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田中 冨久子 院長の独自取材記事

田中クリニック横浜公園

(横浜市中区/関内駅)

最終更新日:2022/04/13

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アーチ型の窓から公園の緑を望む「田中クリニック横浜公園」。田中冨久子院長は、「人生100年時代の女性たちが、年齢を超えて生き生きと過ごせるよう力になりたいんです」と和やかにほほ笑む。脳と女性ホルモンであるエストロジェンについて長く研究を重ね、豊富な知識と経験をもとにホルモン補充療法を実践。更年期障害のさまざまな症状で悩む女性たちに救いの手を差し伸べている。また更年期障害に悩む男性のために専用の診療枠も設置。何でも受け止めてくれる懐の深さ、ざっくばらんな人柄で多くの患者に慕われるのも納得できる。「更年期障害を乗り切って、日本の女性たちにもっと広く、長く活躍してほしい」という田中院長に、日々の診療で感じる思いや更年期障害とホルモン補充療法について、研究者、医師としての歩みを語ってもらった。

(取材日2021年12月10日)

保険適用のホルモン補充療法で更年期障害に対応する

更年期の女性を中心に診療されているそうですね。

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はい。主に更年期の女性を対象に、減ってしまったエストロジェンを補充していく診療を行っています。症状によってピルや漢方を処方することもあります。骨も女性ホルモンと関わりが強いので骨粗しょう症の治療にも取り組んでいます。骨密度を調べて必要な治療を行い、あとは「食生活を見直し、運動で骨を刺激しなさい」と叱咤激励しているんですよ(笑)。更年期の症状を専門的に診るクリニックはそこまで多くないためか、患者さんはびっくりするほど遠方からも来られます。また、男性も加齢とともに男性ホルモンであるテストステロンが減少することで、女性と同じような更年期障害が起こることが注目されるようになり、「夫も診てほしい」と言われる方もいらっしゃるので、週に1度、男性専用の枠を設けて診療を行っています。

どのような症状が更年期障害なのでしょうか。

卵巣ホルモンであるエストロジェンは女性の心と体の全体をコントロールする重要なもの。分泌が低下すると頭の先から足の先まであらゆる症状が表れます。よく知られるのはホットフラッシュという上半身のほてりやのぼせ、発汗などですが、イライラや不安感、抑うつなどの精神神経系の症状や、ドライアイ・ドライマウスや肌の乾燥といった皮膚・分泌系の症状から下痢や便秘など消化器系の症状まで、全身に症状が表れます。近年では関節の軟骨もエストロジェンの支配下にあることもようやく広く知られるようになり、関節の痛みやこわばりの治療を求め受診される方も増えてきました。いずれの症状でも一般内科や精神科、皮膚科、整形外科など他科を受診し、原因不明や単に加齢に伴うものとされ、対症療法的な治療を受けていた方が多くいらっしゃいます。ホルモン補充療法は不足したエストロジェンを補うことで、これらすべての症状の根本へのアプローチと言えます。

ホルモン補充療法はどのような治療ですか。

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更年期というのは、閉経を挟んだ前後10年間、だいたい40代後半から50代前半の時期です。この間に卵巣ホルモンの分泌が減少し始め、ついには分泌がなくなります。これに伴って起きる症状がいわゆる更年期障害です。卵巣ホルモンの中でも特にエストロジェンの減少が更年期障害の背景にあります。エストロジェンは、閉経前の子宮や膣、乳房をはじめ、皮膚、血管、脂質代謝、糖代謝、骨、脳など女性の体のさまざまな働きを守っていたもので、これを補充していくのがホルモン補充療法です。当院ではまず血液検査を行いエストロジェンの血中濃度などを測定。また甲状腺機能異常からも更年期と似た症状が起こることがあるので、見分けるため、甲状腺ホルモンも同時に検査します。その上で、消失したエストロジェンを補うホルモン補充療法を行います。当院は、すべて、保険適用で手軽なパッチやジェルを処方することが多いですね。

