李 兆亮 院長の独自取材記事
なかすじR内科・内視鏡クリニック
(宝塚市/中山寺駅)
最終更新日:2024/06/07

JR宝塚線 中山寺駅から徒歩1分の場所にある「なかすじR内科・内視鏡クリニック」は、地域住民の健康サポートをめざす2024年6月4日開院のクリニックだ。院長を務める李兆亮先生は、総合内科・消化器内科・肝臓内科・内視鏡を専門に豊富な経験を積んだベテラン医師。「病院で働いていると、もっと早くに検査してくれていればと悔しい思いをすることが多い。後悔する人を減らすためにも、早めの検査を通して地域の人々の健康管理をサポートできれば」。そう話す李院長の優しい笑顔の奥には、「自分の家族を診療するように」という視点を大切に、医療を通して患者の人生に寄り添う覚悟がみなぎっている。今回は李院長の思いやクリニックについて、詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2024年5月8日)
気軽に検査・受診できるクリニックをめざす
まずは開院への経緯を聞かせてください。

私はこれまで宝塚市立病院の消化器内科に勤務し、14年間地域医療に携わってきました。多くの患者さんの検査や診療を担当し非常に充実した毎日を送っていたのですが、自分自身が病気が気になる年代に入り、家族や友人にも病気に悩む人が増えるにつれて、予防にも興味を持つようになりました。これまでの診療の中でも「もっと早く検査を受けてくれていたら」と悔しい思いをすることも多く、自分が得意とする内視鏡検査をより多くの人に気軽に受けてもらいたいと思うようになりました。しかし、大きな病院は受診のハードルが高く気軽な検査には程遠いのが実情です。そこで、地域の皆さんが気軽に検査・受診できる環境をつくるべく開院を決意しました。
クリニックの特徴は?
当院は生活習慣病から専門的な消化器内科領域の疾患の診療まで、大きな病院と同等の医療の提供をめざしています。私は総合内科・消化器内科・肝臓内科が専門ですので、小さな不調からクローン病や潰瘍性大腸炎などの難病まで、なんでも相談してもらいたいです。また、各種予防接種や健康診断にも対応し、胃と大腸の内視鏡検査も実施します。内視鏡検査はほとんどの人が「できれば受けたくないな」と嫌がる検査だと思いますが、胃がんや大腸がんをはじめとするさまざまな病気の早期発見・治療にもつながります。検査に伴う苦痛は最小限にできるよう工夫しますので、40代以上で今まで内視鏡検査を受けたことがない方にも積極的にご来院いただきたいです。
内視鏡検査は苦しいイメージがどうしても強いです。

多くの方がそうだと思います。ただ、この20年ほどで内視鏡検査の方法もずいぶん進化しました。まず、できるだけ苦痛を取るための方法として麻酔を使用し眠ったような状態で検査を受けられますし、検査機器自体も年々進化しており、挿入するカメラもよりやわらかくより小径になりました。当院では吐き気が起こりにくい経鼻内視鏡に対応することはもちろん、経口内視鏡でも嘔吐反射ができるだけ起こらぬよう工夫します。さらに、胃と大腸の内視鏡検査を同日に受けることも可能なので、検査前の絶食も1回で済みます。状況によっては下剤を飲まずに大腸内視鏡検査ができる方法も選べます。内視鏡検査は診断治療だけでなく予防医療にも重要な役割を果たす検査なので、従来のイメージは忘れて安心して検査を受けてもらいたいです。
コメディカルとともに患者をサポートできる体制を構築
李院長は内視鏡検査もご専門なのですね。

