北島 和樹 院長の独自取材記事
きたじま腎泌尿器科クリニック 世田谷烏山院
(世田谷区/千歳烏山駅)
最終更新日:2026/03/27
京王線・千歳烏山駅から徒歩約1分の「きたじま腎泌尿器科クリニック 世田谷烏山院」。腎泌尿器における幅広い悩みに応じる同院は、2024年5月に開院。翌年の5月より前立腺肥大症に対する日帰りのWAVE手術(経尿道的水蒸気治療)を開始した。さらに現在は、術後の在宅看護サービスとの連携や女性医師の着任など、地域で完結する泌尿器科医療の実現に向けた取り組みを加速させている。大学病院や関連施設で20年以上も研鑽を積んできた北島和樹院長がめざすのは、「患者さんとご家族を町全体で支える医療」だという。取材では、その熱い思いと具体的な取り組みについて詳しく聞いた。
(取材日2026年2月26日)
経験に裏打ちされた前立腺肥大症の日帰りWAVE手術
前立腺肥大症の日帰り手術を本格的に始められたそうですね。

当院では、2025年5月からWAVE手術を本格的に開始し、2025年12月までに54件を実施しました。現在は毎週土曜日にWAVE手術を行っています。私はこれまで、大学病院や基幹病院で数多くの前立腺肥大症手術に携わってきました。従来は1週間程度の入院が必要で、大規模病院でも2泊3日で行うことが一般的でした。しかし、実際の手術時間は5分ほどで、そのギャップに以前から疑問を感じていたのです。そこで私は、患者さんにとって身近な地域のクリニックで、負担の少ない形で手術を提供できないかと考え、体制を整えてまいりました。働き盛りの世代が金曜日までお仕事をされ、土曜日に手術を受け、月曜日から復帰できる選択肢を持てることは大きな意義があると思っています。医療の質を保ちながら生活への影響を最小限にすることが、地域医療を担う者として大切な役割の一つだと考えています。
安全性や体制面でのこだわりはありますか?
WAVE手術は高温の水蒸気で前立腺組織を縮小させる低侵襲治療で、施設により全身麻酔または静脈麻酔が用いられます。当院では、患者さんにできるだけ痛みを感じずに手術を受けていただきたいという思いがあり、麻酔科を専門とする医師と連携し、全身麻酔下で実施していることが特徴です。麻酔を施し、20分ほど眠った状態にしてから手術を行うため、痛みを感じることはほとんどないと言えるでしょう。長年外科的治療に携わってきた立場として、自分の親が受けても安心だと思える方法で手術を提供したいと考え、行っています。
遠方からも患者さんが来ているとお聞きしました。

たいへんありがたいことに、熱海や埼玉など遠方からも来ていただいています。前立腺肥大症は頻尿や夜間頻尿などにつながり生活の質を大きく下げる疾患ですが、手術への心理的ハードルが高いのも事実です。そんな中で当院を頼ってくださったのですから、できるだけ助けになりたいという思いがあります。私は当院で、術前診断から手術、術後フォローまで一貫して担当していますので、その点でもご安心いただけるのではないでしょうか。排尿障害の原因が前立腺にあるのか、膀胱機能にあるのかを丁寧に見極めた上で、適切な治療を提案することを大切にしています。単に手術件数を増やすのではなく、患者さん一人ひとりに本当に必要な医療を届けるという姿勢を貫いていきたいと考えています。
在宅看護ステーションと連携し、術後の患者をサポート
術後の在宅看護サービスを始められたきっかけは何でしょうか。

