皮ふの赤みや湿疹
乾癬の原因や治療方法
きぬ皮フ科クリニック
(流山市/流山おおたかの森駅)
最終更新日:2023/02/15


- 保険診療
かゆくも痛くもなく、比較的目立たない部分にできた皮膚疾患は放置しがちなもの。赤く盛り上がってフケのようなものが出る乾癬(かんせん)も、そんな皮膚疾患の一つだが、かゆみや痛みはないものの、毎日目にする本人にとっては不快なできものであることには変わりない。日本皮膚科学会皮膚科専門医として長年大学病院などで経験を積み、乾癬にも造詣が深い「きぬ皮フ科クリニック」の川﨑ゆりか院長は、「乾癬の原因は遺伝的な要因や免疫学的要因など複数の要素が絡んでいます」と話す。謎多き皮膚疾患「乾癬」の治療法や日常生活での注意点について川﨑院長に詳しく聞いた。
(取材日2022年1月24日)
目次
自然治癒が難しい乾癬。早めの治療で少しでも早く快適に
- Q乾癬(かんせん)とはどのような疾患なのでしょうか?
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A
▲早めに皮膚科を受診してほしいと話す院長
まず「かんせん」という名前ですが他の人に感染する病気ではありません。全身のどこでも現れますが、頭皮や髪の生え際、肘、膝など比較的外からの刺激を受けやすいところに出やすいです。症状は、皮膚から少し盛り上がった赤い発疹の上に、フケのようなものがつき、ポロポロと剥がれ落ちます。かゆみはないこともあり、大きさはさまざま。まれに関節の痛みや発熱などの症状を合併することがあります。原因には遺伝的な要因や免疫学的要因など複数の要素が絡んでいるとされています。研究が盛んですが、現時点で自然治癒は難しいとされています。中には10年以上放置してしまう患者さんもいますが、早めに皮膚科に受診することをお勧めします。
- Q乾癬はどのように治療するのですか?
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A
▲症状に合わせて塗り薬を処方している
皮膚科疾患の治療の中心は塗り薬で、乾癬も主にステロイドとビタミンD3の2つの塗り薬を使います。患部の炎症を抑えるためのステロイド、皮膚細胞の異常な増殖を抑えるためのビタミンD3、近年は両者の成分を混ぜ合わせた配合薬が主流です。塗り薬で改善しない場合や患部の面積が大きい場合は、紫外線を患部に照射し過剰な免疫反応を抑えることをめざす光線療法もあります。週に1~2回、個人差が大きいのですが10回程度受ける必要があります。ほかに内服薬や注射薬で治療を行うケースもありますが、いずれにしろ症状や程度、患者さんの社会的背景や治療の効果、安全性を複合的に判断し適切な方法を選ぶ必要があります。
- Q乾癬と似た症状の別の疾患もあるのですか?
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A
▲わかりやすく丁寧な説明を心がける
皮脂の分泌が多い頭部や生え際にできる脂漏性湿疹はとてもよく似ています。幸いどちらもステロイドの塗り薬が治療の柱ですから、鑑別診断は不要という意見もあります。爪水虫も爪が白く濁ったり分厚くなったりして乾癬と似た症状が見られますが、こちらは細菌感染で治療法もまったく異なり、必ず顕微鏡で菌の存在を確認し鑑別診断を行います。ほかにも貨幣状湿疹という皮膚に丸い形の湿疹が現れる疾患や、手のひらなどに現れる梅毒性乾癬、類乾癬、ジベル薔薇色粃糠疹(ばらいろひこうしん)、毛孔性紅色粃糠疹 (もうこうせいこうしょくひこうしん)、リンパ腫など似た症状の疾患は多いので皮膚の専門家に診てもらいましょう。
- Q乾癬と診断されたら、日常生活での注意点はありますか?
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A
▲患者一人ひとりに合った適切な治療法を提案している
これは皮膚疾患全般に言えますが、ストレスや喫煙は良くありません。乾癬はそのほかにも、メタボリック症候群との関連性がいわれていますし、風邪や扁桃腺炎などの感染症にかかると症状が悪化することがあります。皮膚が刺激を受けると悪化しやすいので、なるべくかいたり触ったりしないようにして、皮膚を清潔に保ちましょう。皮膚疾患をお持ちの方には、下着など直接肌に触れる衣類は、冷感や温感効果のあるような合成繊維ではなく、綿のような天然素材100%のものをお勧めしています。せっけんや洗剤、柔軟剤などは低刺激性や界面活性剤フリーなどもありますが、一度使ってみて問題なくご自分の肌に合うようなら使って良いと思います。