一人ひとりに合わせた処方が可能なホルモン補充療法

ホルモン補充療法に対し不安を抱く方も多いと聞きます。

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「なんとなく不安」といった先入観を持っている方は多く見受けられます。多くは過去に「がんになりやすくなる」という情報にふれ、リスクを過大に捉えてしまっているようです。確かに古くはホルモン補充療法によって子宮体がんなどが増加したという調査結果もありましたが、現在は卵巣ホルモンとともに黄体ホルモンも補う方法をとっており、そうしたリスクはほとんどないとされています。逆に、ホルモン補充療法を続けると胃がんや大腸がんといった消化器系がんのリスクが低下するというデータもあります。当院ではホルモン補充療法を選択される方には、想定されるリスクを回避するため治療中の定期的な検査をお勧めしています。それでも不安という方には、漢方薬という選択肢もご用意しています。

ホルモン補充療法は生涯続ける必要がある治療ですか。

やめたいと思われるのであれば、いつでもやめることのできる治療です。しかし、治療を中断した方で症状が復活したという方が治療の再開を求めて受診されるケースも多く見受けられます。世界的に見ると、ホルモン補充療法は女性の一生に必要なものとして受け入れられるようになっています。また、投与するホルモンの量や方法は年齢やライフスタイルによって柔軟に変えており、オーダーメイドの処方が可能なものです。感染症やがんなどの治療は大きく進み、現代は人生100年と言われる時代。とはいえ、不健康な時期が長くなるのではなく、生き生きと過ごす時間を延ばしたいですね。更年期後の女性の健康寿命を延ばしていく方法の一つがホルモン補充療法。広く受け入れられ、前向きに人生を楽しむ女性が増えることを望んでいます。

印象的な患者さんとのエピソードを教えてください。

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例えば、物忘れとめまいがひどくて会社に迷惑がかかると悩まれていた金融関係の方。耳鼻科や脳神経外科を回っても解決せず、最後に更年期障害とわかりホルモン補充療法を始めました。また精神病と診断・治療されてしまった方で、結局、更年期障害だったケースもあります。更年期世代はちょうど管理職など職場でも責任のある立場になる時期です。もし更年期障害で苦しんでいる方が、症状をコントロールしながらも昇進などしてくれたら、私もうれしいですね。

人生100年、女性活躍の時代を医療の力でサポート

先生の診療方針を教えてください。

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あまり格好をつけないことですね。私はもともとざっくばらんな性格でおすましできないんですよ(笑)。また更年期障害について、以前よりは理解されるようになりましたが、それでも一人で悩まれている女性は多いはず。そんな方を元気にして差し上げたいと思いながら診療しています。患者さんは40代から50代ぐらいの女性が多いので、娘を見守るお母さんのような感じですね。

脳とホルモンの研究に従事していらしたのですね。

軍人だった父が終戦をニューギニアで迎え帰国するまで、洋裁を学んだ母が女手一つで私と妹を養ってくれたのです。そんな母の「これからは女性も手に職をつけなければ」という言葉をきっかけに医師をめざしました。でも、医師免許を取得した後、生理学を専門に選び、大学院に進んでずっと脳とエストロジェンの研究に没頭することになってしまいました。その領域での有名な教授のもとで学びたいとダラスのテキサス大学に留学もしました。帰国後も横浜市立大学医学部で教授になり教育や研究に携わりました。大学を定年退職後に、後輩のクリニックで週に2回ほど更年期障害の外来を担当する機会があり、実際に診療すると多くの患者さんに喜ばれました。研究し続けてきたことが多くの女性のためになると知り、学生時代からなじみのある大好きな横浜での開業に至りました。

読者へのメッセージをお願いします。

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日本ではホルモン補充療法を受ける女性はまだ少なく、それも女性が社会で活躍しにくい原因の一つではないかと思います。更年期障害で仕事を諦めたりせず、早い段階で適切な治療を受けてほしいですね。そのためにも40代になったら更年期に備えて、月経の状態などご自身の体にもっと敏感になってください。私自身は研究を通して更年期のエストロジェンの減少が体に及ぼす影響の大きさを学びましたので、早い段階から補充療法を受けてきました。また男性も、女性の更年期障害を正しく理解してほしい。そうすれば男性自身の更年期障害への理解も深まると思うのです。とにかく閉経後も健康で元気に能力を生かしながら、生き生きと過ごす女性を一人でも多くしたいですし、私自身もそれを目標にこれからも患者さんと一緒に歩んでいきたいと思います。

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