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椿原 基史 院長の独自取材記事

椿内科クリニック

(世田谷区/等々力駅)

最終更新日:2026/05/14

椿原基史院長 椿内科クリニック main

等々力駅から徒歩2分、椿の花をあしらったロゴが目印の「椿内科クリニック」。院長の椿原基史先生は、横浜市立大学卒業後に病理学の大学院で数多くの病理解剖を経験し、静岡県立総合病院や国立病院機構横浜医療センターなどで30年以上にわたり呼吸器内科の臨床に力を注いできた。研修医の頃から「いい内科医になる」という夢を胸に歩み続けてきた椿原院長が、2022年に地元であるこの地で開業。バリアフリーで広々とした院内で、かかりつけ医として内科全般に対応しながら、特に長引く咳や痰の悩みには豊富な呼吸器診療の経験を生かして対応している。穏やかで柔和、それでいて謙虚な人柄がにじむ椿原院長に、薬の処方へのこだわりや患者一人ひとりに寄り添う思いについて聞いた。

(取材日2026年4月20日)

「いい内科医」をめざし、病理学や呼吸器診療を研鑽

クリニックを開業された経緯を教えてください。

椿原基史院長 椿内科クリニック1

「いい内科医になる」。それが私のキャリアを貫いてきた夢です。研修医の頃、恩師に目標を聞かれてそう答えたところ、「君ならなれるよ」と言っていただけて。あの言葉が今も私の支えになっています。経歴としては、横浜市立大学を卒業後、研修を経て病理学の大学院で4年間学び、その後は静岡県立総合病院の呼吸器内科で3年間、国立病院機構静岡富士病院では一人医長として2年間、そして国立病院機構横浜医療センターで25年にわたり臨床経験を積みました。チーム医療や医療DXの導入にも携わり、多くの学びを得た日々でした。2018年に高齢の母と同居するため地元に戻り、2022年にこの等々力の地で開業しました。院名は私の姓「椿原」にちなんでおり、椿の花のロゴが目印です。

大学院での学びが、現在の診療にどう生きていますか?

もともと画像や顕微鏡など「目で見て判断する」ことが得意で、初期研修後に病理学の大学院に進みました。4年間で数多くの病理解剖を経験し、CT画像と実際の臓器を見比べることに没頭する毎日を過ごしました。病理解剖では亡くなった状態から臨床経過をさかのぼって最終診断を導きます。通常の診療では症状の経過を前に追いかけていきますが、逆方向からたどるという視点を持てたことで、診断の幅がぐっと広がりました。大学院では病理学の教授も内科学の教授も肺がご専門でしたので、形態的なアプローチが生かせる呼吸器の分野へ自然とつながっていきました。この病理で培った「逆から診る」視点が、今も画像を読み解く際の大きな礎になっていると感じています。

クリニックの特徴や、来院される患者さんについて教えてください。

椿原基史院長 椿内科クリニック2

当院は等々力駅から徒歩2分のビル1階にあります。バリアフリーで広々とした院内に診療室を2つ設けており、1つは発熱など感染症が疑われる方専用です。処置室とエックス線室も備えています。診療科目は内科・呼吸器内科・アレルギー科。かかりつけ医として内科全般に対応しながら、呼吸器内科を強みとしています。長引く咳や痰でお悩みの方の他、生活習慣病の管理など来院のきっかけはさまざまですね。患者さんは30代から40代の方も多く、お子さんから風邪をもらってしまったと来院されるお母さんも多いです。私は地元の出身ですので、中学時代の同級生がおじいちゃんやおばあちゃんを連れて来てくれることもあり、とてもありがたく思っています。

長引く咳に、丁寧な診断と絶妙なさじ加減の処方

咳に悩んで受診される方も多いと聞いています。

椿原基史院長 椿内科クリニック3

ええ。咳が長引いて困っているという方の来院がとても多いです。「明後日テーマパークに孫と行くのに」「歌の発表会がある」「昇進試験を控えている」など、大切な予定を前に咳が止まらないと駆け込んでこられる方も珍しくありません。当院ではまずエックス線と、吐いた息の成分から気道の炎症を調べる呼気NO検査をセットで行い、咳喘息などの可能性を評価した上でお薬の相談に進みます。お薬を3~4日使っても改善が見られなければ再度来院いただき、治療の見直しを行います。副鼻腔の感染が疑われる場合はCTの撮影を提携先に依頼し、病変の有無に応じて方針を調整していきます。長引く咳にも必ず原因がありますので、早めに見極めをつけることを大切にしています。

