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貫 陽一郎 院長の独自取材記事

貫内科

(糟屋郡須惠町/新原駅)

最終更新日:2026/05/12

貫陽一郎院長 貫内科 main

JR香椎線・須恵中央駅から徒歩約8分の場所に位置する「貫(ぬき)内科」。院長を務める貫陽一郎先生は、先代である父が開業し約40年外科クリニックとして続いた同院を2023年に建て替え、内科クリニックとして新たなスタートを切った。九州大学病院での研究・診療を経て、基幹病院で消化器内科の部長を務めた日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医であり、この地域では数少ないIBD(炎症性腸疾患)の専門家でもある。「まずは気軽に来ていただきたいです」と終始笑顔で語る気さくな人柄が印象的だ。幼い頃からこの土地の野山を駆け回り、今は息子とボーイスカウトの活動を楽しむなど地域愛の強い貫院長に、診療への思いをじっくり聞いた。

(取材日2026年4月3日)

大学病院で培った消化器内科の専門性を地元へ還元する

まずは開業までの経緯を伺ってもよろしいですか?

貫陽一郎院長 貫内科1

生まれ育ったのもこの場所で、自宅のすぐ隣が父の営む外科クリニックでした。扉を開ければそこがクリニックで、小さい頃は入院患者さんと遊ぶこともあったくらい、医療がごく身近な存在だったんですね。開業医として患者さんと近い距離で接し、地域の皆さんに慕われている父の姿にはずっと憧れがありました。医療について深く考えるようになったのは、大きな病院で勤務するようになってからです。経験を積む中で、都会で学んだ知識や技術をこの地域に届けたい、患者さんを適切な医療へつなぐ役割を担いたいという思いが強くなっていきました。父も高齢になっていましたので、約40年にわたり地域に親しまれてきた外科クリニックを受け継ぎ、2023年に建て替えて内科クリニックとして再出発しました。

消化器内科を専門に選ばれた理由を教えてください。

父はもともと外科医でしたが、時代の変化とともに診療の中心が内視鏡を用いたものへと移行していました。その姿を見て、内視鏡の技術を専門的に深めていくなら内科が最適だろうと考え、消化器内科の道を選んだんです。「九州大学病院」には約6年間在籍し、胃がんや大腸がんに対する内視鏡手術に携わりながら、炎症性腸疾患という難病の診療や研究にも取り組みました。その後は基幹病院で消化器内科の部長として5年ほど勤務し、がん診療や内視鏡手術の前線でさらに経験を重ねています。開業するとなれば一人で判断しなければならない場面も増えますから「この地域の方の力になるには、まず自分が十分な実力をつけてからでなければ」と、ずっと思っていたんです。

新しくなった院内や、対応している診療内容についてはいかがでしょうか?

貫陽一郎院長 貫内科2

もともと敷地が広いので、院内はゆったりとした設計にしました。ちょうど高台に位置していて待合室からの眺めが良く、自然光もたっぷり入りますので、明るく開放的な空間になっています。病気の早期発見に努めたいという思いから、内視鏡の検査室には十分なスペースを確保し、各種機器をそろえました。また、診察室を中心に院内全体が見渡せるようにしていて、処置室やベッドで休んでいる方の様子にもすぐ目が届く設計です。診療は消化器内科を中心に、風邪や生活習慣病など内科全般の相談にも対応し、日帰りのポリープ切除も行っています。「何科にかかれば良いかわからない」とお悩みの方も、まずは気軽にご相談いただければと思います。

隠れた難病を見逃さないための、専門家としての技

特に力を入れて診ていきたい疾患はありますか?

貫陽一郎院長 貫内科3

IBDと呼ばれる、炎症性腸疾患の診療には特に力を入れています。IBDに含まれる主な疾患は潰瘍性大腸炎とクローン病の2つで、いずれも原因が解明されていない指定難病です。腹痛や下痢、血便といった症状が若い頃から繰り返し起こるのが特徴で、発症のピークは10代から20代。この疾患を専門的に診られる開業医は非常に少なく、少なくとも近隣の糟屋郡エリアにはほぼいないのが実情です。大学病院に勤務していた頃は、症状は安定しているのに薬の処方を受けるためだけに半日がかりで通院されている方を多く見てきました。症状が落ち着いている方であればクリニックでも十分に治療を続けられますので、通院のご負担を少しでも軽くするお手伝いができればと思っています。

IBDが見逃されてしまうケースもあるのでしょうか?

