透析治療はアットホームなクリニックで
継続して通うのが大事
南池袋診療所
(豊島区/池袋駅)
最終更新日:2024/08/23
- 保険診療
日本では現在、透析治療を受けている患者は30万人にものぼると言われている。10年、20年と続く治療でもあり、自ずと患者の生活の一部とならざるを得ない。そんな数多くの透析患者の人生を30年にわたり支えてきた「南池袋診療所」。2016年に院長に就任した伊藤緑先生は「しっかり透析をしながら元気に過ごす」ことが何よりも大事だと考えている。透析患者は動脈硬化から心不全を起こしやすいため、全身の健康管理も欠かせない。透析の出入り口であるシャントのつまりにも目を光らせる必要がある。そもそも透析治療とはどのようなものなのか、同院で受けられる診療の特色と合わせて詳しく話を聞いた。
(取材日2024年1月9日)
目次
自身の腎臓の代わりに人工的に血液中にたまった毒素を抜くことをめざす透析治療。長いスパンでの治療となる
- Q透析治療とは具体的にはどのようなものなのでしょうか。
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A
糖尿病などで腎機能が低下すると本来ならば尿で排出される尿素窒素、クレアチニン、リンやカリウムなどが血液中に蓄積してしまいます。これを人工腎臓で取り除き、きれいになった血液を体内に戻すことをめざすのが透析治療です。慢性腎臓病になっていても基本的に自覚症状はないので、健診で腎機能の異常を少しでも指摘されたら、できるだけ早く受診していただければと思います。ごく早い段階からしっかりと食事管理などを行えば透析をまぬがれることもあります。腎臓に影響を及ぼす、血圧、血糖、コレステロール、尿酸値などきちんと管理していくことで、いずれは透析が必要だったとしても、それまでの時間を引き伸ばすのは十分に可能です。
- Q透析治療が始まるまでの流れを教えてください。
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A
血液検査で腎機能低下の指標となるクレアチニン、カリウムの値を見ます。同時に慢性腎臓病特有の症状、むくみ、息切れ、尿が出にくいなどがどれぐらいあるかを把握。その結果、透析の必要ありとなれば大学病院を紹介し、入院して透析の方針を決めます。その後は当院で、だいたい1日おきに1回あたり4時間というペースでの透析のスタートです。この段階では心の準備が整っていない方も多いと思うので、無理のないよう3時間から始めることもできます。ただ、やはり透析はしっかりと時間をかけるほど長期的な予後が良いことが望めるのも事実です。当院では5時間透析も行っているので、ご希望の方は相談していただければと思います。
- Qこちらでの透析治療にはどんな特徴がありますか。
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A
当院では血液ろ過透析という方法を主に採用しています。透析のクオリティーを上げ、水を介した感染症や合併症のリスクを減らすために高度に清浄化した水を大量に使用しているのが特色です。ゆくゆくは大学病院で研鑽を積んできた腹膜透析も始めたいと思っています。自宅でできる透析なので、患者さんの通院を月1回程度にできますからね。また、ターミナル駅が近いからか、会社勤めの方が多いのも特徴的かもしれません。定年に伴い「今後は自宅近くで透析を受けたい」という方がいれば、患者さんのご希望に合わせてご紹介するようにしています。
- Qスタッフの雰囲気がアットホームですね。
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A
透析ベッドが19台という比較的コンパクトなクリニックなので、患者さんとの距離は近いですね。頻繁に顔を合わせる間柄だからこそ、スタッフたちは患者さんに対して家族のように親身に接するように心がけてくれています。30年近く勤務しているスタッフもいて、長年通う患者さんのこれまでの人生に寄り添ってきました。家族のことをしゃべりたい人にはとことん耳を傾け、プライバシーに配慮してほしい方はそっとしておく。患者さん一人ひとりの個性を大事にしていきたいというのは全スタッフ共通の思いです。
- Qフットケアや運動メニューの提案もしていると聞きました。
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A
透析患者さんは小さな足のケガからあっという間に壊疽を起こし切断になってしまうリスクもあります。だからこそ、フットケアに注力したいと講習会で学んできてくれた看護師がいるんです。他のスタッフにもノウハウを伝えてくれて、院内でフットケアをご案内できるきっかけになりました。また、透析中に20分程度でできる運動メニューも取り入れています。エルゴメーターやゴムを使用したレジスタンス運動をご提案し、患者さんが透析中も楽しく過ごせるように力を入れています。これからも、大変な透析のための通院に対して少しでも前向きになれるよう、工夫を重ねていきたいと思っています。