四十肩? そんな時は整形外科へ
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
こいずみクリニック 整形外科リハビリテーション科
(大阪市城東区/新森古市駅)
最終更新日:2025/01/16
- 保険診療
一定の年齢を過ぎると、肩の関節が痛い、腕が上がらないなど、いわゆる四十肩・五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎(凍結肩)の症状に悩まされる人が増える。しかし、「年齢のせいだから仕方ない」と我慢するか、手軽なマッサージで済ませている人が多いのではないだろうか。「こいずみクリニック 整形外科 リハビリテーション科」の小泉宏太院長は、こうした現状に警鐘を鳴らす。四十肩・五十肩とよく似た他の病気やケガが見逃されるおそれがあるからなのだそう。また、痛みを我慢する必要はなく、医療機関で治療を受けてほしいと小泉院長は話す。肩関節の診療を得意とする小泉院長に、肩関節周囲炎の診断や治療について詳しく話を聞いた。
(取材日2022年8月5日)
目次
肩のトラブルの原因を正しく把握・診断し、適切な治療を
- Q肩の痛みに対して整形外科ではどのようなことをするのでしょう?
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A
肩の痛みや動きの制限を伴う疾患やケガがある場合、骨・関節、靭帯、腱、神経などのうち、どの部位に原因があるのかを見極めていく「診断」が重要です。診断のためには、問診や診察に加えて、レントゲンやエコー、場合によってはMRIなど画像を使った検査も行います。これらの検査結果を総合的に判断して、医師が診断を行っていきます。痛みや動きの不具合を感じると、マッサージで済ませる方も多いです。しかし、原因がはっきりしないまま施術を受け続けていても、他の原因からくる不具合の場合は症状の改善が期待できないばかりか、悪化させてしまうおそれもあります。まずは、整形外科に相談されることをお勧めします。
- Q小泉先生は肩関節の治療の経験が豊富と聞きました。
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A
初期研修を受けた病院で肩の治療を得意とする先生を師として、私も専門的に取り組むようになりました。肩を専門に診る医師が少ないこと、技術的にもとても奥深い世界だと感じたことで興味を持ちました。その後、整形外科医として15年間病院に勤務して、肩関節を中心に多くの手術を担当してきました。もちろん骨粗しょう症や膝、スポーツ外傷の治療、関節リウマチ、骨折などの一般的な外傷も経験してきましたが、肩の診療には当初から変わらずに熱意を持って取り組んできました。症状からどの部位に問題があるか推測し、レントゲンなどの画像で診断をつけ、手術で実際に診断の整合性を取るという行為を実直に繰り返した経験が生きています。
- Q肩の診断は整形外科の医師でも難しいそうですね。
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A
勤務医時代は、肩関節の症状で困った患者さまを整形外科医から紹介される肩専門の外来も行っていました。肩の痛みには、肩のインナーマッスルの腱板という筋肉・腱の断裂や、軟骨がすり減る変形性関節症が原因のケースも少なくありません。的確な診断が肝要ですが、整形外科医の中でもなかなか難しいようですね。MRIは診断に有用ですが、肩のMRI画像から正確に診断をつけるには経験が必要です。MRIを撮られてから病院に患者さんをご紹介いただいても、紹介された病名とは異なる診断である場合もありました。
- Qこちらではどのように診断・治療を進めますか。
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A
問診や身体の所見をとることで、おおよその見当がつきます。レントゲンやエコー、MRIなどの画像検査で最終的な診断をします。実は、四十肩・五十肩は構造的な損傷が”ない”肩の痛みと動きの制限を伴う疾患であるため、他に痛みなどの原因となる疾患が”ない”ことを診断する必要があります。また四十肩・五十肩はその段階に合わせた治療が必要です。以前は、炎症が強い初期は積極的な治療をしないことがスタンダードな治療法でしたが、患者さまは強い痛みに耐え忍ばないといけません。この時期は関節内で強い炎症が生じているため、当院ではエコーで確認しながら、確実に関節内にステロイド薬を投与することでつらい痛みを改善に導きます。
- Qリハビリも重要なのだとか。
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A
四十肩・五十肩は進行すると、炎症の影響で、骨と骨のつなぎ目である関節を取り囲む関節の袋(関節包)が厚く、縮んでしまいます。これにより、本来ゆとりがある関節包の中のスペースはなくなり肩の動きが制限されます。ここまで進行する前に、前述のステロイド投与をしていきましょう。しかし関節が硬くなってしまった後では、リハビリで少しずつ縮んだ関節包を伸ばすことが必要です。当院では、どの動きが強く制限されているかなど、患者さまの状況に合わせたリハビリメニューを提案しています。日頃から行っていただくことが大切ですので、ご自宅でできるストレッチなども理学療法士がアドバイスします。