専門家による早期の診断が重要
頭頸部がんについて知ろう
耳鼻咽喉科・頭頸部外科くまべクリニック
(大阪市中央区/谷町四丁目駅)
最終更新日:2026/05/14
- 保険診療
「頭頸部がん」という言葉をご存じだろうか。耳にしたことはあっても、具体的にどの部位を指すのかイメージしにくい人も多いかもしれない。頭頸部とは、脳と眼球を除いた鎖骨から上の領域を指し、そこに生じるがんの総称が頭頸部がんである。舌がんや咽頭がんなどもその一つに含まれる。頭頸部がんは健康診断や人間ドックの一般的な検査項目に含まれていないことが多く、自覚症状も乏しいため、発見が遅れやすいとされる。だからこそ、専門的な診察による早期発見が重要となる。そこで今回は、頭頸部がんの診療に20年以上携わってきた「耳鼻咽喉科・頭頸部外科くまべクリニック」の隈部洋平院長に、頭頸部がんの特徴や検査、早期発見のポイントについて話を聞いた。
(取材日2024年1月5日/更新日2026年5月8日)
目次
不調・違和感があれば専門の医療機関を受診。重症化を防ぎ機能を維持するためには早期発見・治療が重要
- Q頭頸部がんにはどのような種類がありますか?
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A
▲院長は20年以上耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医師として診療を行う
頭頸部と聞いても、具体的にどの部位を指すのかイメージしにくい方も多いと思います。頭頸部とは、脳と眼球を除いた鎖骨から上の領域を指します。頭頸部がんはその領域に発生するがんの総称であり、「頭頸部がん」という一つの病名があるわけではありません。がんは発生する部位ごとに名称がつけられており、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、副鼻腔がん、甲状腺がん、耳下腺がんなどさまざまな種類があります。これらをまとめて頭頸部がんと呼びます。さらに口腔がんの中でも、舌や歯茎、上あごなど、できる場所によって細かく分類されます。口の中にできるがんの中では舌がんが最も多いとされています。
- Q頭頸部がんの場合に現れる症状について教えてください。
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A
▲かすれ声や口内炎が続くようであれば注意が必要だ
頭頸部がんは、比較的早い段階から症状が出る部位と、進行するまで自覚症状が乏しい部位があります。例えば喉頭がんは声帯にできることが多く、初期でも声のかすれといった変化が現れやすいため、内視鏡検査で早期に発見されるケースも少なくありません。一方、食事の通り道にできる咽頭がんは、初期にはのどの違和感程度の症状しかなく、痛みで食事が取りづらくなる頃には進行していることが多いです。舌がんも「口内炎がなかなか治らない」と感じる程度で見過ごされ、気づいた時には進行しているケースがあります。また甲状腺がんは初期にはほとんど症状がなく、健康診断などのエコー検査で偶然見つかることが多いのが特徴です。
- Qどのような人が頭頸部がんになりやすいのでしょうか?
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A
▲日本では中咽頭がんの罹患率が増加している
口腔がん、咽頭がん、喉頭がんは男性に多く、喫煙と飲酒が主なリスクとされています。特に喉頭がんは喫煙との関連が強く、咽頭がんの中でも下咽頭がんは過度の飲酒が関与すると考えられています。一方で、甲状腺がんは女性に多いのが特徴です。近年、口腔がんや咽頭がんは増加傾向にありますが、特に増えているのが中咽頭がんです。その原因の一つとして、子宮頸がんと同じヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が指摘されており、感染が関係するケースも少なくありません。中咽頭がんの予防にはHPVワクチンが有用とされていますが、日本では男女ともに接種率が低い状況が続いています。
- Q検査について教えてください。
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A
▲より専門的な検査・治療は医療機関で受けられるよう連携する予定
甲状腺がんはエコー検査で見つかることが多く、しこりの大きさや形、内部の性状を確認します。口腔がんは視診・触診で発見されることが少なくありません。咽頭がんや喉頭がんは、内視鏡でのどの奥や声帯を観察し、病変の有無や広がりを評価します。また、頭頸部がんは首のリンパ節に転移することもあるため、エコー検査で状態を確認することも重要です。腫瘍が疑われる場合には、細胞や組織を採取して良性か悪性かを調べます。がんと診断された場合には、手術や放射線治療、抗がん剤治療などを組み合わせた治療が必要です。当院でがんが疑われた場合には、専門性の高い医療機関へ速やかにご紹介しますので、早めにご相談ください。
- Q頭頸部がんにおいても早期発見が大切だと聞きました。
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A
▲頭頸部がんが進行した場合、容貌や機能も大きく損なわれてしまう
頭頸部がんは進行してから手術を行うと、会話や食事などの機能が大きく損なわれたり、容貌に影響が出たりすることがあります。例えば喉頭がんは、初期であれば通院での放射線治療で完治をめざせる場合がありますが、進行すると声帯を切除する手術が必要となり、声を出せなくなる可能性があります。また舌がんも、初期であれば一部の切除で後遺症を最小限に抑えられますが、進行すると舌の大部分を切除する必要があります。再建手術によって機能の回復を図りますが、食事や会話が元どおりになるとは限りません。このように、発見の時期によって機能面や生活の質、さらには治癒率も大きく変わるため、早期発見が非常に重要です。

