北島 和樹 院長の独自取材記事
きたじま腎泌尿器科クリニック 世田谷烏山院
(世田谷区/千歳烏山駅)
最終更新日:2025/06/26

京王線・千歳烏山駅から徒歩1分という利便性の高い立地に、2024年5月に開院した「きたじま腎泌尿器科クリニック 世田谷烏山院」。北島和樹院長は、医師となって20年もの間、前立腺肥大症や過活動膀胱など排尿に関わる病気や、腎臓・膀胱・前立腺における疾患など幅広い診療に携わってきた。豊富な手術経験を生かした日帰り手術では、初診から術後ケアまで一貫して対応する診療体制を構築。「泌尿器科は恥ずかしい」とためらう患者の心に寄り添い、待合室・トイレを男女に分けるなど、受診しやすさにもこだわっている。診察では解剖図を用いた丁寧な説明を心がけ、「迷ったら気軽に相談を」と呼びかける北島院長。開院から1年を迎えた今、改めて地域や医療への思いについて聞いた。
(取材日2025年5月27日)
少しの変化でも気軽にかかれる身近な腎・泌尿器科に
開業から1年を経て、地域の印象はいかがですか?

はい、地元である世田谷区に恩返しをしたいと考え、千歳烏山駅前で開業して1年がたちました。この地域には泌尿器科が少なく、多くの方が隣駅や遠方まで通院されていました。そのため、利用者の多い京王線の主要駅の前にクリニックを構えたことで、患者さんから感謝の声をいただくことも多く、とてもありがたいですね。当院では、尿漏れや頻尿などの排尿トラブルから、尿路感染症、腎不全、悪性腫瘍まで、腎・泌尿器科全般の診療を行っています。また、小児の夜尿症のご相談も受けており、思春期になっても治らず、親子で来院されるケースも少なくありません。お子さんの状況だけでなく、親御さんの悩みもお聞きしながら、丁寧な診療を心がけています。来院される患者さんの層も、子どもから高齢者まで幅広いです。中高年の患者さんには健康意識の高い方も多く、ちょっとした変化にも気づいて受診される方の割合が高いことを、医師としてうれしく思います。
日頃の診療で、どういったことを大切にしていますか。
患者さんの臨床経過を知ることが非常に大事ですから、症状について時間の経過も意識しながらお話を伺います。どんな検査が必要かを考えるために、鑑別疾患、つまり可能性のある病気を頭の中に置きつつ聞くことも、大切にしていますね。検査については、患者さんに「なぜその検査をするのか」をきちんと説明してから進めます。先進の検査機器を導入しており、例えば、尿の中の血液成分や異形細胞を人工知能を用いて判断する尿沈渣検査機器を活用しています。基本的に5~10分程度で結果が出ますので、長くお待たせせずに精密な検査ができるでしょう。また膀胱内視鏡も備え、総合病院のような精度を追求した、痛みのほぼない検査を、駅近の当院で行えます。このような検査の提供で早期発見・治療に努め、地域の皆さまの健康長寿に貢献していきたいです。
どのような症状を自覚した場合に、受診を考えるべきなのでしょうか?

泌尿器に関しては、頻尿、血尿、尿漏れといった症状が代表的で、ご自身でも比較的気づきやすいものです。これらは年齢や生活習慣によって起こることもありますが、治療の選択肢が豊富にあるため、早期に受診いただくことで症状の軽減がめざせるケースが多くあります。最近では薬の進歩や日帰り手術の普及により、患者さんの負担も少なくなっていますので、「少し気になる」程度でもご相談いただければと思います。一方、「沈黙の臓器」といわれるほど自覚症状が出にくい腎臓の病気の場合、気づいた時にはすでに進行していることも少なくありません。体重の急激な増加、むくみといった変化は、腎機能障害の初期サインである可能性があります。また、健康診断や地域の尿検査で異常を指摘された場合も、症状がないからと放置せず、ぜひ受診なさってください。早期発見で、症状の重症化を防げるかもしれません。
初診、手術、術後のケアまで一貫して診る安心の体制
これまで多くの手術に携わってきたそうですが、どのような経験を積まれてきたのですか?

