大田 貢由 院長の独自取材記事
金沢文庫消化器クリニック
(横浜市金沢区/金沢文庫駅)
最終更新日:2025/03/10

京急本線金沢文庫駅近くにある「金沢文庫消化器クリニック」。2022年に同院を開業した大田貢由(おおた・みつよし)院長は、横浜市立大学医学部を卒業後は総合病院など幅広い医療機関で消化器科医師として勤務し、日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医の資格を持つ。大腸肛門病をはじめ消化器疾患に関する豊富な経験を生かし、同院で消化器内科・肛門外科・内科・外科の診療にあたる大田院長。今では胃・大腸の内視鏡検査や、専門的な肛門疾患診療を求めて、多くの患者が訪れるようになったという。気さくで軽快な語り口も印象的な大田院長に、診療の特徴や消化器診療に対する思いを聞いた。
(取材日2025年1月29日)
胃・大腸の内視鏡検査と肛門疾患の診療を専門に
こちらの特徴を教えてください。

消化器疾患や肛門疾患に関する幅広い診療を専門的に行っていることですね。質を意識して胃と大腸の内視鏡検査を提供することを心がけています。加えて大腸肛門病専門医でもありますので、いわゆる痔などの肛門疾患については診断の上、日帰り手術を実施することも可能です。クリニック名に「消化器クリニック」と入っていますので、胃や大腸など消化器に関するお悩みを抱えた患者さんや、肛門のトラブルでお悩みの患者さんが多く受診されます。消化器や肛門に関するお悩みは、年齢問わずお持ちの方が多いので、年齢層にはあまり偏りがなく、若い方からご高齢の方まで幅広く来てくださっていますね。
内視鏡検査と、痔など肛門疾患の診療が中心なのですね。
最近は、患者さんがよく調べて来院されるので、当院には風邪の患者さんはほとんど来られません。胃や大腸の症状があるので、疾患がないかどうか内視鏡で調べてほしいという方が多いですね。肛門科にも対応できるということが浸透してきて、痔でお困りの患者さんも多く来てくださるようになりました。肛門科はまだ認知度が低く、どこで診てもらえるのかわからないと迷われている方も多いようです。自分の専門としてきた分野のお悩みで地域の方に頼っていただけるのは本当にありがたいことだと思っています。
開業までの経緯について、聞かせてください。

私は1991年に横浜市立大学医学部を卒業後、横浜市立大学附属病院で研修医として学び、消化器外科の医師として第二外科教室に入局しました。天才外科医を主人公とする有名な漫画に憧れて医師になったので、もともと外科医になりたかったのです。勤務医時代は、主に直腸がんなど大腸がんの腹腔鏡下手術を中心に研鑽を積み、横浜市立大学附属病院はもちろんのこと、横須賀共済病院、横浜市立市民病院などの総合病院や、静岡県立静岡がんセンターなどさまざまな医療機関で経験を積んできました。開業の直前には横浜市立みなと赤十字病院の大腸外科で部長も務めていました。「自身のこれまでの知識や経験を生かして、手術が必要となる前の患者さんの診療にも携わっていきたい」と思い、2022年に当院を開業しました。
負担の少ない内視鏡検査に注力。痔の日帰り手術も行う
内視鏡検査にはどのような特徴がありますか。

麻酔科の医師の監督のもと、苦痛を抑えるために鎮静剤を用いた胃や大腸の内視鏡検査を実施しています。患者さんの血圧や呼吸状態を管理した状態で、安全性重視かつ適切に検査が行えるように工夫しています。痛みやつらさを心配される方が多いのですが、安心して受けていただけると思います。また、せっかく検査を行うのですから、幅広い消化器疾患を正確に診断することを特に重要視して検査にあたっています。
特に大腸内視鏡検査に力を入れておられるそうですね。
はい。大腸内視鏡検査の大きな目的は、大腸ポリープや大腸がんの早期発見です。大腸ポリープや初期の大腸がんは便潜血検査で判明しない場合もあり、無症状のケースも少なくありません。そのため、便秘や下痢などの便通異常が続いた場合や、便潜血検査で陽性になった場合はもちろんのこと、ご家族に大腸がんの方がいらっしゃる場合や、40歳を過ぎた方は何もなくても大腸内視鏡検査を受けていただきたいと思います。私はこれまで、専門家として数多くの大腸内視鏡検査を行ってきました。その経験を生かして、精度の高い検査を提供できることが強みだと自負しています。大腸ポリープの切除術や胃と大腸の同日検査にも対応しています。検査においては患者さんの負担ができるだけ少なくなるよう配慮しておりますので、安心して当院にお任せいただけたらと思います。
肛門外科ではどのような診療を行うのですか。