お薬の処方にあたって、大切にされていることを教えてください。

私が医師になった頃は、呼吸器に使える薬はステロイドの吸入薬とテオフィリンの飲み薬ぐらいでした。その後、さまざまな吸入薬やマクロライド系の抗菌薬、気道の炎症を抑えるロイコトリエン受容体拮抗薬といった新しい薬が次々と登場し、私のキャリアと薬の発展がほぼ歩調を合わせてきた形です。そうした薬を長年にわたって使い続けてきましたので、それぞれの特性や「この組み合わせには注意がいる」という知見が自然と身についています。薬の用量調整は料理の塩加減や火加減と似ていて、症状がきつい時期にはしっかり使って落ち着けることをめざし、その後慎重に減らすという見極めが欠かせません。必要な場面で根拠を持って十分な量を使えることが、呼吸器の領域で経験を積んできた強みだと感じています。

生活習慣病の患者さんへの対応で、工夫されていることはありますか?

椿原基史院長 椿内科クリニック4

高血圧症や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病の患者さんには、まず食事アンケートをお願いしています。ふだんの食生活の傾向と、ご本人がどの程度改善に取り組めそうかを一緒に確認するためです。お薬を使いたくないという方の気持ちにも寄り添いつつ、3ヵ月ほど経過を見て再検査し、数値次第でお薬の導入をご提案します。前回より数値が下がっている場合、生活の工夫だけで様子を見る期間を設けることもあります。脳血管や心血管のリスクスコアもお見せしながら、長い目でのお付き合いをお願いしています。診察では「私も魚を多めにしています」「キャベツをチンして食べています」と自分の食生活を話すんですよ。高齢の母と暮らしていますので、長寿の方の食の工夫も自然と話題になり、患者さんとの距離を縮めてくれます。

専門的な技術と誠実さを併せ持つ地域のかかりつけ医へ

大きな病院とクリニックでは、患者さんとの関わり方も異なりますか?

椿原基史院長 椿内科クリニック5

病院にいた頃と比べると、開業してからは試行錯誤の毎日です。患者さんが来られるタイミングも主訴もさまざまで、一度に2つ3つのご相談を持ってこられることも珍しくありません。だからこそ「来てくださるのには何か理由がある」と考え、再診であれば、診察前にカルテを見直すようにしています。以前、83歳の糖尿病の方がいらっしゃいました。近くで同じ治療を受けたいのだと思っていたのですが、実はご本人は治療そのものから離れたいというお気持ちだったようです。患者さんが言葉にしない思いをどう受け止めるか。わざわざ来てくださる理由も来なくなる理由もそれぞれに幅がありますので、一人ひとりに丁寧に向き合うことを日々心がけています。

今後、どのようなクリニックをめざしていきたいですか?

かかりつけ医としての機能をさらに高めていきたいと考えています。呼吸器診療は引き続き強みとしながら、高血圧症や糖尿病といった慢性疾患の管理にも力を入れて勉強を続けているところです。最近は患者さんのほうから「帯状疱疹のワクチンを打ったほうがいいでしょうか」「RSウイルスのワクチンはどうですか」と聞かれることが増えてきました。予防医療への関心の高まりを肌で感じますので、そうしたご相談にもしっかりお応えできるよう知識を深めていきたいですね。当院の隣には地域包括支援センターがあり、訪問看護や介護に携わる方々もいらっしゃいますので、そうした多職種との連携も視野に入れながら、患者さんにとってわかりやすく通いやすいクリニックをめざしていきたいと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

椿原基史院長 椿内科クリニック6

私が大切にしている言葉に「サイエンスとヒューマニズム」があります。医療者として専門的な技術を持つことと、人として誠実であること。その両立をめざす気持ちは、ずっと変わりません。長い臨床経験の中で「ここは自分にできる」「ここは得意ではない」という線引きもはっきりしてきました。できることには自信を持って取り組み、難しいと判断したら適切な医療機関におつなぎする。その見極めを正直にお伝えすることも、かかりつけ医の大事な役割だと思っています。研修医の頃に胸に抱いた「いい内科医になる」という夢は、今も変わらず私の中にあります。この等々力の地で一人ひとりの患者さんと向き合いながら、その夢にまた少し近づけるよう、日々の診療を丁寧に重ねていきたいと思っています。