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田中 冨久子 院長の独自取材記事

田中クリニック横浜公園

(横浜市中区/関内駅)

最終更新日:2020/04/01

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「田中クリニック横浜公園」の田中冨久子院長は、「女性がいくつになっても生き生きと過ごせるように力になりたいんです」と和やかにほほ笑む。長く脳とホルモンについての研究を重ね、その世界ではまさにベテランといえる存在。豊富な知識と経験をもとにホルモン補充療法を実践し、更年期障害のさまざまな症状で悩む女性たちに救いの手を差し伸べ続けている。また更年期障害に悩む男性のために、専用の診療枠も設ける。何でも受け止めてくれる懐の深さ、温かくざっくばらんな人柄で多くの患者に慕われるのも納得できる。「更年期障害を乗り切って、日本の女性たちにもっと活躍してほしい」という田中院長に、日々の診療で感じる思いや更年期障害とホルモン補充療法について、研究者、医師としての歩みを語ってもらった。
(取材日2019年6月18日)

脳とホルモンの専門家の立場から更年期障害のサポート

まず、先生のプロフィールを教えてください。

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軍人だった父が終戦をニューギニアで迎え、帰国するまで、洋裁を学んだ母が女手一つで私と妹を養ってくれたのです。そんな母の「これからは女性も手に職をつけなければ」という言葉が医師をめざすきっかけになりました。でも、医師免許を取得した後、生理学を専門に選び、大学院に進んでずっと脳とエストロジェンについての研究に没頭することになってしまいました。その領域での有名な教授のもとで学びたいとダラスのテキサス大学に留学もしました。私自身は楽しかったのですが、日本の恩師が様子を見にきてくださった時に「よくこんな砂漠の真ん中で女一人で生きているな」と驚かれていましたよ(笑)。その後、横浜市立大学医学部で教授になり教育や研究に携わっていました。

こちらで開業されたきっかけは?

横浜市立大学を退職後、医療系大学の教授などを経て、知り合いの先生のクリニックで週に2回ほど更年期の外来を担当しました。まさか脳の研究から更年期障害治療を始めることになるとは思ってもみませんでしたが、実際に診療を開始すると多くの患者さんに喜ばれました。ずっと学び続けたことがこんなふうに女性のためになることを知り、開業を考えるようになったのです。関内は学生時代からなじみのある、大好きな町。窓の外に見える横浜公園など、横浜の街と一緒に過ごせるのが良いなと考えてここで開業しました。

診療面にはどのような特徴がありますか。

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主に更年期女性を対象として、欠落してしまったホルモンを補充する治療を行っています。症状によってピルや漢方を組み合わせることもあります。骨も女性ホルモンと関わりが強いので骨粗しょう症の治療にも取り組んでいます。骨密度を調べて必要な治療を行い、あとは「食生活を見直し、運動で骨を刺激しなさい」と叱咤激励しているんです(笑)。患者さんは、びっくりするほど遠方からも来られます。また、男性も加齢とともに男性ホルモンであるテストステロンが減少することで、女性と同じような更年期障害が起こることが注目されるようになり、「夫も診てほしい」と言われる方もいらっしゃるので、週に1度、男性専用の枠を設けて治療を行っています。

ホルモン補充療法で、更年期障害を根本から治療

女性の更年期障害とホルモン補充治療について教えてください。

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更年期というのは、閉経をはさんだ前後10年間、だいたい40代後半から50代前半の時期です。この間に卵巣ホルモンの分泌が減少し始め、ついにはまったく欠落します。これに伴い、のぼせ、ほてり、めまい、耳鳴り、疲れやすさなど、さまざまな自覚症状が生じ、不眠、うつ、関節痛なども起こるのが更年期障害です。卵巣ホルモンの中でも、特にエストロジェンの減少が更年期障害の背景にあります。エストロジェンは、閉経前の子宮や膣、乳房をはじめ、皮膚、血管、脂質代謝、糖代謝、骨、脳など女性の体のあらゆる働きを守ってくれていたもので、これを補充するのがホルモン補充療法です。当院ではまず血液検査を行いエストロジェンの血中濃度などを測定。また甲状腺機能異常からも更年期と似た症状が起こることがあるので見分けるために、甲状腺ホルモンについても同時に検査します。その上で、欠落したエストロジェンを補うホルモン補充療法を行います。