代表的な肛門疾患は痔ですが、一括りに痔といっても、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)の3種類はそれぞれ違う病気であり、治療法も異なります。痔核は便秘がちな方が排便の際に強くいきんだり、デスクワークなど長時間同じ姿勢をとり続けたりして、肛門に負担がかかったりすることでなりやすいと言われています。裂肛は頑固な便秘や頻回な下痢など、排便習慣の問題から肛門上皮が切れて裂けた状態。痔瘻は細菌感染により肛門の周囲に膿がたまり、断続的に膿が外に出るトンネルができてしまった状態です。一番多いのが痔核で、根治をめざすためには切除か、痔核を退縮させるため薬を注入する硬化療法が必要です。当院では、切除に比べて低侵襲で術後出血の危険も少ない硬化療法を日帰り手術で行っています。裂肛は排便習慣などの改善も必要になります。一方で痔瘻は難しい病気で、手術や手術に準じた治療が必要となります。
予約や問診をデジタル化して効率よく診療時間を確保
開業から3年を経て、どのような思いがありますか。

勤務医時代の私の仕事の多くは、診断のついた患者さんを対象に治療の説明をしてご理解いただき、実際に治療を行うことでした。しかし地域のクリニックでは、まだ診断のついていない患者さんを診て、診断や治療に必要な情報を集めていくことも重要な役割です。患者さんの症状は、いわゆる教科書的なものだけではなく多岐にわたります。患者さんのキャラクターや背景もさまざまですから、それに合わせた対応や治療が必要であり、ガイドラインに合わせた治療だけでは駄目で、毎日が勉強だと感じています。それと同時に、医学的にも社会的にもやりがいがあり、「開業して良かったな」と実感しています。
診療の際、どのようなことを大切にされていますか。
患者さんにうそをつかないことと、患者さんの意見をしっかりと聞くことですね。「どんなふうに症状を伝えれば良いかわからない」などと悩まれる患者さんも多いと思うのですが、私としては、伝え方に悩まず素直に言ってもらえるのが一番わかりやすいですし、うれしいです。一見、「これは関係ないかな?」と思うようなことでも、診断の際には役に立つ場合がありますから。気になることは気軽に話してほしいですね。私自身も、患者さんが話しやすい雰囲気をつくるように心がけています。話の内容だけでなく顔色や触診などから幅広く情報を集めて診断することも大切にしていますね。また、予約や問診、治療の同意書の署名も全部デジタルででき、ほぼペーパーレスになっています。利便性高く、多忙な働き世代の方にもより受診していただきやすくなりましたし、デジタル化で効率的にすることで、患者さんとじっくり話し合う時間を確保したいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

消化器疾患は非常に幅が広く、「おなかが痛い」という主訴の中に数多くの病気が考えられます。そのため、患者さんにはぜひ消化器外科専門医をはじめとする専門の医師のいる医療機関を受診することをお勧めします。肛門疾患も同様で、大腸肛門病専門医でないとなかなか診断が難しいケースも少なくありません。当院は、内視鏡検査と肛門疾患に関する専門性と多くの症例経験を備えていますので、そこは頼りにしていただければと思っています。病診連携も構築できており、がんが疑われる場合や痔で入院治療が必要な場合などは、信頼できる専門施設にご紹介します。便秘や下痢などの排便トラブルや肛門のお悩みは、受診しにくいと感じる方もいるかもしれませんが、受診のハードルを上げることなく、気軽な気持ちで受診してください。気になる症状があるときは、ぜひ気軽に専門の医師のいる医療機関へご相談いただけたらうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃内視鏡検査(検査のみ)/1万5400円~、大腸内視鏡検査(検査のみ)/1万9800円~