この病気の難しさは、下痢や腹痛、というよくある症状で始まることもあり、ご本人も「そのうち治るだろう」と見過ごしやすい点にあります。さらに血液検査では判別できず、内視鏡で腸の粘膜を直接確認し、ただれ方の特徴から目視で診断するしかないんです。内視鏡検査を行う医師は多くいますが、IBDの所見を見慣れていなければ、検査をしても気づけないことはあるでしょう。実際に、ある30代の方は20歳頃からずっと症状があったのに約10年間診断がつかなかったんです。潰瘍性大腸炎は血便を伴う下痢が中心で、クローン病は腹痛や治りにくい痔瘻が目立つなど疾患ごとに特徴が異なりますので、専門的な知識と経験がどうしても欠かせない領域だと感じています。

IBDなどの疾患の可能性を疑うべき目安などがあれば知りたいです。

貫陽一郎院長 貫内科4

目安としては、1ヵ月以上続く下痢や、繰り返す腹痛、血便が続いているといった症状があれば、ぜひ一度ご相談いただきたいです。腸の炎症が長期間続くと大腸がんのリスクが高まることもわかっていますので、やはり早めの発見が大切になります。喜ばしいことに近年は治療薬が大きく進歩しており、早い段階で治療を始めれば安定した状態を長く維持しやすくなっています。長年わからなかった場合でも、専門的な検査で診断がつけば適切な治療を始めることができます。10代20代の若い方やそのご家族にも、IBDの存在をぜひ知っておいていただきたいですし、気になる症状があれば早めに専門的な検査を受けていただければと思います。

まずは話を聞くことから、地域と高度医療の架け橋に

日々の診療で大切にされていることはありますか?

貫陽一郎院長 貫内科5

開業してから特に実感しているのが、まずしっかり話を聞くことの大切さです。大学病院にいた頃は、患者さんが何か話そうとしても「いや、それは違いますよ」とつい先に説明してしまうことがありました。けれど患者さんはそれぞれに悩みを抱えて来られているわけですから、たとえ一見関係なさそうに思える話であっても、まず受け止めることが大事なんだと気づいたんです。消化器内科ではストレスから来る腹痛や下痢で来られる方も多いので、じっくりお話を伺って少しでも気持ちが軽くなればうれしいですね。こうした姿勢はスタッフにも共有していますが、看護師も事務スタッフも、こちらから言わずとも自然と丁寧に対応してくれていて、とても頼りにしています。

この地域でめざす医療の姿をお聞かせください。

私がめざしているのは、大学病院などの先端医療と地域とをつなぐ架け橋のような存在です。九州大学の出身ですので大学病院には同級生や後輩も多く、必要なときにすぐ適切な専門家へご紹介しやすい体制があります。住んでいる場所によって受けられる医療に差が出てしまうのは、絶対に避けたいというのが私の根本にある思いです。この土地で育ち、この土地に根を下ろしてきた人間だからこそ、地元の皆さんの健康を守る役割をしっかり担っていきたいと考えています。ちょっとした思い出話ですが、子どもの頃はこの辺りの山や川を駆け回ったものです。今は息子がきっかけで始めたボーイスカウトの隊長として、週末は地域の子どもたちと一緒に活動を続けているんですよ。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

貫陽一郎院長 貫内科6

どんな症状であっても、まずは気軽にご相談いただきたいと思っています。「体の調子がおかしいけれど、どこに行けば良いかわからない」、そういうときこそ窓口として頼っていただければうれしいです。お話を伺った上で、専門外の症状であれば適切な医療機関をご紹介することもできますので、そうした橋渡し役としても頼っていただきたいですね。よく「あまり医者っぽくないですね」と言われるのですが(笑)、そんなキャラクターだからこそ構えずに話していただけるのかなと、自分では前向きに捉えているんです。些細な体の変化でも遠慮は要りません。特に長引く下痢や腹痛を抱えている若い世代の方には、ぜひ一度、専門的な検査を受けるきっかけにしていただけたらと思います。