隈部 洋平 院長の独自取材記事
耳鼻咽喉科・頭頸部外科くまべクリニック
(大阪市中央区/谷町四丁目駅)
最終更新日:2026/05/15
大阪メトロ谷町線・谷町四丁目駅から徒歩3分。大阪赤十字病院や兵庫県立尼崎総合医療センターといった関西地域の中核病院で20年以上にわたり、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医師として診療に携わってきた隈部洋平院長が、2024年2月に開業した。「耳鼻咽喉科・頭頸部外科くまべクリニック」は、耳・鼻・のど・首の病気に幅広く対応し、外来診療から日帰り手術まで一貫した医療を提供しているクリニックだ。これまで頭頸部腫瘍の診療や手術に数多く携わってきた経験を生かし、精密な診断と適切な治療選択を重視する。「これまで培ってきた技術や経験を地域で生かし、日帰り手術やがんの早期発見に力を注ぎたい」そう語る隈部院長に、これまでの歩みや診療への思いを聞いた。
(取材日2024年1月5日/更新日2026年5月7日)
診療スタイルと完全予約制の理由
開業に込めた思いは何ですか?

大規模病院で診療を続ける中で、「もっと早く受診できていれば治療の選択肢が広がったのに」と感じる場面が何度もありました。しかし実際には紹介状が前提となることも多く、軽い症状の段階では相談しづらい現実があります。耳・鼻・のどの不調は軽視されやすいものの、放置すれば慢性化や重症化につながる可能性もあります。私は「ちょっと気になる段階」で専門の医師に気軽に相談できる環境を地域に整えたいと考えました。特に日帰り手術やがんの早期発見は、患者さんの体や生活への負担を大きく軽減します。生活に寄り添う医療を提供したい……これが開業の原点です。
診療の特徴は何でしょうか?
当院では、耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域を幅広く診療しています。一般的な風邪や耳鼻咽喉科の感染症、アレルギー性鼻炎などに加え、薬だけでは改善しにくい中耳炎や副鼻腔炎、のどや首にできる腫瘍やポリープなどに対して、日帰り手術も取り入れています。耳鼻咽喉科の病気は命に直結することは多くありませんが、症状が長引くことで「よく眠れない」「仕事に集中できない」といった生活への影響が大きいのが特徴です。そのため、まず患者さんのお話を丁寧に伺い、症状が日常生活にどのような影響を与えているかを踏まえて治療方針を立てます。薬物療法も画一的に行うのではなく、年齢や体質、ライフスタイルを考慮し、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療を重視しています。
なぜ完全予約制にしたのですか?

開院当初は予約なしでの受診にも対応していましたが、患者さんの増加に伴い待ち時間が長くなり、一人ひとりに十分な時間を確保することが難しくなってきました。当院では「じっくり話を聞き、納得していただく」診療を大切にしているため、その質を維持するには一定の人数制限を設けた完全予約制が必要だと判断しました。もちろん、来院を希望されても予約が取りにくい状況が生じることは心苦しい面もありますが、移行後は「しっかり話を聞いてもらえた」「説明が丁寧で安心できた」といった声を多くいただいています。慢性的な症状や長年の不調を抱える方にとって、十分な時間をかけた診察は大きな安心につながっていると感じています。
経歴と頭頸部外科への思い
院長のご経歴と専門について教えてください。

