微熱・関節痛・皮膚炎は膠原病?
専門とする医師に早めの相談を
世田谷リウマチ膠原病クリニック 新宿本院
(渋谷区/新宿駅)
最終更新日:2025/07/14


- 保険診療
中高年女性に多い膠原病。ネットニュースで「始まりは筋肉痛」などと目にして「もしかして自分も?」と不安になる人もいるだろう。まずはどのような病気なのか正しく知りたいところだが「一言での説明は非常に難しい疾患です」と語るのが「世田谷リウマチ膠原病クリニック 新宿本院」の吉田智彦先生だ。大学病院で新薬に出会い「より多くの人に届けたい」との思いから、約20年前に膠原病を専門とするクリニックを開業。今では全国各地、海外から訪れる患者も少なくない。新たに東京都立大塚病院でリウマチ膠原病科部長も務めた立石睦人先生を副院長に迎え、先進的な治療にも積極的に取り組んでいきたいと考えている。受診のタイミングなど、膠原病の気になるポイントについて、2人に詳しく聞いた。
(取材日2025年5月31日)
目次
自己免疫疾患の膠原病は専門とする医師の診断のもとで治療を
- Q膠原病はどこが悪くなる病気なのでしょうか?
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A
▲リウマチ膠原病の研究・臨床ともに豊富な経験をもつ立石副院長
【吉田先生】一口に膠原病といってもさまざまな疾患があり、脳、内臓、血管、皮膚などあらゆる部位に炎症を引き起こす可能性があります。本来、自分を守る働きをするはずの免疫が暴走して自分自身を攻撃する状態に陥っている自己免疫疾患であり、リウマチ性疾患の原因になる例もあります。
【立石副院長】例えば、腎臓に障害が起きるケースもありますが、腎臓が悪い=膠原病ではないのが難しいところです。痛くない口内炎や下肢のむくみなども一つのサインですが、患者さんが気にしていないことも多々あります。どのような症状が出ているのかをもれなく把握し、複合的に考察していかなければいけません。
- Qその他、膠原病の症状にはどんなものがありますか?
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A
▲「共同意志決定」を大切に診療にあたる吉田先生
【吉田先生】よくあるのが微熱、関節痛、体重減少、陰部潰瘍、ドライマウスなどです。ドライアイ・眼痛・視力低下などの目の症状が出ることもありますし、皮膚症状が現れやすいのも膠原病の特色といえるでしょう。例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)は顔の中心に蝶が羽を広げたような赤い発疹ができます。シェーグレン症候群では顔面や上肢に赤みの強い環状の発疹が出現しますが、かゆくないのが特徴です。強皮症では冷たい物を触ったときに指が白くなるレイノー現象が起きたり、指先に潰瘍ができたりすることもあります。その他、間質性肺炎を合併しやすい皮膚筋炎ではたんが絡まない咳や息切れが続くこともあります。
- Q膠原病が心配なとき、何科を受診したら良いのでしょうか?
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A
▲木目を基調とした温かみのある院内
【立石副院長】先に述べたように膠原病が疑われる症状は多岐にわたり、中にはわかりにくいものもあります。見落としはもちろん、膠原病と誤診して治療がスタートしてしまうリスクも心配です。それだけ難しい疾患ではあるので、膠原病やリウマチを専門としているクリニックに相談することを強くお勧めします。膠原病かもと思ったときに「消化器内科と婦人科、どちらに行くべき?」などと症状から受診先に悩むケースも多いのですが、そんなときも専門の医師に相談してください。
【吉田先生】当院には複数の医師が勤務していますが、全員が日本リウマチ学会リウマチ専門医で、膠原病も専門としています。希少例にも対応できるのも強みです。
- Q膠原病の検査や治療の流れを教えていただけますか?
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A
▲近隣病院と連携し、必要な場合はスムーズに紹介してもらえる
【立石副院長】まず、血液検査によって自己抗体の有無を調べます。臓器の一部を採取して顕微鏡などで詳しく調べる生検、MRIやCTなどが必要になる場合もありますが、当院は東京都立大塚病院や大学病院と密に連携し迅速に行います。膠原病は眼科や皮膚科などと協力して治療を進めていかなければいけないことも多く、当院ならではのネットワークを役立てています。
【吉田先生】膠原病の治療ではステロイド剤や免疫抑制剤を使用します。ステロイド剤は長期服用による副作用も懸念されてきましたが、近年は生物学的製剤などの選択肢も増えました。当院では新しい薬なども積極的に導入しています。
- Qこちらのクリニックならではの特色をお聞かせください。
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A
▲多職種が一丸となり、チーム医療を提供
【立石副院長】医師だけではなく、薬剤師や看護師も膠原病に関する専門的な知識を持ち、患者さんと丁寧にコミュニケーションしているのが当院ならではの特色です。また、医療事務スタッフもソーシャルワーカーの資格を持ち、必要な支援にもつなげています。膠原病は難病医療費等の助成の対象となる疾患もあるので、コスト面などが心配な方もご相談ください。
【吉田先生】当院では漢方も取り入れています。東洋医学では「未病」にもアプローチできるので、まだあまり症状が出ていない方などがそのままの状態を維持することも期待できます。生活の質を守るためにも、膠原病への不安を少しでも感じたら、できるだけ早めに受診してください。