世良 泰 院長の独自取材記事
池尻大橋せらクリニック
(目黒区/池尻大橋駅)
最終更新日:2024/11/13

東急田園都市線・池尻大橋駅北口より徒歩5分、閑静な住宅街にあるビルの4階に2024年6月「池尻大橋せらクリニック」がオープンした。院長の世良泰(せら・やすし)先生は、日本整形外科学会整形外科専門医の資格を持ち、スポーツ整形外科や内科診療にも対応するマルチプレーヤー。クリニックの診療科もかなり幅広く、初めての人は戸惑ってしまうかもしれないが、世良院長は「健康を通じて、すべての人の夢や生活を応援したい」という思いがあるという。「スポーツ医学は、スポーツ選手だけのものではないんです」と優しく笑う世良院長に、開業の経緯やクリニックの理念、今後の展望などについてじっくりと話を聞かせてもらった。
(取材日2024年7月17日/更新日2024年11月8日)
身近で総合的な医療を提供するためスポーツ医学を学ぶ
開業されるまでの経緯を教えてください。

病気を治すことよりも、健康であることに興味があり、より健康に近い診療科としてスポーツ医学を選びました。医学部を卒業し、初期研修後、大学病院や市中病院で手術や整形外科診療に携わりましたが、自分の本当にやりたいことはスポーツ医学であり、病気になる前から健康を意識するのが理想だという思いがありました。「スポーツ医学」というと、スポーツ選手がけがをした際の医療、というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。アメリカで「sports medicine」というと、家庭医学や救急医療、そして「運動」「食事」「休養」「メンタル」なども含めた、もっと身近で総合的な医療ケアのことを指します。特に運動は、多くの状態を改善へと導くために必要な、万能薬のようなものだと考えます。日本では、そういった総合的な医療を提供する場がほとんどなかったので、だったら自分でつくろうと思ったのが開業のきっかけです。
確かに、こちらにはたくさんの診療科がありますね。
そうですね。例えば糖尿病の患者さんが糖尿病内科にかかり、医師から「もっと運動しましょう」と言われたとします。でもその方がもし、膝に痛みを抱えていたとしたらどうでしょうか。痛みを我慢しながら運動をしても良いのか、何をどのくらいやれば良いのか、ご自身ではなかなかわからないと思います。さらには糖尿病の合併症として網膜症をお持ちの患者さんも少なくありません。当クリニックであればそういった複合的な悩みのある方にも、一人の医師がトータルで診察をして方針を示し、さらにリハビリテーションで具体的な運動指導を行うといったことができるんです。
どんな患者さん、どんなご相談が多いですか?

スポーツ選手や運動部の学生たちもいますが、40〜60代くらいの、地域の方が比較的多いですね。お子さんが最初に通って、次に保護者の方が相談にいらっしゃるケースもあります。相談内容も、スポーツ障害や膝・腰の痛み、四十肩など多岐にわたります。通常であれば痛み止めのお薬で「様子を見ましょう」となってしまうような不調でも、原因を考えてそこにアプローチし、適切な運動を行うことで、今後も痛みの出にくい体をめざします。もちろん生活習慣病、発熱などの風邪症状、胃腸炎や花粉症などにも対応しています。
健康を通じて夢や生活を応援したい
開業にあたり、こだわった点などを教えてください。

全体的に落ち着く、和のイメージにしたいと思い、クリニックの内装は白と淡い木目を組み合わせています。「池尻大橋せらクリニック」のロゴマークも書道家さんに書いてもらいました。設備や機器にもこだわっていて、エックス線検査や運動器のエコー検査はもちろんのこと、腹部や頸動脈のエコー検査もクリニック内で行えますし、眼底検査や骨密度検査、心電図検査などにも対応しています。リハビリ室にはAI制御のスミスマシンやフィットネスバイクなどの新型のマシンをそろえており、膝・腰に痛みのある方から、本格的なアスリートのレベルまで幅広い運動強度に対応できるようになっています。
リハビリ室のスタッフとはどのように連携を取っていますか?
定期的にカンファレンスを設けて情報共有するようにしていますが「百聞は一見にしかず」なので、少しでも時間があれば私がリハビリ室に行って患者さんの様子を見るようにしています。患者さんも喜んでくれますし、私自身も、リハビリの様子を見ることでわかることも多いんです。私が「この患者さんはこの辺りにアプローチすればもっと良くなるのでは?」とか「姿勢がこうなれば痛みが軽減するかな」と考えていた部分に対して、理学療法士が実際に動いてくれます。リハビリのプロである理学療法士の考えを知るのはとても大事だと思っていますし、ただ運動すれば良いというわけではなく、診察室で私が考えていた見解と理学療法士の方針が一致することで、患者さんにより良いリハビリが提供できると考えています。
クリニックの理念についてお聞かせください。

私たちが今後の生活、夢や目標を思い描くとき「この先も健康であること」が大前提となっています。しかしながら、健康であることは決して当たり前ではありません。夢も目標も、ほとんどの場合「健康であること」という土台の上に成り立っているのです。私は、健康をサポートすることで、皆さんの夢や目標の達成のお手伝いをしたいと思っています。当クリニックにはすべての根源に「健康を通じて夢や生活を応援したい」という理念があり、その実現のためにさまざまな領域の診療科があるという感じです。
地域社会の健康な毎日をサポートしたい
お忙しい中、休日は何をして過ごしていますか?

医療従事者自身のQOL(生活の質)も大事だと思っているので、たまに勉強会や講習会など別の仕事が入ることもありますが、休みの日は基本的にプライベートをしっかり楽しむようにしています。先日は越後湯沢に行き、川で釣った魚を焼いて食べたり、夜は蛍を見に行ったりして過ごしました。
クリニックの今後の展望を教えてください。
皆さんが「健康であること」の大切さに気づき、健康であるためにどうしたら良いかを知る手助けをしていきたいです。現代社会は多くの情報があふれているので、惑わされないように正しい知識を伝えたいですね。あとは、子どもの成長に関するところもしっかりとやっていきたいと考えています。当クリニックには「成長促進」といって、子どもの低身長に対し、医学的な治療や運動、日常生活での注意などスポーツ医学の視点からアプローチする外来もあるんです。身体的な成長は子どもの時期にしかできないことですし、成長の度合いは年齢ではなく、個人個人によって異なります。成長や成熟を評価したり、今後の成長を予測したりすることはスポーツの現場においても重要です。けがの予防にもつながりますので、クリニックとしても今後さらに力を入れていきたいですね。
子どものうちだからこそ予防を意識しておいたほうが良いこともあるのですね。

はい。もちろん先ほどお話しした成長促進についてもそうですが、視力についても注意しておきたい年代ですね。当院では子どもの近視を予防するためのアドバイスにも取り組んでいます。けがの予防や、背を伸ばすこと、近視など視力の低下を防ぐなど、子どものうちにできる治療は大人に比べて限られていますが、そのぶん知識で予防できるものは積極的に予防してあげたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
健康であることは決して当たり前ではありません。当クリニックでは、「運動」「食事」「休養」「メンタル」、すべての面から皆さんの健康を応援し、日々の生活、今後の夢や目標を応援します。「もう年だから」と諦めているような痛みや不調も、一人ひとりに最も良いと考えられる方法を一緒に考え、取り組んでいけば、きっと解決への道が見えてくると信じています。丁寧で心のこもった温かい医療を提供し、皆さんが健康な毎日を送れるようサポートしていきたいと思っていますので、どんなことでも気軽にご相談ください。