安心して治療が受けられるよう配慮されているそうですね。

ホルモンは使い方さえ誤らなければ怖いものではないんですよ。当院では、ホルモン補充療法の期間中、乳がん検診と子宮がん検診を含む婦人科検診を毎年受けてもらったり、健康チェックを定期的に実施して患者さんの体の状態を把握しています。また女性の体は頭の先から足の先まで女性ホルモンでコントロールされるようにできあがっているので、更年期が終わっても、症状が続くこともあります。そのため海外でも広く、閉経後の女性の生涯の健康を維持する上でも女性ホルモンは必要という考え方になってきています。更年期後も女性の平均寿命は30〜40年はあるわけですから、一生を健康に快適に過ごしていくためにホルモン補充療法はとても有用だと思いますね。

印象的な患者さんとのエピソードがあれば教えてください。

例えば、物忘れとめまいがひどくて会社に迷惑がかかると悩まれていた金融関係の方。耳鼻科や脳神経外科をまわっても解決せず、最後にここで更年期障害とわかりホルモン補充療法を始めました。また精神病と診断・治療されてしまった方で、結局、更年期障害だったケースもあります。更年期世代はちょうど管理職など職場でも責任のある立場になる時期です。更年期障害で苦しんでいた方が、症状をコントロールして仕事を続け、昇進などしてくれると私もうれしいですね。

先生の診療方針を教えてください。

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あまり格好をつけないことですね。私はもともとざっくばらんな性格でおすましできないんですよ(笑)。また更年期障害について、以前よりは理解されるようになりましたが、それでも一人で悩まれている女性は多いはず。そんな方を元気にして差し上げたいと思いながら診療しています。患者さんは、40代から50代ぐらいの女性が多いので、娘を見守るお母さんのような感じですね。

閉経後も、元気にはつらつと生きる女性のために

ところで、プライベートな時間はどのように過ごされていますか。

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これまでの研究に関連したことを本にまとめたり、生理学の教科書を書いたりするのが充実した時間ですね。学生時代から絵を描くのが好きだったので、カルチャーセンターの日本画教室に通っていたこともあります。あとは猫と過ごすのが一番のリラックスタイム。のんびりできる時間ができれば旅行にも行きたいと思っていますが、今は各地で開かれる学会に出るぐらいです。

今後の展望についてお聞かせください。

実際の医療の現場でも、更年期障害に対する扱いはまだまだ良いとは言えない状況なのだな、と思うことが多いのです。いろんな医療機関を受診して「老化現象だからしょうがない」「放っておけばそのうち治る」と言われて疲れ果てて、当院にたどりつかれる方も多いんですよ。少しでもそうした方々のお力になるため、私ももっと頑張らなくてはいけないと思いますし、後を継いでくれる後進を育てなくてはと思います。横浜市や神奈川県には横浜市立大学医学部出身者が多いので、同窓会などで更年期障害についてよく宣伝しています。おかげで「更年期障害が原因かもしれない」と手のこわばりや、関節痛を訴える患者さんを紹介してくださる整形外科の先生も増えてきました。更年期障害を正しく理解してくれる医療者を増やしていきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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日本ではホルモン補充療法を受ける女性はまだとても少なく、それも女性が社会で活躍しにくい原因の一つではないかと思います。更年期障害で仕事を諦めたりせず、早く適切な治療を受けてほしいですね。そのためにも40代になったら更年期に備えて、月経の状態などご自身の体にもっと敏感になってください。また男性も、女性の更年期障害を正しく理解してほしい。そうすれば、男性自身の更年期障害への理解も深まると思うんですよ。とにかく、できるだけたくさんの女性たちが閉経後も健康で元気に能力を生かしながら、生きていってほしい。そういう女性を一人でも多くしたいですし、私自身もそれを目標にこれからも患者さんと一緒に歩んでいきたいと思います。

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