便潜血検査が陽性なら
必ず受けておきたい大腸内視鏡検査
池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院
(豊島区/池袋駅)
最終更新日:2025/10/22
- 保険診療
男女ともに罹患率や死亡率が上位にあるがんが、「大腸がん」。その早期発見のために健康診断などで行われるのが、「便潜血検査」だ。しかし、便潜血検査で陽性と判定されながら、大腸内視鏡による精密検査を受けていない人もいるのではないだろうか。「大腸がんは、ステージ3までであれば、ほかのがんに比べて高い生存率が期待でき、内視鏡手術など比較的侵襲の少ない治療で完治が望めます」と話すのが、「池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院」の柏木宏幸院長。だからこそ、早期発見と早期治療が重要なのだと話す。そこで柏木院長に、便潜血検査が陽性の場合に放置しておくことのリスクや、大腸がんの基本的なことについて教えてもらった。
(取材日2025年9月5日)
目次
便潜血検査陽性の放置は厳禁。少しでも受診しやすそうなクリニックで必ず大腸内視鏡検査を
- Q便潜血検査が陽性の場合、どのような病気が考えられますか?
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A
▲日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持つ柏木院長
便潜血検査は便の中に血が混ざっていないかを調べる検査です。従って大腸がんはもちろん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎やクローン病、虚血性腸炎など腸の炎症、痔といったお尻からの出血を伴うような病気のときに陽性になります。ですから、便潜血検査が陽性だからといって、必ずしも大腸がんというわけではなく、4%強が大腸がんで、50%ほどは大腸ポリープだといわれています。また、大腸がんの約9割は大腸ポリープががん化することが原因ですので、ポリープを切除することで将来の大腸がんのリスクを減らすことにつながります。そういう意味でも、年に1回は便潜血検査を必ず受けて、陽性のときには大腸内視鏡検査を受けることが大切です。
- Q大腸がんのリスクが高いのは、どのような人ですか?
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A
▲がんを早期発見・治療につなげるためにも検査をすることが大切
大腸がんは、生活習慣に由来するものが約7割、遺伝的な要因が3割程度とされています。生活習慣での代表的なリスク要因には、赤身肉や加工肉の多い食事、野菜不足や低食物繊維食、高脂肪食、喫煙、飲酒、運動不足、肥満、睡眠不足などが知られています。遺伝的な要因には、近い家族に大腸がんや大腸ポリープの既往があることが挙げられます。大腸がんは50代以降で増加するとされ、自治体などの健診では40歳を目安に便潜血検査などの大腸がん検診が対象となることが多いですが、近年は20〜30代でも大腸がんと診断される例が散見されています。そのため、若い世代でも年に1回は便潜血検査や大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
- Q大腸がんには、どんな初期症状があるのですか?
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A
▲チーム医療で高水準の医療サービスを提供する
大腸に限らず、がんには一般的に初期症状が少ないという特徴があります。ただし大腸がんの場合は、発生した部位によって症状が現れることがあります。例えば、大腸の中でも肛門に近い直腸やS状結腸にがんができた場合、水分が吸収されてある程度固くなった便と腫瘍が擦れることで出血することがあります。また、腫瘍によって大腸が狭くなると便秘を引き起こすこともあります。しかし、これらの症状が初期の段階で現れることはまれであり、自覚症状が出る頃にはすでに進行しているケースが多いのが実情です。痛みについても、初期の大腸がんではほとんど見られません。そのため、目に見える出血や痛みがないからといって、安心するのは危険です。
- Q便潜血検査が陽性の場合、必ず内視鏡検査を受けるべきですか?
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A
▲自己判断せず、専門的な知識を持つ医師に相談しよう
今お伝えしたように、特に初期の大腸がんには自覚症状がないことがほとんどです。そのため、便潜血検査で陽性でも症状がないために放置したり、痔による出血だと思い込んだりして精密検査を受けない人が少なくありません。実際、大腸がんと診断された方の中には、数年前の便潜血検査で陽性が出ていたにもかかわらず精密検査を受けていなかったというケースもあります。どのようながんでも早期発見と早期治療が重要ですが、特に大腸がんは、ステージ4まで進行すると生存率は低下します。しかし、その手前のステージ3までであれば、ほかのがんと比べて高い生存率が望め、内視鏡手術など比較的侵襲の少ない方法で根治が期待できます。
- Q大腸内視鏡検査に不安を抱いている人は多いのでは?
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A
▲患者の負担を軽減するためにさまざまな工夫をしている
確かに大腸内視鏡検査には、「痛くてつらい」というイメージがあるかもしれません。しかし、近年では鎮静剤や鎮痛剤の使用が主流となり、眠っている、もしくはうとうととリラックスしていたりする状態で検査を受けられるようになっています。さらに、内視鏡自体も細くやわらかく改良され、検査中に大腸を膨らませる際には吸収されやすい炭酸ガスを用いて検査後のおなかの張りの軽減を図る、女性の患者さんは女性医師が検査を行う、ジュースのような飲みやすい下剤を用意し快適な検査前準備室を備えるなど、検査の負担軽減に努めているクリニックは増えています。そのため、少しでも受診しやすそうだと感じられるクリニックを選ぶと良いでしょう。

