腰・膝の痛み、骨粗しょう症
加齢に伴い気になる悩みは整形外科へ
烏山慶友整形外科・内科総合クリニック
(世田谷区/千歳烏山駅)
最終更新日:2024/05/14
- 保険診療
整形外科には幅広い年代の患者が訪れる。だが「烏山慶友整形外科・内科総合クリニック」の柳本繁院長によると、症状が改善すれば治療完了となる若い世代と異なり、高齢者では慢性的な症状が多いそうだ。それどころか腰・膝・股関節などの痛みは年齢を重ねるごとに増し、骨粗しょう症が引き起こす骨折のリスクも年々上がる。これは性別の差はあれど、加齢により誰にでも起こり得ること。人生100年時代、骨・関節・筋肉に問題を生じる「ロコモティブ症候群」の予防と、自力で日常生活を送れる「健康寿命」の延伸は、柳本院長にとって大きなテーマとなった。同院の開院記念講演で、地域住民の健康への意識の高さに大きな手応えを感じたと話す柳本院長に、高齢者の悩みで多い「関節痛」や「骨粗しょう症」を中心に話を聞いた。
(取材日2024年4月24日)
目次
人生100年時代といわれる今、整形外科を受診してロコモティブ症候群を防ぎ、健康寿命の延伸をめざす
- Q整形外科ではどのような悩みが多いのでしょうか?
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A
ケガや骨折で来られる学生さんやアスリート、椎間板ヘルニアにお悩みの若い方もいらっしゃいますが、整形外科の患者さんの多くは加齢に伴う症状にお悩みです。50歳を過ぎた頃から肩関節周囲炎、いわゆる五十肩のお悩みが増え、女性の方ですと骨粗しょう症のリスクも上がります。また骨と骨の間にはクッションの役割をする関節軟骨があるのですが、これは健康な方でも年齢とともに自然にすり減ってしまうのです。それが腰・膝・股関節などの痛みとして表れ、閉経後の女性に多く見られる急速破壊型股関節症では、強い痛みとともに股関節の変形が急激に進みます。これは骨粗しょう症との関連性も深いです。
- Q骨粗しょう症について教えてください。
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A
骨粗しょう症は50歳以上の方に多く、ホルモンが関係することから患者さんの8割は女性です。骨が弱く折れやすくなってしまうのですが、実際に骨折するまで気づかないケースが多々あります。しかし2022年の厚生労働省による「国民生活基礎調査」によると、介護が必要となった原因の13.9%を「骨折・転倒」が占めています。ご高齢になると筋力や反射能力が低下する上に、手首・背骨・太ももの付け根などが折れやすくなり、大腿骨頸部骨折から寝たきりになってしまうことも少なくありません。また背骨の圧迫骨折は外傷により発生することもありますが、何もなく突然痛みを感じることもあるんですよ。
- Q骨粗しょう症の予防や治療はどのように行うのでしょうか?
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A
骨粗しょう症の予防策として取り入れやすいのは、食事と運動でしょう。食事はバランス良く取り、特にカルシウムとビタミンDの摂取を心がけてください。また運動による刺激は骨を強くしますし、日光浴はビタミンDを活性化するのでウォーキングなどがいいですね。そして50歳を過ぎたら定期的に骨密度を測りましょう。当院では全身で測れる骨密度測定機器を導入しています。閉経して「背中が曲がってきた」「背が縮んだ気がする」と感じたら、ぜひ検査にいらしてください。骨密度が思ったより低くても大丈夫。今では骨粗しょう症の薬が次々と開発され、内服薬や注射薬など形状もさまざまです。骨折などの大ごとになる前に治療を始めましょう。
- Q加齢に伴う腰や膝の痛みも治療できるのでしょうか?
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A
加齢に伴う痛みは「1回通ったらすっきりと治った」というようなことは残念ながら難しいです。骨粗しょう症も関節痛も、長い目で根気強く取り組む治療なんですね。薬による治療を行い、骨密度の変化を確認しながら、痛みや骨折のリスクの少ない健康的な状態をめざします。もちろん、症状を放置するのは良くありません。例えば腰痛の原因が大動脈解離や心筋梗塞、転移したがんの影響だったということもあるのです。当院ではエコーやCTを使って症状の原因を突き止め、その後のスムーズな治療につなげています。また、他科・他院をご紹介した場合でも、薬の飲み合わせや治療の整合性など、当院で全身管理を行っています。
- Q整形外科の治療を受ける上で、大切なことは何でしょうか?
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A
治療を中断せず、続けるということですね。先ほども挙げたとおり、1度や2度で「痛みがなくなった」とはなりませんが、日々の積み重ねと適切な薬の処方により、快適な毎日をめざすことは可能です。当院に通うのも一つの運動になりますし、明るいリハビリテーション室では理学療法士が専門知識に基づいて、個々の症状に合わせて体を動かします。医師や理学療法士とのコミュニケーションも良い刺激になるでしょう。血圧など健康チェックも当院で受けられますから、スーパーでの買い物ついでにお立ち寄りください。生き生きとした毎日がロコモティブ症候群の予防に、また健康寿命の延伸につながると期待しています。