つらい発作を取り除くために注力する
小児喘息治療
せせらぎこどもクリニック
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2024/11/15
- 保険診療
小児喘息は、子どもの頃に発症する気管支喘息のこと。子どもは体が発達途中のため、治療法や気をつけるべき点が大人の喘息とは異なる部分もあるという。また、子どもは症状があってもうまく表現したり、苦しいことを言葉で伝えたりすることができないことも多いため、周りの大人が咳や呼吸の異常に気づくことも重要だ。そこで、小児喘息に詳しい「せせらぎこどもクリニック」道海秀則院長に取材した。道海院長自身も小児喘息を経験していることもあり、喘息発作のつらさをできるだけなくしたいと治療に注力しているとのこと。小児喘息の症状を見逃さないように、また、安心して検査や治療が受けられるように、ぜひ多くの保護者に知っておいてほしい。
(取材日2024年10月4日)
目次
迅速にアレルギー検査を行い、つらい症状の早期回復をめざす。アレルギー診療の経験を生かした小児喘息診療
- Q喘息とはどのような病気なのでしょうか。
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A
喘息とは、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こって狭くなり、長く咳が続いたり、「ゼイゼイ」とした息苦しさが現れたりする病気です。一度咳き込むとなかなか止まらなくなることや、ひどい時には喘息発作と呼ばれる呼吸困難を起こして救急搬送が必要になることもあります。喘息の原因には、アレルギーによるものと、アレルギー以外のものがありますが、子どもの喘息は、ダニやハウスダストなどによるアレルギーが原因であることも多いです。そこで、当院でも、アレルギー検査を積極的に行うようにしています。院内アレルギー検査機を採用していますので、乳児期から大人まで、速やかにアレルギーの血液検査ができます。
- Qどのような症状に注意が必要でしょうか。
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A
咳が続く、たびたび咳をするというのが大きな症状です。喘息患者さんの場合、呼吸をする時に「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」というような特徴的な音が出ることがあります。これは、狭くなった気道を空気が無理に通り抜けようとしている時に出る音で、「喘鳴(ぜんめい)」といいますが、乳児や幼児の場合ははっきりと聞こえないことがあります。僕は多くの小児喘息の患者さんを診てきましたが、それでも、その場で診断できる場合とわかりにくい場合があります。ですから、とにかく咳が続く場合や、気になる咳をする場合、風邪の後に咳が残る、風邪が長引く、咳止めの薬を飲んでも改善しない場合などは、ぜひ当院にご相談ください。
- Q小児喘息と診断されたら、どのような注意が必要ですか。
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A
最近は新しく薬が開発されて、ひどい発作で入院する子どもは少なくなっています。適切な治療や管理によって症状のコントロールを図り、日常生活を送ることが見込めますから、ぜひお子さんに合った治療を受けていただきたいと思います。保護者の判断で薬をやめてしまうと症状がひどくなって再発することがありますので、必ず医師に相談してください。また、お子さんの場合、発作慣れしてしまうことがあります。「咳はあるが、食欲もあるし元気そうに見える」場合でも、診察すると喘息発作が起きていることもあります。指導された受診間隔を守ることはもちろん、気になることや変わったことがあれば、すぐに相談していただきたいですね。
- Q具体的にどのような治療を行うのでしょうか。
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A
まず、症状についてお話を聞き、呼吸の音に異常はないかなど詳しく診察します。小児喘息以外の咳の原因が隠れていないかを調べ、アレルギー検査も行います。治療で使うのは、気管支や気道の炎症を抑えるよう促し発作が起こらないようにするための抗アレルギー薬や吸入ステロイド薬、発作時に狭くなった気管支を広げ、呼吸しやすくするための気管支拡張剤などです。もちろん、治療法について親御さんによく説明をして理解してもらった上で、薬の量や種類を維持するか、減量するかを見極めるためしっかりと経過を追います。また、喘息発作を予防するために、アレルゲンになりやすいハウスダストやダニ、カビを減らす環境整備についても指導します。
- Qこちらの喘息の治療には、どのような特徴がありますか。
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A
「サッカーはできますか」「友達と一緒に遊んでいいですか」などと聞かれることがよくありますが、できるだけお子さんの生活を制限しないように、喘息発作が起きないよう治療するのが、僕の役目だと考えて治療を行っています。喘息の治療は「気道の炎症を抑えて、発作が起きないようにする」目的の予防治療が中心となります。お子さんが直面している苦しい症状をできるだけ早く改善するために、早めに治療を開始することを保護者に指導し、病気と向き合うように勧めます。必要な期間しっかり経過を追い、薬の調整を続けていきます。また、咳が続いて喘息が心配な場合には早めにご受診いただき、アレルギー検査の希望も遠慮なくお声がけください。