木長 健 院長の独自取材記事
きなが内科・内視鏡クリニック
(神戸市灘区/王子公園駅)
最終更新日:2024/07/08
阪急神戸本線・王子公園駅から東に徒歩3分ほどの医療ビルの3階にあるのが、2024年5月に開業した「きなが内科・内視鏡クリニック」だ。エレベーターを降りるとまず目に飛び込んでくるのが、受付の壁一面に鮮やかな色彩で描かれた絵画。待ち時間に眺めていると、明るく穏やかな気持ちになれそうだ。2つあるゆったりとしたソファーも置かれた大腸内視鏡検査の前処置室はトイレつきで完全個室。検査室から回復室までは体の負担の軽減のためにストレッチャーを使用するなど、患者の過ごしやすさを考えた設計だ。「少しでもハードルを低くすることで、気軽な気持ちで検査に来ていただきたい」と、話す木長健(きなが・つよし)院長。クリニックの特徴や、胃がん・大腸がんで亡くなる人をなくしたいという強い思いなどを語ってもらった。
(取材日2024年6月11日)
検査を明るい気持ちで。ハードルの低いクリニック
待合室の壁一面に、明るく温かい雰囲気の絵が描かれています。とてもすてきですね。
ありがとうございます。名前に「内視鏡」と入れているとおり、当クリニックでは胃や大腸の内視鏡検査を受けることができます。検査を受けに来られる患者さん方の多くは「おなかが痛くなったら嫌だな」「気持ち悪くなるかもしれないな」など、不安や憂欝(ゆううつ)な気持ちから硬い表情でいらっしゃいます。うきうきと楽しい気持ちで来られる方は少ないですよね。なので、お越しになった患者さんに少しでも明るい気持ちになっていただきたいと考え、来院して最初に目に入る受付の後ろの壁に、絵を描いてもらいました。一度作品を見て感銘を受けたアーティストに直々にお願いしたもので、明るい色使いとやわらかなタッチがとても気に入っています。
こちらでの内視鏡検査について教えてください。
当クリニックでは、AIによる画像診断のサポートができる内視鏡機器を導入しています。診断に迷う際、医師がたくさんいるような大きな病院であれば医師同士で相談し合うことができますが、医師が一人のクリニックですと気軽にそういったことはできません。ですのでAIのサポートを使うことで、判断の補助や医師が病変を見逃さないためのダブルチェックに役立てることができると考えています。機械は人間と違って検査が立て続いても疲れることはありませんので、そういった意味でも便利に使っていきたいと考えています。また、検査の際に患者さんが緊張していると、体に無意識のうちに力が入ります。疾患の見落としを防ぎ、スムーズで痛みの少ない検査をするために、リラックスしていただけるような声かけも丁寧に行っています。
他にも患者さんのためにこだわった部分はありますか?
予約は電話以外にも、ウェブやSNSでも対応しています。また、同様に胃カメラや大腸カメラの事前問診についても、ウェブやSNS上でお時間のある時にご自宅などでゆっくりと回答することができます。お支払いはクレジットカードに対応し、近日中にはQRコード決済も導入予定です。最近はキャッシュレスに対応しているお店も増え、現金でしか支払いができないのは医療機関くらいかもしれません。検査や処置の内容によってはご負担額が少し大きくなることもありますので、現金をご用意いただく手間をできるだけ減らしたいと考えます。また現在は、お待ちいただく時間を活用して看護師による予診(診察前の問診)を行っています。これらはいずれも、検査を受けることのハードルを少しでも低くして、気軽にご来院いただきたいという思いからです。
修道士の生き方から、社会の役に立つために医師を志す
先生が医師を志したきっかけを教えてください。
小学4年生の時に視力が低下し、眼鏡をかけるようになりました。その際にクラスメイトにからかわれたことで、眼科の医師になって目を治療したいと思うようになりました。とはいえ、本格的に医師を志すきっかけとなったのは、中学・高校の校長先生との出会いです。キリスト教系の学校で6年間寮生活をして、そこで修道士という生き方に間近にふれました。「人はいかに生きるべきか」ということを、座学だけではなく恩師が実践しているのを目の当たりにしたことは、私にとって濃密な体験でしたね。自分が社会に対して何ができるかを真剣に考える機会であったと思います。神職に進むことや、医師として発展途上国や無医村に行くことを本気で考えたこともあります。
内視鏡を専門に選ばれたのはなぜですか?
