道海 秀則 院長の独自取材記事
せせらぎこどもクリニック
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2024/11/15

子どもの頃に喘息発作を経験したことから、同じように病気で苦しむ子どもを助けたいと小児科医師を志したという「せせらぎこどもクリニック」道海秀則(どうかい・ひでのり)院長。以前から面識のあった小児科クリニックを承継するかたちで、2023年の11月に開業した。気さくな人柄で、ざっくばらんな物言いも楽しい道海院長。子どもには友達のように親しみやすく語りかけ、親の困り事にもなんでも気軽に対応するのが特徴だ。親しみやすい笑顔と人柄の裏側に秘めた、「藤沢で、喘息発作で苦しむ子どもをゼロにしたい」という熱い想いも、患者が安心感を覚える魅力の一つだろう。親も子も通いやすく、スタッフも働きやすいクリニックをめざしたいという道海院長に診療の特徴や小児科医療に対する想いなどを聞いた。
(取材日2024年10月4日)
発熱患者専用のブースも設け、多様な小児診療に対応
まずは、開業までの経緯について教えてください。

医学部卒業後、母校の小児科に入局し、東邦大学医療センター大橋病院で研鑽を積み、その後、埼玉県の病院や、藤沢市や平塚市のクリニックで診療に携わってきました。1日に数多くの患者さんを診てきましたね。そろそろ独立したいと考えた時に、たまたま「おくやま小児科」の奥山利也先生が承継者を探していらっしゃったんです。奥山先生とは面識もあったことから、長く地域に親しまれていたクリニックを承継するかたちで、2023年11月に開業しました。本当にありがたいご縁だなと思います。院名は、クリニックの前を川が流れていることから、「せせらぎこどもクリニック」としました。
クリニックの特徴はどんなところでしょうか。
一つは、発熱患者さんの受け入れ体制です。急な発熱の際に受け入れ先が見つからず、不安に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。当院は、発熱患者さん専用のブースを5室設けており、診察室、処置室を入れると最大7組の患者さんを同時に診療に案内することができます。開院の際に院内を改装したのですが、この動線づくりには特にこだわりましたね。メインのエントランスとは別に、発熱患者さん専用の入り口・待機場所も設けているので、発熱の方は落ち着ける環境で診察をお待ちいただけますし、発熱の方が気になるという患者さんにも感染のリスクなく安心してご利用いただけます。また当院ではITの活用にも注力していて、発熱ブース専用のスマートフォンを用意し、その場で保険証の確認などを行っています。こういう仕組みは全部、自分で設定しているんですよ。とにかく効率を重視していますし、こうしたアイデアを考えるのも大好きなので(笑)。
それはありがたいですね、他にはどのような特徴がありますか。

ご希望があれば、連れてこられたご家族の方も一緒に診察をするところでしょうか。本来の診療内容は、小児一般とアレルギー疾患、喘息などですが、当院に来てくださった方は、大人も子どももみんな元気に帰ってもらいたいという気持ちがあります。親御さんたちも忙しいですし、子どもを優先して自分の不調を我慢している人も多いと思うんです。子どもたちを守るためには、子どもたちを守る大人たちも元気であることが一番だと思うので、ご自身の体調で気になることも遠慮なく相談してほしいです。また、土曜の午後にワクチン接種と乳幼児健診の専用枠を設けているのも工夫の一つですね。ワクチンデビューや健診はご両親にとって大切な記念行事でもありますから、できるだけ来てもらいやすいようにしています。2人で「わ、泣いちゃった」とか、その様子がとてもほほ笑ましいですね。
はやく、確実に患者の不安を取り除いていく
どのような患者さんが来られているのでしょうか。