はい。私は研修医時代から内視鏡検査のトレーニングを積み、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として胃カメラや大腸カメラはもちろん、胆膵内視鏡や小腸内視鏡など幅広く消化器内視鏡検査を行いました。後輩への指導も担当したため、十分な知識と経験を積んできたと自負しています。内視鏡検査は担当する医師の技量が多少なりとも影響します。苦痛が少なくスムーズな検査を所望であれば、消化器内視鏡専門医のいる医療機関を選ぶのが一つの方法だと思います。また、できれば検査ごとに医療機関を変えるのではなく、同じ場所で検査を受けることをお勧めします。そうすれば前回の検査結果との比較もできますし、かかりつけ医であれば持病や体質などを考慮して検査をしてもらえるはずです。
肝臓内科についてはいかがですか?
肝臓は沈黙の臓器といわれるほど症状が出にくい臓器です。初期はほとんど自覚症状がないので、健康診断などで指摘された時に放置しないことがとても大切です。放置すると肝臓がんや肝硬変だけでなくさまざまな合併症を引き起こしかねません。最近ではアルコールの飲みすぎだけでなく、運動不足や肥満によって起こる脂肪肝の患者さんも増えています。脂肪肝は肝臓に中性脂肪が蓄積された状態のことで、早い段階で超音波検査で診断が可能です。主な治療は生活習慣の改善ですが、特に食生活を改めて体重を減らすことが必要となります。当院ではかかりつけ医として栄養指導を組み込み、オンラインカウンセリングなども実施して患者さんのサポートをしていきます。
治療が長期にわたると継続が難しくなるものですが、心強い体制ですね。

今は60代、70代まで精力的に活動している人も多いです。治療を継続するためには、できるだけ気軽に受診できる環境が大切であり、それは総合病院や大学病院で実現させることはなかなか難しく、やはりかかりつけ医の機能を持つ当院のようなクリニックがその役割を担うべきと考えています。まだまだ当院もすべての環境が整っているわけではありませんが、まずは検査結果の説明や食事のアドバイスはオンラインでも対応することにしました。今後、より発展していけたらと思います。また、治療を続けるために大切なのは「病気の理解と動機づけ」です。例えば自分からダイエットしようと思えば、方法を調べたりアドバイスを仰いだりできるでしょう。しかし、強制されるダイエットは苦痛となり続かないため、患者さんが能動的に取り組めるようコメディカルと協力し説明するよう努めていきたいです。
「家族だったら」という視点を大切にした診療を
患者さんと接する際、心がけていることはありますか?

ありきたりかもしれませんが、常に「自分だったら、自分の家族だったらどうするか」を考えています。自分が年齢を重ねて病気が人ごとではなくなってからは、より強く思うようになりました。「もし自分が病気だったらどんな説明をしてほしいだろう?」「家族が不安そうにしている時にしてあげられることはなんだろう?」と考えれば、医師として自分がどうするべきかが見えてくると思います。また、患者さんのライフステージを考えることも大切です。医療はどんどん変化していきますが、常に最新の治療が正しいわけじゃない。時には積極的な治療ではなく、緩和治療が必要になることもある。そういったことも踏まえて、患者さんの思いや人生に寄り添えたらと考えています。
李院長が医師を志したのはなぜですか?
私は小児喘息があったので、発作が出ると昼夜を問わず母が病院へ連れて行ってくれました。そのせいか、小さい頃から「つらい時は病院に行くと先生が治してくれる」という医師に対してポジティブな印象があったのかもしれません。自分自身のつらかった経験を生かせると思い、医学部に入り最初にめざしたのは小児科です。しかし、研修医時代初めて内視鏡を触らせてもらった時、恩師から「お前には内視鏡の才能がある」と褒めちぎられ、うれしくなり消化器内科に進むことを決意しました。今になってみると真に受けてしまったことに恥ずかしくなるのですが、その後数多くの内視鏡検査の指導を受け、貴重な経験もたくさんさせてもらえたこともあり、消化器内科を選んで良かったなと思います。
最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。

これまで内科・消化器内科を中心に研鑽を積み、この度地域の皆さんの健康サポートをするべく開院しました。生活習慣病をはじめとする慢性疾患や消化器疾患、日々の体調不良などなんでもご相談ください。また、私のように働き盛りの世代で普段健康そうであっても、将来的にリスクの高い方のために予防医療にも注力します。特に内視鏡検査は、初期症状が出にくい消化器疾患の早期発見や予防医療にも有用です。苦しいイメージがあるかもしれませんが、これまでに培った知識と経験を生かし、さまざまな工夫をしてできるだけ苦痛の少ない検査をめざします。検査の経験がない人や、苦手意識がある人も安心してお任せください。私がめざすのは地域の皆さんの健康管理のパートナーです。なんでも気軽に相談いただき、病気や健康について一緒に考えていければと思います。