末吉 剛 院長の独自取材記事
MY内科クリニックせんげん台
(越谷市/せんげん台駅)
最終更新日:2025/08/21

春日部・越谷方面からもアクセスの良いせんげん台駅から徒歩8分。大型ショッピングモール内にある「MY内科クリニックせんげん台」は、買い物のついでなどに足を運びやすいクリニックだ。2代目院長の末吉剛(すえよし・ごう)先生は日本内科学会総合内科専門医であり、中でも糖尿病や甲状腺などの内分泌疾患を強みとする。長年、大学病院で数多くの重症例を診て「もっと早くに治療を開始できていたら」と悔しい経験をしたという。だからこそ、早期発見に力を入れたいと、近隣住民の幅広い悩みに応えるプライマリケアに取り組んでいる。物静か、感情豊か、話好き、どのような患者の個性も受け止め真っすぐ向き合う末吉院長に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2025年7月7日)
気軽に立ち寄れるプライマリケアクリニック
ショッピングや食事のついでに立ち寄りやすいクリニックですね。

当院は近隣の方々でにぎわう大型ショッピングモールの医療エリアにあります。整形外科、皮膚科、歯科などが並んでいるので、いくつかお悩みがあるときにも便利なのではないでしょうか。私は6月に院長に就任しましたが、患者さんの年齢層は一般的な内科クリニックよりも若く、20代から40代が多いように感じています。モール内のショップで働く従業員の方々なども少なくありません。お仕事や子育てで忙しい中でも受診しやすいように、土日祝日も含め毎日9時から19時30分まで診療しています。受診できるクリニックがなかなか見つからない休日に、急な発熱などでお困りのときにも当院を思い出していただければうれしいです。
現在、どのような患者さんが多いのでしょうか。
風邪、頭痛、咳、発熱などの一般的な内科症状の他、予防接種や健康診断などでいらっしゃる方も多いですね。前院長が循環器を専門としていたので、心疾患や関連性の高い高血圧・睡眠時無呼吸症候群などで通っていらっしゃる方もいます。循環器内科は今後も力を入れて行きたいので、週に何回か専門の医師が診療にあたる日を設けました。その他、感染症や呼吸器を専門とする医師も在籍し、それぞれの専門性を生かしながら患者さんの多様なニーズに応えられるのも当院の強みです。私自身も日本内科学会総合内科専門医として幅広いプライマリケアを行っています。これまで大学病院で専門としてきた糖尿病や甲状腺などの内分泌疾患に関しても、当院ならではの充実した検査体制を生かし、積極的に取り組んで行きたいです。
検査体制が充実しているのですね。

例えば、血液検査に関しても院内で迅速に結果が把握できる機器を導入しています。糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病は自覚症状がないため、血液検査は欠かせません。外部の検査センターに委託すると結果が出るまで数日かかってしまいますが、当院の検査機器では検査当日に結果が出るため、時間を開けずに治療に取りかかることができます。また、エコー検査を専門とする臨床検査技師がほぼ毎日いるというのも、クリニックとしては珍しいのではないでしょうか。心エコーはもちろん、腹部エコーで脂肪肝、頸動脈エコーで脳梗塞リスクを高める動脈プラークなどもチェックできます。糖尿病が影響を及ぼす腎臓や肝臓などについてもスペシャリストがきちんと検査をしてくれるのは心強いです。分業体制により医師は診療に集中できるのも助かっていますね。
糖尿病と内分泌疾患に強み。早期発見・早期治療に注力
そもそもなぜ先生は糖尿病を専門になさったのですか。

