人工授精・体外受精が保険適用に
改めて知っておきたい不妊治療
三軒茶屋ウィメンズクリニック
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2024/08/08
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不妊とは、妊娠を望む健康な男女が避妊せずに性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態のこと。なかなか妊娠せず不妊かもしれないと悩んでいても、費用や治療に不安があり受診に踏み切れないカップルもいるのではないだろうか。そのような人たちをサポートするため、国は2022年4月から不妊治療の保険適用範囲を拡大。これまで保険適用外だった人工授精のほか、体外受精・顕微授精の生殖補助医療も条件を満たせば保険適用となり、治療のハードルが下がりつつある。2011年の開院以来、子どもを望むカップルに寄り添い、一般不妊治療から専門性の高い生殖補助医療まで幅広く提供してきた「三軒茶屋ウィメンズクリニック」の保坂猛院長に、不妊の原因や治療を始めるタイミング、同院の治療の特徴などについて話を聞いた。
(取材日2024年7月18日)
目次
生殖医療の研鑽を積んだ多職種によるチーム医療で、子どもを望むカップルをサポート
- Q不妊の原因について教えてください。
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A
出産年齢の上昇が一番の原因だと思います。厚生労働省の人口動態調査によると、第1子出生時の母の平均年齢は1995年が27.5歳だったのに対して2023年は31.0歳と、約30年の間に3.5歳上昇しています。女性の社会進出に伴う晩婚化が出産の高齢化の一因ですが、では、なぜ出産の高齢化が不妊へとつながるのか。それは人生で経験する月経の回数が影響しています。月経回数が多いことで誘発される病気は数多くあり、その最たるものが子宮内膜症や子宮筋腫。いずれも不妊症の原因になる可能性があります。また、女性の卵子、男性の精子の量と質は加齢とともに低下するため、妊娠する力・させる力も低下していくのです。
- Q不妊治療を始める適切なタイミングはありますか?
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A
「いつから」「どの段階で」不妊治療を始めれば良いかという明確な基準はなく、ケースバイケースだと考えています。日本産科婦人科学会では、生殖可能な年齢の男女が避妊せずに性交渉を行って、1年たっても妊娠しない状態を不妊と定義していますが、カップルの年齢や体の状態を考慮し、1年未満で治療を始めることもあります。また、不妊の検査や治療は結婚していなくても受けることができます。近年は価値観の多様化が進み、パートナーや家族の形もさまざまです。婚姻関係や事実婚、同棲しているかどうかにかかわらず、カップルの間で「いつか子どもを持ちたいね」という話が出たときが、治療を始めるタイミングなのではないでしょうか。
- Q不妊治療の流れを教えてください。
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A
検査をしてカップルともに異常がない場合は、最も妊娠しやすい排卵日を予測して性交のタイミングを合わせる「タイミング法」、薬剤を使って卵胞の発育や排卵を促す「排卵誘発法」、排卵日に合わせて精液を子宮内に注入する「人工授精」などの一般不妊治療を行います。それでも妊娠しない場合には、体内から取り出した卵子を体外で精子と受精させて子宮内に戻す「体外受精」、一つの精子を直接卵子に注入して受精を促す「顕微授精」などの生殖補助医療へと進みます。より自然に近い方法から高度な治療へとステップアップするのが基本ですが、不妊の原因や年齢によっては体外受精から開始するなど、患者さんの状態に合わせて治療が選択されます。
- Q治療のステップアップのタイミングについて教えてください。
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A
当院ではタイミング法から体外受精まで、1年ぐらいを目安としていますが、妊娠する力が下がり始める35歳以上の方や他院での治療歴がある方、もともと生理不順が強い方などは早めのステップアップをお勧めすることもあります。また、卵巣に残っている卵子の数を測定するAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査の結果が、例えば年齢は若くてもAMHの値が低下している場合は早めにステップアップするなど治療方針を決める判断材料になることもあります。AMH検査は以前は自費で行われていましたが、2024年6月から条件はあるものの保険適用になりました。血液検査なので体への負担が少なく、できれば受けておくことをお勧めします。
- Qこちらのクリニックの強みや特徴を教えてください。
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A
当院の得意分野は生殖補助医療です。体外受精や顕微授精のほか、精子や受精卵を凍らせて長期間保存しておく精子・胚凍結、受精卵の周りの透明帯を薄くしたり切開したりして着床を手助けするアシステッドハッチング、生殖補助医療により得られた受精卵の染色体に異常がないかを調べる先進医療である着床前胚異数性検査(PGT-A)といった、先端の治療・検査を導入しています。また、医師・看護師・胚培養を行う専門スタッフ・受付など多職種によるチーム医療を実践している点も強みです。日本看護協会不妊症看護認定看護師による相談室を設けるなど、全スタッフがスペシャリストとして全力で患者さんを支援する体制を整えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは着床前胚異数性検査(PGT-A)/10万円~