医療機関が協力し合う医療連携
診療所の役割と患者のメリットとは
神宮前内科クリニック
(名古屋市熱田区/神宮前駅)
最終更新日:2026/07/17
- 保険診療
診療報酬とは、医療機関が患者に提供した医療サービスに対して支払われる公定価格で、日本では社会情勢や国としてめざす医療の在り方などに基づき、原則2年に1回改定が行われる。2026年度診療報酬改定で重点的に見直されたのが、医療連携の強化だ。ただ、一般には「医療連携」とは具体的に何なのかを知る機会は、あまり多いとはいえない。医療連携の役割や目的、医療連携の強化により患者側はどんな恩恵を受けられるのだろうか。この問いに対し、「神宮前内科クリニック」の川瀬雄太院長は「地域の医療連携が充実することで、診療所と病院それぞれの強みを生かした診療を提供できるようになります」と話す。日頃から積極的に地域の医療機関と連携し診療に向き合う川瀬院長に、医療連携の基本から患者側のメリットなどについて話を聞いた。
(取材日2026年5月27日)
目次
患者の些細な相談が、適切な医療につながるスタートライン。強みを生かした連携で患者の健康を支える
- Q医療連携とは何ですか? どんなところと連携するのですか?
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A
▲医療連携に注力している同院
一般的に医療連携とは、専門的な検査や治療を必要とする患者さんを診療所から他の医療機関に紹介したり、病院から診療所に退院後の患者さんを逆紹介したり、患者さんの情報を共有したりすることを指します。医療機関ごとに得意分野や専門性が異なるので、連携することで個々の強みを生かした診療を提供できるようになります。主な連携先としては、専門的な検査設備や入院・手術設備を備える大規模病院や地域の診療所で、病院との連携は病診連携、診療所との連携は診診連携と呼ばれます。名古屋市内は医療機関が充実していて、当院が位置する熱田区も近隣に医療機関が多数あり、必要に応じてさまざまな医療機関と連携するようにしています。
- Q診療所同士は具体的にどんなふうに連携しているのですか?
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A
▲適切な医療機関への紹介するための情報収集を行う
専門外の分野の検査や治療をお願いしたい際に、専門とする診療所をご紹介します。例えば当院をかかりつけとする患者さんが、胃腸に不調があると訴えてきた際には、内視鏡検査に対応する消化器の診療所をご紹介します。反対に、他の診療所から「患者さんが胸の痛みを訴えている」「降圧剤を飲んでもなかなか血圧が下がらない」といったことで、循環器疾患や生活習慣病の診療を得意とする当院に患者さんが紹介されることもあります。また、糖尿病の患者さんの場合は目や腎臓の状態を定期的にチェックするのが大切なので、眼科や腎臓内科の受診を促すなどのフォローアップも行います。これも診診連携の役割の一つといえます。
- Q大きな病院との連携について教えてください。
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A
▲名古屋市では病診連携のための検査・予約システムがある
病診連携における診療所側の大きな役割の一つが、診療を通して適切な医療に橋渡しするということです。不調を感じた際、「早く原因を知りたい」と不安に駆られる一方で「どの診療科を受診したらいいかわからない」と悩んでしまう方も少なくありません。そういった場合、身近な診療所を受診いただければ、医師が訴えや所見をもとに適切な病院を紹介させていただきます。当院では病院の検査は診療時にその場でインターネット予約し、結果は当院で受け取れるようにしていますので、患者さんの手間も少ないかと思います。また、病院によっては紹介患者さんのカルテを当院でも確認できるため、退院後のフォローアップなどに役立てることができます。
- Q円滑な医療連携のためには、院内での情報共有も重要と感じます。
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A
▲院内でのコミュニケーションも活発に行う
もちろんです。診療中の様子や、検査の数値だけではわからないこともありますから、スタッフとは日頃からコミュニケーションを取り、患者さんの様子などで気になったことがあれば共有するようにしています。小回りが利く規模の診療所ですので、スタッフ側もちょっとしたことを話しやすいかと思います。また当院では臨床検査技師が在籍しているので、診療に追われる中でも安心して検査を任せられますし、高い精度の検査が診療の質を支えてくれていると感じます。
- Q院長が医療連携に取り組む上で大切にしていることは何ですか?
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A
▲地域医療を支えるための努力を継続する
紹介する目的は何かを明確に連携先に伝えることを心がけています。診察時にどんな相談があったのか、かかりつけ医としてどんな疾患の疑いがあると考えていて、何をお願いしたいと考えているのかをわかりやすく連携先に伝えることで、連携際の医療機関もやるべきことが明確になりますから。それが結果として、患者さんにとって負担の少ない、より良い診療につながると考えています。目的を明確にするためには、私自身も広い視野で患者さんを捉え、持ち得る知識を使って適切な道筋を立てる必要があります。新しい知識を取り入れる姿勢も、医療連携を担う一人として大切だと思います。

