自宅と歯医者で「歯の掃除」を
家族で取り組む予防歯科
オーキッドJOYデンタルクリニック
(川崎市高津区/高津駅)
最終更新日:2023/06/08
- 保険診療
「どれだけ丁寧に歯磨きをしても、100%汚れを落とすのは難しい」と、「オーキッドJOYデンタルクリニック」の齋藤大輔院長は語る。歯ブラシが届きにくい場所に残った汚れは食後8時間程度で「プラーク(歯垢)」と呼ばれる細菌の塊になり、やがて石灰化して歯石になる。すると、例えブラシが届いても自力で落とすことはできないという。歯石になるのを防ぐには、日々のブラッシングによるセルフケアと、それでも落としきれない汚れを専用の機器で落としてもらうプロのケアを並行して行うことが重要だ。では、何歳くらいから、どのくらいのペースでプロのケアをプラスしていくと、きれいな歯を保つことができるのだろうか。予防歯科の理想的な在り方について、齋藤院長に話を聞いた。
(取材日2023年4月11日)
目次
毎日のブラッシングはケアの基本。3ヵ月に1度のプロのケアをプラスして、プラークをコントロールしよう
- Qそもそも、なぜ歯医者での定期的なケアが必要なのでしょう。
-
A
ご自宅でのブラッシングだけですと、すべての歯を満遍なく掃除するのは困難で、磨き方の癖や歯並びなどによって、どうしても残ってしまう汚れがあるからです。もちろんご自宅でのケアの欠かせないものですし、「歯医者に行く必要がない」と思うくらい、丁寧に行っていただくのはとても良いことです。歯に付着した細菌などの塊であるプラークは、およそ2週間で専用の機器でしか落とせない歯石になり、歯周病を引き起こします。健康なお口を保つには、プラークや歯石をなるべく早く除去しなくてはなりません。「毎日歯医者に行く」というのは現実的ではありませんから、3ヵ月に1回ほど、定期的に来院してほしいですね。
- Q何歳から、歯医者でケアを受けるべきなのでしょう。
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A
歯が生え始めた1歳くらいを目安に通院を開始してもらえると良いですね。この時期、歯に対して直接的にできるケアは少ないのですが、歯に悪影響を及ぼす生活習慣や、歯並びに良くない癖についてお話しすることはできます。何よりも、小さいうちから歯医者に慣れておくと、いざ通院しなければならなくなったときに抵抗なく診察台に上がれるようになるんですよ。当院はユニットの隣までベビーカーを入れることができますから、0歳のお子さんでもお口の中を見せていただくことは可能です。3歳から5歳くらいで、1人で座って治療が受けられるようになれば、パパやママと並行してケアすることもできますから、お気軽にご相談ください。
- Q仕上げ磨きは何歳まですべきですか?
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A
小学校低学年までは、親御さんに頑張っていただきたいです。とはいえ「仕上げ磨きを嫌がって困る」という声はよく聞きます。実際、私もわが子の仕上げ磨きでは苦労しました(笑)。ですから、パパ、ママの大変さはよくわかります。ただ、子どものプラークは意外と頑固で、たまってしまうと落とすのがかなり大変なんですよ。大人でも磨き残しがあるくらいですから、子どもが完璧にできないのは当然ですよね。無理やり磨こうとするとお互いに疲弊してしまいます。ですので、「できないことを怒る」のではなく、最初は無理強いせず「できたところまで褒める」を繰り返して、仕上げ磨きを楽しいものとしてお子さんに伝えていくと良いと思います。
- Qパパ・ママ世代に注意してほしいことはありますか。
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A
パパ・ママ世代は仕事や家事、育児で忙しく、自分のことがおろそかになりがち。子どもの歯は時間をかけて磨いても自分の歯はおざなりという方も多いでしょう。体に体質があるように、歯にも歯質があり、菌に弱く虫歯になりやすい人もいれば歯茎が弱い人もいます。毎日のケアを怠ると、弱いところに影響が出て、虫歯になったり歯周病になったりします。特に、歯を支えている土台の歯茎は年齢とともに弱くなっていきますから、歯周病には気をつけてほしいですね。歯周病が進むと顎の骨が溶け、全身に影響を与えます。自分のための時間が取りにくいパパママ世代にこそ、歯医者での定期的なケアで口腔内の健康を維持していただきたいと思います。
- Qでは、自宅ではどんな歯周病ケアができるのでしょうか。
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A
虫歯と同じく、歯周病のケアも自宅での丁寧なブラッシングが基本中の基本です。当院の定期検診では、個別に「磨けていないところ」「磨きにくそうなところ」をピックアップして、歯磨きの仕方を歯科衛生士が指導します。教えられたことを意識して磨けば、ブラッシングの質は必ず変わってきます。日々の汚れは食後から時間を空けずに落とし、落としきれない汚れは3ヵ月に1度を目安に歯医者で落とす。このサイクルをしっかり続けていけば、歯周病を防ぐことができるでしょう。歯医者との二人三脚で、家族みんなのお口の健康を守っていきましょう。