私は大阪赤十字病院や兵庫県立尼崎総合医療センターで20年以上、耳鼻咽喉科・頭頸部外科に従事し、耳・鼻・のど・首のさまざまな疾患に対して、手術を含めた診療に携わってきました。中でも専門として力を入れてきたのが頭頸部がん診療です。頭頸部とは鎖骨から上で脳と眼球を除いた領域を指し、呼吸・発声・嚥下など、生活に欠かせない機能が集まっています。がん治療では「命を守ること」はもちろんですが、治療後に会話や食事を楽しみ、社会生活に戻れるようにすることも非常に重要です。これまでの経験から、「命を守る医療」と「生活を支える医療」の両立を常に意識してきました。現在の診療においても、その考え方を大切にしながら、必要に応じて適切な医療機関と連携し、最善の治療につなげることを心がけています。
頭頸部外科の手術にはどんな特徴がありますか?
頭頸部外科の手術は、患者さんごとに大きく異なるのが特徴です。例えば舌がんでは、腫瘍を大きく切除すれば再発リスクは下がりますが、話す・食べるといった機能に大きな影響が出る可能性があります。そのため「腫瘍を確実に取りきること」と「生活機能をできるだけ保つこと」のバランスが常に重要になります。大学病院や基幹病院では、欠損部位を補う再建手術も含めて、一例ごとに最適な方法を検討してきました。現在はそうした大規模な手術を行う立場ではありませんが、これまでの経験は、適切な治療方針の判断や紹介先の選択に大きく生かされています。
開業を後押しした決め手は何ですか?

私が開業を決意した大きな理由は2つあります。1つは、日帰り手術をより身近な選択肢として提供したいと考えたことです。大きな病院では耳や鼻の手術で4~5日程度の入院が必要となることが一般的ですが、適切な技術と設備があれば日帰りで対応できるケースも少なくありません。仕事や育児などで長期入院が難しい方にとって、日帰り手術は大きなメリットになると考えています。もう1つは、がんの早期発見に力を入れたいという思いです。頭頸部がんは、受診時にはすでに進行しているケースも少なくなく、「もっと早く見つけられたのではないか」と感じる場面をこれまでに数多く経験してきました。一方で、頭頸部外科を標榜するクリニックはほとんどなく、気軽に相談できる場が少ないのが現状です。そこで、自分の経験や技術を地域医療に生かし、早期発見につながる環境を整えたいと考え、開業を決意しました。
診療の工夫と今後の展望
診療で心がけていることは?

大切にしているのは「丁寧な診察」と「わかりやすい説明」です。耳・鼻・のどは自分で状態を確認しにくいため、不安を抱える方が多い領域です。当院では大型モニターに内視鏡やエコー、CTの画像を映しながら、患者さんと一緒に状態を確認し、できるだけ専門用語を使わずに説明します。診察中は患者さんとしっかり向き合う時間を確保するため、カルテ入力はシュライバーという専門スタッフが担当しています。また診察後には看護師が改めてお声がけし、疑問や不安が残っていないかを確認しています。患者さん自身が病状を理解し、納得した上で治療を選択できるようにすることが、当院の基本姿勢です。
設備面での強みを教えてください。
当院では、診断の正確性と安全性を高めるため、先端の医療機器を積極的に導入しています。高画質CTは中耳炎や副鼻腔炎、腫瘍の広がりを精密に把握でき、特殊光を用いた内視鏡は早期がんや炎症の評価に役立ちます。エコー検査では病変をリアルタイムに確認しながら腫瘍の位置を把握できるため、必要に応じて細胞の採取も可能です。さらに診察室には手術用顕微鏡を備え、耳の処置や繊細な手術をその場で行える体制を整えています。アレルギー検査についても、指先からわずか1滴の血液で実施できる機器を導入し、特に小さなお子さんの負担軽減につなげています。こうした設備を活用することで、より精度が高く、安心して受けていただける診療環境を整えています。
今後の展望を教えてください。

私が理想としているのは「なるべく通わせない医療」です。患者さんにとって最も望ましいのは、できるだけ短期間で症状が改善し、再診の必要がなくなることだと考えています。当院の強みである日帰り手術についても、「手術を受けたほうがメリットが大きい」と判断した場合にのみご提案し、無理に勧めることはありません。つらい症状に悩む方が一人でも多く安心して日常生活に戻れるように、その思いを大切にしながら、これからも地域に根差した医療を提供していきたいと考えています。

