吉崎 仁 院長の独自取材記事
ボーイズアンドガールズデンタルクリニック三宿
(世田谷区/池尻大橋駅)
最終更新日:2024/08/21

東急田園都市線の池尻大橋駅、三軒茶屋駅からそれぞれ徒歩約15分。世田谷公園にほど近い場所にある「ボーイズアンドガールズデンタルクリニック三宿」は、小さな子どもが患者層の中心だという。院長の吉崎仁先生は、体を動かすことが趣味だという気さくで明るい先生だ。同院では保険診療から自由診療まで対応。矯正治療では、小臼歯非抜歯の矯正にこだわる。そんな吉崎先生の医療に対する熱い思いをたっぷりと聞いてきた。
(取材日2023年6月28日/情報更新日2024年8月9日)
咬み合わせから全身の健康を考える歯科治療を
こちらのクリニックは、2019年に継承されたそうですね。

「子どもの咬み合わせを中心に診療したい」と思っていた時、ちょうどこちらのクリニックが空くと聞いて継承を決めました。外装や内装には特に手を加えていませんが、診療方針や診療の進め方は一新し、「原因から治す治療」にこだわって診療を行っています。私が院長となり5年経過しましたが、地道な診療を続けるうちに、1人目のお子さんの来院をきっかけに別のお子さんも連れて来てくれたり、お母さんも来院するようになったりと、少しずつ皆さんに受け入れてもらえるようになってきたように感じています。私は、検査結果を伝えた後で必ず「ご家族で一度相談してきてください」「不安があれば遠慮せずにセカンドオピニオン等を聞いてから判断してください」とお話しするようにしているのですが、「やっぱり先生にお願いします」と言ってくれる方がいたら、うれしくなりますね。
矯正歯科に対する思いをお聞かせください。
歯並びと咬み合わせは似て非なるものなんです。私自身も子どもの頃、矯正治療を受けたことがあるのですが、残念ながら本来一番大切な顎位を考慮した矯正治療ではなく、見た目だけに注目した矯正治療でした。前から数えて4番目の歯、つまり第1小臼歯も2本抜かれてしまいました。治療を終えても、そもそもなぜ歯並びが悪くなったのかという原因は解決していないので、しばらくすると後戻りしてしまい、現在も顎関節症の症状があってつらい思いをしています。私自身は歯科医師になってしばらくしてから、矯正治療を本格的に勉強したんです。私は歯科治療とは咬合治療といっても過言ではないと思っています。子どもであろうが大人であろうが、咬み合わせを治療するにあたっては矯正治療を避けられません。ただ、勉強すればするほど矯正治療に対する疑問が大きくなっていき、行きつくところ、ただの歯を並べる矯正ではダメだという結論に達しました。
咬み合わせ一つで体調に大きく変化が出るのですね。

そうですね。上顎は頭蓋骨の一部です。下顎は頭蓋骨にぶら下がっていて、上顎・下顎の歯が咬み合って位置が決まるのですが、そこがズレてしまうと、何らかの健康被害が出てきてしまう恐れがあります。頭蓋骨と下顎骨は別々の骨ですが、神経筋機構によりダイナミックに連動しています。頭蓋骨・下顎骨の発育がうまくいかないと、結果的に歯並びが悪くなり、うまく咬めないだけでなく、顎関節の症状、肩や腰など体のさまざまな部位の痛みにもつながりかねません。人間は2本足で歩き始めたことによって、一番重い頭をてっぺんにして歩かなきゃいけないので、バランスを取るのが非常に難しいんですよね。
治療において診査・診断を欠かさない
子どもの矯正を始めるのに適した時期はありますか。また、子どもの矯正で最も重要なことは何でしょうか。

人の咬み合わせは、十数年かけて適応と代償を繰り返しながら完成させていきます。具体的には咬み合わせの高さである「咬合高径」が増加し、上下の歯が接する平面である「咬合平面」がフラットになることにより下顎が前方適応していくのです。従って、乳歯列期においても高さが不十分なことが判明すれば、なるべく早期に介入していくことが大切です。
どのような診査をするのですか。
まずは、骨格の発育具合やお口の中の状態などを適切に把握するために、エックス線写真、口の中の写真、顔の写真等を撮影、顎機能等の検査をします。そして、その結果を私が分析します。次に、診断結果と治療方針、想定される期間などを丁寧にご説明します。少しでも疑問を感じたらセカンドオピニオンはぜひ受けてください。その上で、ご納得いただけたら治療を始めていくという流れです。検査結果については、個別に写真つきのファイルを作ってお渡しします。
小さなお子さんだと検査をするのは大変そうですね。

検査は1時間ほどかかるので、小さなお子さんの場合は2回に分けて検査するといった工夫をしています。お子さんの中には治療前に大泣きする子もいるでしょう。連れて来たお母さんは焦るでしょうが、私はお子さんが泣き止むまで待ちます。子どもの立場からすると不安で泣くこともあるでしょうし、過去の経験から怖くて泣いてしまうこともあると思います。いずれにせよ、「先生は、一生懸命君を診る。だから、君も一生懸命やろう。治療はその気になったら始めようね」というつもりでのんびり見守ります。大人が自分と真っすぐ向き合ってくれている、という感覚は小さな子にも必ず伝わるもの。子どもが泣き止んで座ってくれたら、練習をしながら治療ができるようになるまで根気強く信頼関係を築いていきます。先週まではお口を開けてくれなかったお子さんが突然協力的になってくれることもあるでしょう。また、その都度親御さんにもきちんと状況を説明します。
一人ひとりの成長に合わせた治療の提供を
患者さんに接する際に気をつけていることはありますか。

お子さんの処置をきちんとすることはもちろん、親御さんとしっかりと会話することも心がけています。そして、自分の子どもだったらどうするか、自分の親だったらどうするか、というのを常に意識して治療に取り組んでいますね。子どもから大人まで来院されるので、何歳であろうと一人ひとりに合った治療を提案させていただきます。
歯科医師として、今後力を入れていきたいことをお聞かせください。
とにかく、咬み合わせの診断・治療に力を入れていきたいです。ほぼ同時期に生まれた子どもたちでも、新生児から咬合高径と咬合平面の変化により、約10年の成長過程で全く違う形態になることもあります。ある子どもの成長過程を観察できて、何らかの介入ができるチャンスのある歯科医師は、今後非常に重要な役割を果たさなくてはならないと考えています。
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

親御さんはお子さんの歯のこと、お口の中のことを真剣に考えてあげてほしいですね。私は親御さんと、とことん話をして治療に臨みます。その場しのぎの治療は、いずれ顎関節や体の不調など、何らかの不具合を引き起こすことにつながっていきます。根本から治すことの大切さを知っていただいて、前向きに治療に取り組んでもらえたらうれしいですね。人生100年時代。健康に過ごせる人は、やはり咬み合わせがきちんと整っている人だと私は思うんですよ。少なくとも、私が診た患者さんには「ここで矯正してもらって良かったな」と思ってもらえるような医療を提供したいと考えております。
自由診療費用の目安
自由診療とは検査/6万6000円~、小児矯正/13万2000円~、歯列矯正(成人)/125万4000円~