「町全体が病院のように機能する医療」をめざし、ご自宅でのケアを充実させるために在宅看護サービスを始めました。というのも、大規模病院への入院中は不安を減らせるというメリットがありますが、退院後についてはいかがでしょうか。さまざまなケースを担当させていただく中で、患者さんよりもむしろご家族のほうが、退院後の生活について不安を感じることが多いことに気づいたのです。具体的には、患者さんの体にカテーテルが入ったまま帰宅することに戸惑うご家族も多くいらっしゃいます。そういった不安を支えるべく、地元の訪問看護ステーションと連携し、手術当日に看護師が訪問する体制を整えました。必要に応じてプロの助けが入る仕組みは、患者さんとご家族にとって大きな安心につながることでしょう。その安心を支える仕組みづくりこそが、地域医療の役割だと考えています。
在宅看護サービスにおける、具体的なサポート内容について教えてください。
術後1週間は尿道カテーテルを留置しますが、まれに出血による閉塞や一時的な尿閉が起こることがあり、その際は迅速な対応が必要です。こうしたトラブルが発生した場合、ご連絡いただければ訪問看護師が患者さんのご自宅に赴いて状態を確認し、必要に応じた対応や受診の調整を行います。18時以降の相談にも対応可能です。「119番に連絡するほどではないが不安」という状況は少なくありません。そうした「隙間」を埋めるのが在宅看護サービスなどの地域連携の力だと思います。診断・手術・術後管理まで一貫して支える体制があるからこそ、日帰り手術を受ける際の不安を払拭できるのだと考え、力を入れて取り組んでいます。
今後の地域医療の形について、どのようにお考えですか?

将来的には、膀胱がんの内視鏡切除なども日帰りで実現できないかと検討しています。海外ではすでに行われている例もあり、在宅看護との連携があれば日本でも行える可能性はあると感じています。これまでは大学病院で治療を行い、入院するのが当たり前という時代でしたが、地域で完結できる医療へとシフトしつつあるように、ある程度の手術をクリニックで担うことができれば、患者さんの負担は減らせるはずです。そのために、これまで私が大学や関連病院で培った経験を生かすことができればと考えています。地元・世田谷の地域医療に貢献したいという思いが、日々の取り組みの原動力になっています。
女性医師とともに受診しやすい泌尿器科を築きたい
女性医師による診療を始めた理由についてお聞かせください。

泌尿器科は女性にとって受診の心理的ハードルが高い診療科だと思います。世田谷区内でも泌尿器科を専門とする医師は限られており、女性医師の診療を受けたい場合、遠方まで通う方も少なくありませんでした。そのような現状の中、地域の方が困らないようにしたいという思いから、東京女子医科大学でともに働いていた永久知佳先生を迎え、女性泌尿器科の外来を開始した次第です。誠実で信頼できる医師を迎えられたことをうれしく思います。院内には女性専用待合室を備え、トイレも男女別です。また、他の患者さんの視線が気にならないよう、診察室の前を廊下にするなど、プライバシーに配慮しています。さらに、誤解や不安を事前に解消することが受診のハードルを下げることにつながると考え、ホームページには初診で陰部を診ることはほぼないことも明記しています。こうした取り組みもあって患者数も増え、地域のニーズを実感しているところです。
今後の展望を教えてください。
これまでお伝えしてきたように、前立腺肥大症の日帰り手術や、将来的に検討している膀胱がんの内視鏡切除など、これまで病院への入院が前提とされてきた治療を、地域のクリニックで完結できる形にしていくことが大きな目標です。女性泌尿器科領域の手術、特に尿失禁に対する外科的治療についても体制を整え、幅広いニーズに応えていきたいです。私が大学病院で培った経験を地域に還元し、この町で受けられる医療の選択肢を広げていきたいと思っています。その実現にはスタッフとの連携が欠かせません。当院のスタッフは患者さんに丁寧に向き合う自慢のチームです。感謝の言葉をいただくことも多く、それは私たちの姿勢が伝わっている証だと感じています。医師1人の力では地域医療は成り立ちませんので、チームで患者さんやご家族を支える体制を強化し、「町全体が病院」という理念を具体化していきたいと思っています。
最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

排尿に関するお悩みは、どなたにでも起こり得るものです。しかし、つい我慢してしまったり、受診をためらったりしてしまう方が多い分野でもあります。これからも患者さんに「気軽に相談できる場所」として頼っていただけるよう、検査や治療内容について丁寧にご説明し、納得して選択していただける医療を提供していきたいと考えています。地域の皆さんが、自分が生活する町で安心して医療を受けられる環境を守り、育てていくことが私の願いです。腎泌尿器に関するお悩みがありましたら、どうぞ気兼ねなくご相談ください。

