重大な病気を未然に防ぐための
生活習慣病管理と受診のタイミング
吹田SST野中クリニック
(吹田市/岸辺駅)
最終更新日:2022/04/28


- 保険診療
40代頃を目安に、悩まされる人が徐々に増えていく生活習慣病。初期症状がないため、放置してしまう人も多い疾患の一つだ。しかし、放置された生活習慣病は体にダメージを与えており、やがて心筋梗塞や脳梗塞などの重大な合併症を引き起こすリスクが非常に高いのだという。吹田市にある「吹田SST野中クリニック」の野中道仁院長は、心臓外科の医師として先端の治療に携わってきた過程で「早期からの生活習慣病の管理の重要性」を実感し、患者のライフスタイルに合わせた生活習慣病の管理方法を提案する医師の一人だ。そこで今回は、生活習慣病とはどんな病気なのか、どんなリスクがあるのか、野中院長に詳しく聞かせてもらった。
(取材日2022年4月20日)
目次
初期症状のない生活習慣病だからこそ、早期の受診で「今できること」を始めてほしい
- Q生活習慣病について教えてください。
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A
▲生活習慣病はさまざまな要因が重なり、体に異常となって表れる
生活習慣病は、食事や運動、喫煙、休養、飲酒などの生活習慣を原因として引き起こされる疾患の総称です。バランスの悪い食習慣や運動不足、ストレスのかかる不規則な生活など、長い時間をかけて積み重なった良くない習慣や、遺伝的要因、環境的要因が組み合わさって体の異常となって表れます。代表的なのは、血液中の血糖値が高くなる糖尿病、脂質代謝に異常が現れる脂質異常症(高脂血症) 、高血圧症や肥満、メタボリックシンドロームなどが代表格です。発症しても初期は自覚症状がなく、気がつかないうちに進行することから「サイレントキラー」とも呼ばれています。
- Qどんな症状が表れるのでしょうか?
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A
▲ライフスタイルに合わせた生活習慣病の管理方法を提案している
実際に自覚症状が出る段階になると、実はかなり進んでいて、相当な異常値になるまでは「自分が病気である」という自覚を持つことは難しいのではないかと思います。なんともないと思って暮らしていたのに、ある日健康診断で異常値を指摘されてびっくりする人がほとんどなんですよ。また、40代頃になると周りにも患っている人も多くなるため「体質のようなもの」と誤解して、きちんとした対策を行わない人も少なくありません。糖尿病だから、高血圧症だからと慌てる必要はありませんが、一度は受診して自分の体の状態について把握し、医師と今後の対策について相談することをお勧めします。
- Q生活習慣病はなぜ治療をしなくてはいけないのでしょうか?
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A
▲早期からの生活習慣病の管理を大切にしている
生活習慣病の一番の怖さは、痛みや苦痛がないのに脳や心臓、血管などに重大なダメージを与えていることです。脳や心臓、血管は、生命の維持に欠かせない中枢を担う器官です。これらがダメージを受け続けると、ある日耐えられなくなり、命に関わるような重大な疾患に襲われることになります。心筋梗塞や心不全、脳梗塞、 閉塞性動脈硬化症を起こしてしまえば最悪の場合は命を落とすことになりますし、命が助かったとしてもQOLに大きな影響が出るでしょう。それよりいくらかマシだとしても、手術が必要になるかもしれません。そうならないためには、適切に生活習慣病をコントロールし、自分の体に不要なダメージを与えないことが大切なのです。
- Q生活習慣病の治療に注力しようと考えたきっかけは何ですか?
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A
▲待合室には誰でも利用できるよう血圧計を設置している
私は心臓外科の医師として、これまで病院で多くの先進的な治療に携わってきました。実際に心臓手術の執刀も担当しましたが、心臓の手術はある意味で生死の最前線だと思います。手術を受けることになればご本人はもちろん、ご家族も不安から涙を流されます。その姿を見ているうちに「適切に生活習慣病を管理していたら、この人たちは泣かなくて済んだのではないか」と思うことが増えました。皆さんの想像以上に、悪化した循環器疾患の治療の現場には患者さんやご家族の涙が流れているんです。だから私は、無自覚に体を痛めつけ、悲しい結末を迎える人を本気で減らしたいと考えるようになったんです。
- Qどんなタイミングで受診すると良いでしょうか?
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A
▲悪化してから後悔しないよう、難しく考えず気軽に受診を
一つは健康診断で引っかかった場合ですね。これは、本当に良いタイミングだと思います。健診は病気の可能性を探る検査でもありますので、異常値が出たからといって「即治療」となるわけではありませんが、受診をしておけば「その時点から始められること」があります。悪化してから後悔するより「これから気をつけよう」と思えるほうがいいじゃないですか。だから、このタイミングは逃さないでほしいです。また、風邪などで受診する機会があれば、待合室の血圧計を使ってみるのも良いかもしれません。診察の時に結果を見せてもらえれば、アドバイスできます。そういった意味では「今」がベストタイミング。難しく考えず、気軽に受診してください。