近隣の方や、僕が以前から診ていた患者さんが、平塚市や辻堂からわざわざ来てくださることもあります。このエリアは意識が高い方が多く、予約のキャンセルの時はもちろん、「少し遅れそうです」とわざわざ電話してくださる方もいらっしゃるんですよ。ホームページもちゃんと確認して、当院の予約システムや待ち時間にもついても理解してくださる方が多く助かっています。また、お父さんが来られることが多いのも特徴かもしれません。土曜などは半分ぐらいお父さんですね。土地柄もあるのかもしれませんが、僕がプラモデル好きで院内に飾っていることもあって、お父さんも楽しそうに来てくださいますよ。
診療で大切にされていることを教えてください。
病気や治療の説明は丁寧に行いますが、それ以外の部分は感染のリスクも考えて、効率良くスピーディーに行うことを心がけています。意外と待ち時間は短いと感じられているのではないかと思います。あとは、すぐに検査を行うのも当院の特徴かもしれません。曖昧なことは言わず、検査をして適切な対応をしたい。そのほうが、患者さんも助かるし、こちらの感染リスク対策にもなると考えています。近年では、保育園や学校などで積極的な注意喚起が行われている印象を受けます。「○○かもしれない、○○だったらどうしよう」と不安を感じるかもしれませんが、そこを検査して正しく判断をするのが私の仕事。あまり深く考えずに、困った時はいつでも来てもらえたらうれしいですね。
スタッフの皆さんの丁寧な対応も印象的です。

ありがとうございます。患者さんに対する接遇は当然大切ですが、スタッフ同士の接遇も大切だと思っているので、お互いにリスペクトし合っていこうと伝えています。スタッフは年齢も職種も異なりますが、それぞれの視点から「こうしたらどう?」の話し合いを常にしてくれて助かっていますね。当院はスタッフルームを広めに取って、それぞれのクッションを用意して快適に過ごせるようにしています。そこでみんなでお昼ごはんを食べたり、最近では筋トレが流行ったりしていますね。「親子が安心して通えて、受診できて、スタッフも安心して働ける」そんなクリニックが理想です。
喘息発作で苦しむ患者をゼロにしたい
先生が医師をめざしたきっかけは何だったのでしょうか。

子どもの頃に喘息で苦しんでいたのを、医師に助けられたのがきっかけです。つらくてたまらない時に、「誰が自分を助けてくれるんだろう」と子どもながらに不安を抱えていました。でも病院で吸入治療を受けている時に、医師が自分のことを理解して助けてくれているんだなととても感じて、自分もそんな医師になると決めたのです。なので今でも、お子さんがゼーゼー苦しそうにしているのを見ると、ついつい熱が入ります。自分のところに来てくれる患者さんは何が何でも元気にしたいですし、藤沢周辺で喘息発作で苦しむ患者さんをゼロにしたいと本気で思っています。
患者さんとご家族が安心して通えるように、心がけていることを教えてください。
自分が子どもだったらどう接してほしいかということを考えながら対応しています。話しかける時は友達のように話しかけますね。保護者にはなるべくハッキリ伝えるようにしております。専門家としての判断を求めて受診されているかと思いますので、そのように意識していますね。話し方や雰囲気はフランクだと言われることが多いですね(笑)。院内には、カニや海の生き物たちのお手製のイラストを貼りつけたり、自分の大好きな漫画家さんとのコラボを通じてワクチンの啓発ポスターを作成したりと、病院特有の緊張感をなくすことや、知っておいてほしいことに楽しく興味が持てるきっかけをつくることを大切にしています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

僕は、小児科クリニックはよろず相談所になるべきだと考えています。子どもの困り事はなんでも相談してもらって、一緒に考えて、必要があれば専門的な機関につなぐのが小児科の役目だと思います。特に、初めてのお子さんの場合、お母さんもお父さんもわからないことや不安なことがたくさんあって当然だと思いますから、「こんなことで受診してもいいのかな」というような場合も遠慮せずに来てほしいです。小児科を受診したほうが良いのか、皮膚科や耳鼻咽喉科に行ったほうが良いのかといった問い合わせもありますが、当院はアトピー性皮膚炎も、中耳炎も診ますし、鼻水を吸うこともできます。頭をぶつけてたんこぶができたり、腕を脱臼したり、そんなトラブルも多いと思いますが、かかりつけでなくとも、いつでも相談しに来てください。「せせらぎこどもクリニックにいけばなんとかなる」そんな存在になっていきたいです。