きっかけは学生時代の病院実習です。各診療科を回るシステムで、産婦人科では誕生の瞬間に、外科では命を救うための手技に……と、その時々で心をつかまれるのですが、そこはまだ未熟な学生。次の科に行けば前の科のことは忘れていました。ただ、どの科でも必ずと言ってもいいほど出てきた唯一の疾患、それが糖尿病だったんです。実習の中で問診の際に「別のご病気はありませんか」と必ず聞くのですが、一番多かったのも糖尿病でした。産婦人科では妊娠糖尿病、外科では血糖値が高いままでは手術不可。小児科では1型糖尿病があり「糖尿病は万病のもとなのではないか」とさえ思うようになっていました。三重大学卒業後は埼玉県済生会川口総合病院で初期研修を受け、東京慈恵会医科大学の糖尿病・代謝・内分泌内科に入局し、長年勤務してきました。
これまでの経験の中で忘れられない患者さんはいますか。
勤務医時代にお会いした、重症の糖尿病で入院してきた50代くらいの男性を今でもよく覚えています。残念ながらすでに足の壊疽がひどい状態で切断せざるを得ない状況でした。病棟ではすべての患者さんを対象に、糖尿病への理解を深めるための糖尿病教育が行われていました。その患者さんも参加していましたがぽつりと「こんな足を切るようになった者に言っても仕方ない。もっと前に知りたかった」とおっしゃったんです。あらためて、糖尿病は重篤化する前の予防こそが大切なのだと、教科書上の知識を越えて身にしみた一言でした。それでも、大学病院という性格上、どうしても患者さんはすでに糖尿病が進行している方ばかり。今こうしてやっと、プライマリケアの前線で早期発見に取り組めることにやりがいを感じています。
患者さんと接するときに何を大切にしていますか。

患者さん一人ひとりをよく見て、臨機応変に対応することを大切にしています。例えば、糖尿病の患者さんだけでもそれぞれに個性豊かで、食事指導も一筋縄ではいきません。楽観的な性格の場合、何が問題なのか気づいていないことも多いので、はっきりと指摘するように気をつけています。理解さえしていただければ、だいたいポジティブに頑張ってくれますからね。一方、心配性な傾向があれば、「炭水化物はゼロにする必要はないんですよ」などと、極端な方向に走らないように声かけをするようにしています。また、下がらない血糖値を見て「別にいいです」と自暴自棄になりがちな傾向があれば、とにかく通院が途絶えないようにして、時間をかけて信頼関係を構築するようにしています。時間がかかっても、治療に前向きになってくれたらと思っています。
患者の個性をありのままに受け止め臨機応変に対応
今後の展望についてお聞かせください。

まず、前院長時代からの循環器疾患の患者さんを引き続きしっかりと診ていきたいです。実は糖尿病と循環器は関連性が高く、糖尿病の方が心筋梗塞や不整脈を起こすこともあるとされていて、SGLT2阻害薬という心疾患にも糖尿病にも使える新薬もあります。循環器内科の先生方ともますます密に連携していきたいです。また、私が専門としている内分泌系の疾患に関しても、早期発見に力を入れたいと思っています。高血圧のごく一部には、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などが隠れていることもあります。不整脈が甲状腺疾患のサインというケースもあるので、見逃すことのないよう注視していきたいです。
お忙しい毎日ですがリフレッシュ法などはありますか。
高校、大学と硬式テニス部だったのですが、今でもテニススクールに通って細々と続けています。週に1日だけですが良い気分転換になっていますね。何よりも大切にしているのは、子どもとふれあう時間でしょうか。まだ小さいからかもしれませんが「子どもというのは、こんなにも手間がかかるのだ」と驚いています。より良い医療を提供するために先進知識のアップデートは必須なので家でも勉強を続けていますが「パパ」と呼ばれたら一時中断。そばに飛んで行きたい気持ちには勝てません。いつかは一緒にテニスをしたいですが、まだキャラクターの絵がついた大きなボールを転がし合うのがやっとですね(笑)。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

何か困ったことができたとき「あそこに相談してみよう」と最初に思い出していただけるクリニックをめざしています。買い物のついで、会社終わり、学校帰り、いつでも受診しやすいように毎日夜まで診療しています。インフルエンザや海外渡航用の各種ワクチンの取りそろえもありますし、雇用時健診の他にも各種健診メニューを豊富に用意しました。生活習慣病は30代でもリスクはあるので、ぜひご活用ください。中でも糖尿病の早期発見には力を入れて行きたいと思っています。教科書どおりでは立ち行かない糖尿病の診療に長年携わる中で学んだのは、病気だけではなく人間に切り込んでいく大切さです。一人ひとりの個性をありのままに受け止め、寄り添う医療を心がけています。どんな小さなお悩みでも、お話を聞かせてください。