齢という理由だけで本当に手術できないのか」など、一概に言えない部分を、その方の健康状態や生活スタイル、家族のサポート体制などを含めて専門的に検討できたらと思います。実際に手術を行ってきた心臓血管外科の医師だからこそできることであり、術前の相談だけでなく、術後も独自の視点から長期的にフォローアップできるのが強みです。
意識と体を患者に向けて診療、家族の考えや要望も尊重
手術を検討する際、大切にしていることを教えてください。
まずは診察室に入ってくるまでの足取りをはじめ、患者さんの様子や見た目をしっかり観察します。年齢とお体がお元気かどうかは必ずしもイコールではないためです。そしてご本人とお話しするだけでなく、ご家族もお呼びしてバックアップ体制などを確認します。心臓の手術は命に関わる病気の治療であり、最悪の場合はそのまま寝たきりになってしまう可能性もあります。だからこそご家族がどこまでサポートできるのか、患者さんとご家族の死生観も含めてお聞きすることが大切です。そうやって対話を重ね、手術にご納得いただいた場合は病院も選んで差し上げるのが私の使命です。病院を探すお手伝いはもちろん、患者さんを支えるご家族が通いやすい地域や希望される医療機関があればそちらも紹介します。
先生の診療ポリシーをお伺いします。
診療中はパソコンの画面ではなく、患者さんときちんと向かい合って話ができるよう工夫しています。たとえ5分、10分と会話をしても、画面を見ながらの診療では患者さんは「全然話を聞いてもらえなかった」と感じるでしょう。また私も、勤務医時代にカルテ入力や次回の予約、処方といった事務作業を何とか効率化できないかと考えておりました。そのため開業時に、これだけはやりたかったこととしてMS(医師事務作業補助者)を設置し、当院の補助業務を担当してもらっています。MSのおかげで患者さんとの時間を有意義に使えるようになり、とても助かっていますね。
患者さんとのコミュニケーションを重視されているんですね。
心臓血管外科にいた時は検査データから治療の必要性などを診断できましたが、内科だとそうはいきません。その方の雰囲気や診察室に入る動作など「患者さんの全体」を見て、何の情報もないところから病気を探らなければならないため、対話にも比重を置いています。そして患者さんのお話をよく聞くとともに、こちらからも検査結果などを詳細に説明します。口頭のみでお伝えした内容は頭に残りにくく、家に帰って家族に説明したくても難しいですよね。そこで冊子やイラストを活用し、病名を日本語で表記し、後でご家族も調べやすいようにキーワードも書くなどの工夫をしています。
幅広い手技と心構えを学んだドイツでの日々がベースに
学生時代や勤務医時代の話をお聞かせください。
中学時代に開業医の父を持つ友人に影響を受け、医学の世界に憧れて医療の道に進みました。また、中学から大学までラグビー部に所属していました。練習を重ね、花園に出場できたのは良い思い出です。大学卒業後に心臓血管外科を専攻したのは、心臓血管外科手術を得意としていた東京女子医科大学に見学に行った際、非常に長い時間を要する大きな手術を目の当たりにしたのがきっかけです。大変な診療科であることは明白でしたが、難しい医療を支える点に魅力を感じて飛び込みました。その後は国内の複数の病院で研鑽し、日本では経験できない手術を多数手がけるドイツでも学びました。
大切にしている教えなどはありますか?
ドイツ時代に教えを受けた南和友先生から手術や患者さんとの接し方を学びました。常日頃おっしゃっていた「スタッフは自分と同等なのだから、決してないがしろに扱ってはいけない」という言葉は、今も胸に刻まれ、良い教育を受けたと感じています。また、手術に関しても、心移植から人工心臓、冠動脈バイパス術までさまざまな手術もできてこそ真の心臓血管外科の医師であるという教えのもと、幅広く勉強しました。ドイツでの経験は自信にもつながりましたし、帰国した後も多くの場面で生きています。
診療でお忙しいと思いますが、休日はどのように過ごされていますか?
心臓血管外科で働いていた頃は術前・術後の管理を含めると365日休みなく仕事をしていましたので、実はまだ休日の過ごし方がわかっていないんです(笑)。以前は仕事用の携帯を肌身離さず、どこに行くにも持ち歩いていました。今はそうした生活ではなくなったので、最近は少し旧友に会ったり、登山やハイキングに行こうと計画しているところです。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
近年は心不全の患者さんが多く、心臓リハビリテーションを含め心不全の治療にも注力したいです。退院後に再発しないようフォローできる場所になるのが目標の一つです。また勤務医時代、循環器領域には急変や突然死してしまう病気が多いと感じてきました。急性心筋梗塞や大動脈解離などの予防に努めるべく、若い高血圧症・脂質異常の患者さんに啓発したいです。まずは健康診断で指摘された箇所がある方にはぜひ受診していただきたいと思います。胸の違和感や動悸、息切れ、足の血管にこぶがある方も、病気の早期発見・治療のために一度お越しください。