医学部の実習の際に、目で見て処置ができる内視鏡検査の面白さ、そして自分がその分野が得意であるということに気がついたからです。内視鏡検査はポリープや腫瘍などの病変を探し、発見をめざし、その摘出を図るというわかりやすさがあります。簡単に言うと「悪いところを取ることができれば元気につなげられるのがわかりやすくて、自分に合っている」と思いました。私が社会に提供できるもので、最も誰かに満足と感動と価値を与えられるものは内視鏡だと思っています。患者さんに「ありがとう、もう他の先生の検査は受けられないです」などと言っていただけたら、本当にうれしく思います。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
今の働く世代の方々は、本当に毎日お忙しくされています。ストレスが多いのはもちろん、残業や平日の疲れなどから、体に不調や異変を感じていても、受診をつい後回しにされている方が本当に多いです。医師の立場からしますと、つい「ちゃんと定期的に受診してください」「食事制限しないと駄目でしょう」などと言いたくなることもあります。しかし、患者さんにはわかっていてもどうにもできない現実があり、それを責めたところで何の解決にもならないと私は思うのです。ですので、問診の際にはそれぞれの患者さんの仕事や生活などの背景をじっくりと聞き、実際に何をどのようにしていくか、その方にとって適切な方法をともに考えたいと思っています。「怒られるから医療機関に行きたくない」と思ってしまうことは、患者さんの健康を守るにあたって最も避けたいことです。
胃がんと大腸がんで亡くなる人をなくしたい
先生が大切にされていることを教えてください。
改めて考えてみると、これまでに出会った人とのつながりや縁のようなものは大切にしているかもしれません。当クリニックのレイアウトは、以前自宅を建てる際にお願いしたインテリアコーディネーターにお願いしました。勤務医時代に診ていた患者さんが経営されているお店を利用することは今でもありますし、先日は私が16歳の時に交換留学先で出会ったタスマニアに住む友人が内視鏡の勉強で来日したので、一緒に食事をしました。気さくな性格ですし、人との付き合いは多いほうかもしれませんね。勤務医時代に定期的に検査を担当していた患者さんのこともよく覚えていて、「あの方のその後の経過はどうだろうか」と考えることもよくあります。
どのような方に内視鏡検査を受けていただきたいですか?
まず、健康診断で便潜血などの検査に引っかかった方には、どうか内視鏡検査を受けていただきたいです。もちろん便潜血が陽性であったからといって必ず病変があるわけではありませんが、誰しも一度検査をして状態を確認したほうがいいのではないかと私は思っています。加えて、どことなく調子が悪いなど心配事があるのであれば、とにかく気軽に来院いただきたいと思いますね。すぐに検査をするか、しばらく薬で様子を見るかどうかも含め、いろいろな方法があります。ずっと思い悩むくらいであれば、一旦お越しいただいたほうがいいかと思います。
最後に、読者に向けてメッセージをお願いいたします。
検査をしたからといって、必ずがんや病変が見つかるわけではありません。ですので、そのために日々お忙しい中時間をやりくりして、わざわざ医療機関を受診することをおっくうに感じられるのは、当然のことだと思います。でも、不安を感じながらずっと過ごされるよりは「仕方ないから行ってやるか」という気持ちでも構いませんのでどうか受診していただきたいです。私は「あの時、早く検査していればここまで大変なことにならなかったのに」と後悔する患者さんをたくさん診てきました。私の医師としての一番大きな願いは、胃がんと大腸がんで亡くなる人をなくしたいということです。そのために検査のハードルを低くし、リラックスした気持ちで検査を受けていただくことをめざしています。お気軽に受診してください。
自由診療費用の目安
自由診療とは上部内視鏡検査/2万円~、下部内視鏡検査/3万円~