便秘は医師に相談を
痔やさまざまなトラブルを解決に導く
平田肛門科医院
(港区/表参道駅)
最終更新日:2023/11/28
- 保険診療
多くの人が悩んでいながらも、わざわざ医療施設で診てもらったほうが良いか悩む「便秘」。しかし放置すると、さまざまな体のトラブルを招くことも。便秘の原因はいったい何なのだろうか。また治療法にはどのようなものがあるのか。東京・表参道にある「平田肛門科医院」の平田悠悟副院長は便秘や残便感に悩む多くの患者を診てきた。ちょっと聞きづらい便秘について、平田副院長に話を聞いた。
(取材日2023年4月14日)
目次
便秘の原因は何か、放置するとどのようなことが起こるか、そして治療法は?
- Q便秘の原因は何ですか?
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A
便秘の原因はさまざまですが、大きく分けて4つです。大腸がん、腹部の手術や憩室炎などによる腸管癒着の影響、直腸や小腸が膣壁に落ち込む直腸瘤や小腸瘤などの通過性障害といった「器質性便秘」、甲状腺機能低下症、うつ病や糖尿病、女性の場合生理時のホルモンの影響などに代表されるぜん動運動の低下による「症候性便秘」、抗コリン薬などに代表される「薬剤性便秘」、そして一番多い原因としてストレスなどでの自律神経の乱れや加齢によるぜん動運動の低下、そして直腸に便が来ているのに排便を我慢してしまいセンサーが鈍ってしまうことによる「機能性便秘」があります。
- Q便秘を放置しておくとどんな影響がありますか?
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A
最近になって、便秘があると腸内にメタンガスや硫化水素など人体に有害なガスが増えることが知られています。メタンガスや硫化水素自体もぜん動運動を低下させるといわれており、肌荒れ、また大腸がんや炎症性腸疾患などのリスクが増加すると考えられています。
- Q便秘と痔の関係性について教えてください。
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A
便が固くなると、裂肛(切れ痔)や、排便時に腹圧が必要になることから内痔核(いぼ痔)が起こりやすくなります。裂肛は一度切れてしまうと固い便が通過した際に再度切れてしまい、切れるたびに痛みを感じてしまいます。その恐怖心からか排便の際に肛門括約筋が収縮してしまいさらに切れやすくなるのと、長く続くと適切な排便が難しくなってしまいます。また、痛みのため排便を控えてしまうと、さらに便秘になりやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。内痔核に関しても、腹圧をかけると膨らむため便が出しにくくなります。さらに、膨らんだ内痔核に便が残るようになり、残便感を感じるようになります。
- Q便秘を解消するためにはどのようにすれば良いのでしょうか?
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A
まず原因となるものを探すのが第一です。そして、朝の排便習慣を大切にすることや、運動や睡眠、水分不足の解消、ストレスの解消など、生活習慣を見直すことが大切です。その中で特にお勧めしたいのが食物繊維の摂取です。日本人は1日平均14g程度の食物繊維を摂取していますが、21gの摂取が推奨されています。食物繊維を取ることは便の硬さを適切にすることにつながりますし、ひいては大腸がんのリスクを減らすことにつながるともいわれています。生活習慣の改善を行っても便秘が改善しない場合は、下剤を使用することをお勧めします。
- Q便秘の薬はどれを選んだら良いでしょうか?
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A
最初は、弱いものですが乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などの整腸剤を摂取することをお勧めします。ビフィズス菌は腸内環境を整える働きも期待できますよ。そのほかの下剤としては、マイルドなものから使用することをお勧めします。酸化マグネシウムから始めて、ラクツロースやマクロゴール、ルビプロストン、エロビキシバットなどが良いと思われます。注意が必要な下剤は刺激性下剤です。アントラキノン系の大黄、センナ、アロエが含まれるセンノシド、大黄甘草湯やジフェニルメタン系のピコスルファートナトリウム水和物、市販の便秘薬の一部などは、長く使用すると腸のぜん動機能が低下して、薬がないと便が出にくくなるため注意が必要です。