自宅と歯科医院で「歯の掃除」を
家族で取り組む予防歯科
オーキッドJOYデンタルクリニック
(川崎市高津区/高津駅)
最終更新日:2024/09/03


- 保険診療
「どれだけ丁寧に歯磨きをしても、歯や歯茎の汚れを100%落とすのは難しい」と、「オーキッドJOYデンタルクリニック」の齋藤大輔院長は語る。歯ブラシが届きにくい場所に残った汚れは、食後8時間程度で「プラーク(歯垢)」と呼ばれる細菌の塊になり、やがて石灰化して歯石になる。すると、たとえ歯ブラシが届いても自力で落とすことは難しくなり、それが虫歯や歯周病の原因になるという。歯石になるのを防ぐには、日々のブラッシングによるセルフケアと、それでも落としきれない汚れを専用の機器で落としてもらうプロのケアを並行して行うことが重要だ。では、何歳くらいから、どのくらいのペースでプロのケアをプラスしていくと、きれいな口の中を保つことができるのだろうか。予防歯科の理想的な在り方について、齋藤院長に話を聞いた。
(取材日2024年6月6日)
目次
毎日のブラッシングはケアの基本。3ヵ月に1度のプロのケアをプラスして、プラークをコントロールしよう
- Qそもそも、なぜ歯科医院での定期的なケアが必要なのでしょう。
-
A
▲定期メンテナンスでは、歯や歯茎の掃除や汚れのチェック等を行う
ご自宅でのブラッシングだけだと、すべての歯を満遍なく掃除するのは困難で、磨き方の癖や歯並びなどによって、どうしても残ってしまう汚れがあるからです。もちろんご自宅でのケアも欠かせないものですし、「歯科医院に行く必要がない」と思うくらい、丁寧に行っていただくのはとても良いことです。しかし、歯に付着した細菌などの塊であるプラークは、およそ2週間で専用の機器でしか落とせない歯石となり、虫歯や歯周病の原因になります。ですから、健康なお口を保つにはプラークや歯石をなるべく早く除去しなくてはなりません。「毎日歯科医院に行く」のは現実的ではありませんから、3ヵ月に1回ほどは定期的に受診してほしいですね。
- Q歯科医院でのケアは、何歳頃から受けたほうが良いのでしょうか?
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A
▲1人でユニットに座るのが難しければ、パパ・ママの膝の上で診察
歯が生え始めた1歳くらいを目安に通院を開始してもらえると良いですね。この時期、歯に対して直接的にできるケアは少ないのですが、歯に悪影響を及ぼす生活習慣や、歯並びに良くない癖についてお話しすることはできます。何よりも、小さな頃から歯科医院に慣れておくと、いざ治療が必要になったときに抵抗が少なく診察台に上がれるようになるんですよ。当院では、診察台の隣までベビーカーのままで入ることができて、0歳のお子さんでもそのままでお口の中を見せていただくことは可能です。また、3〜5歳くらいになって1人で診察台に座れるようになれば、パパやママと並行してケアすることもできますから、お気軽にご相談ください。
- Q仕上げ磨きは、何歳頃まですべきですか?
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A
▲家での歯磨きの仕方を歯科衛生士が丁寧にレクチャーする
小学4年生くらいまでは、親御さんに頑張っていただきたいです。とはいえ「仕上げ磨きを嫌がって困る」という声はよく聞きます。無理やり磨こうとするとお互いに疲弊してしまいますので、「できないことを叱る」のではなく、最初は無理強いせず「できたところまで褒める」のを繰り返して、仕上げ磨きを楽しいものとしてお子さんに伝えていくと良いと思います。また、子どものプラークは意外と頑固で落とすのがかなり大変ですから、丁寧に繰り返し磨くこと。歯ブラシが開いてしまっていると汚れが取れにくいので、小まめに交換すること。立ったままでは奥が磨けませんので、仰向けに寝かして行うこと。フロスを必ず使うことなどが注意点です。
- Qパパ・ママ世代に注意してほしいことはありますか?
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A
▲土・日も診療を行う。忙しいパパ・ママ世代も通いやすい
パパ・ママ世代は仕事や家事、育児で忙しく、自分のことがおろそかになりがちです。子どもの歯は時間をかけて磨いても、自分の歯はおざなりという方も多いでしょう。体に体質があるように、歯にも歯質があり、菌に弱く虫歯になりやすい人もいれば歯茎が弱い人もいます。毎日のケアを怠ると弱いところに影響が出て、虫歯や歯周病になります。特に、歯茎は年齢とともに弱くなっていきますから、歯周病には気をつけてほしいですね。歯周病が進むと顎の骨が溶けて、歯が抜けてしまう原因になるほか、全身にも悪影響を与えることがわかっています。パパ・ママ世代にこそ、歯科医院での定期的なケアで口腔内の健康を維持していただきたいと思います。
- Q自宅ではどのような口腔内ケアが大切ですか?
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A
▲自宅でのセルフケアと歯科医院での定期的なケアが重要
虫歯も歯周病のケアも、自宅での丁寧なブラッシングが基本中の基本です。ちゃんと口腔ケアができていない人を診ると、まったく歯を磨いてない人と、磨いてはいるけど十分ではない人がいます。まったく磨いていない人は、とにかく歯磨きの習慣をつけましょう。不十分な人は、おそらく歯磨きの時間が短いのが原因です。ですから、洗面台の前に立って歯を磨いて、すぐに終わらせてしまうのではなく、椅子に座ってテレビでも見ながら、ある程度の時間をかけて歯磨きをする。そうすれば、おそらく全体的にはある程度きれいになりますから、次の段階として鏡などを見ながら、汚れが残りやすい場所などを意識して歯を磨くようにすると良いでしょう。