腎・泌尿器科領域における手術は、従来の内視鏡手術から先端のロボット支援下腹腔鏡手術、患者さんの負担を軽減する小切開手術まで、幅広く担ってきました。腎移植手術も経験しています。現在、私は久我山病院、北里大学に籍を置いており、常に知識がアップデートできる状況なので、手術について何か聞かれれば患者さんに合った新しい情報をお伝えできるでしょう。また当院においては日帰り手術を提供しており、手術の日程や症状によって久我山病院や提携するクリニックでの執刀を行っています。どの患者さんも術前診断から手術、術後管理・フォローまでを私が担当し、一貫して診ることで、精神的な負担を軽減し、安心につなげられるよう努めています。
前立腺肥大症の日帰り手術について、お聞かせください。
前立腺肥大症の治療には内服治療と手術がありますが、根本的な改善を図るには手術が必要となります。先進のWAVE手術では、高温の水蒸気で肥大した前立腺組織を壊死・縮小させ、症状の改善を図ります。低侵襲で平均5分ほどの短時間で終了する上、全身麻酔手術なので痛みも少ない方法です。健康保険適用で受けられ、術後の再発リスクも低いとされるため、ご満足いただけるのではないでしょうか。当院では土曜日に手術を行うため、特に働き盛りの方にとっては、週末に手術を受け、週明けには職場復帰が見込めるというメリットがあります。ただし、排尿障害の原因が前立腺でなく膀胱にある場合は、十分な効果が見込めないケースも。手術を検討する際は、事前の検査でその点を見極めます。また、術後1週間程度は尿道カテーテルの留置が必要であり、多少の不便さを伴いますが、日常生活はほぼ通常通り送ることができ、見た目にも目立たない工夫がされています。
過活動膀胱の日帰り手術もされているそうですね。

はい。難治性の過活動膀胱に対する日帰り手術として、ボツリヌス毒素製剤膀胱内注入療法を行っています。内服薬で十分な効果が見込めない患者さんに対し、A型ボツリヌストキシンという天然のたんぱく質を主成分とする薬を膀胱の筋肉に注入します。筋肉の過剰な収縮を抑えることが見込め、頻尿や尿意切迫感、切迫性尿失禁などの症状を改善をめざす方法です。手術は10~15分程度で終了し、局所麻酔を用います。過活動膀胱で悩む女性の方は非常に多く、40代以降でおよそ8人に1人は症状を抱えているといわれています。しかし、この手術を行うクリニックはまだ数が限られているのが現状です。お悩みの方は、ぜひ一度お越しください。
一人でも多くの患者さんを、最適な医療につなげたい
患者さんが受診しやすいように、心を配られている印象があります。

そうですね。アクセスの良さに加えて、院内施設にもこだわっています。女性専用の待合室を設け、トイレも男女別。また、診察室の前が廊下になっているのは、診察後に部屋を出た時、他人の視線が気にならないための工夫です。高いプライバシー性を保ち、患者さんがなるべく恥ずかしい思いをしないよう配慮しています。加えてホームページには、初診で陰部を診ることはほぼない、ということも載せています。誤解する方も多い情報をそうしてお伝えすることで、受診のハードルを下げることにつながればいいなと思っています。
クリニック外でも活動されてお忙しい中、どのようにモチベーションを保っていらっしゃいますか?
大学病院など外部の医療現場にも足を運ぶのは、スキルを磨くとともに、「患者さんに適切な医療を届けるため」でもあります。現場では、どの先生がどんな分野を得意とし、どういった治療をされているのかが肌でわかります。その知識をもとに、治療を必要とする患者さん一人ひとりに合った選択肢を提案し、納得いただいた上で、適切な治療を受けてもらえるようにしていきたい。その思いが大きなモチベーションになっていますね。また、院内にとどまらず外部にも出ることで、近くに腎・泌尿器科がない方のニーズも拾い上げていきたいです。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

開院からの1年、誰一人欠けることなく同じメンバーで診療を続けた中で、チームワークの深まりを実感しています。患者さんの立場に寄り添い、私の手が離せない場面でも、自ら考えて動いてくれるスタッフがそろっています。泌尿器科は少し受診にためらいがあるかもしれませんが、当院では安心してお話しいただけるよう配慮していますので、たとえ小さな違和感であっても、ぜひ早めにご相談ください。「ここに来てよかった」と思っていただけるよう、スタッフ一丸で努めてまいります。