西洋薬、漢方薬を上手に取り入れ
大きな病気の予防につなげる
吹田SST野中クリニック
(吹田市/岸辺駅)
最終更新日:2022/07/21
- 保険診療
吹田市にある「吹田SST野中クリニック」は、一般内科診療はもちろん、循環器疾患や生活習慣病、外科処理まで幅広く対応するクリニックだ。心臓外科の医師として先進の治療を手がけてきた野中道仁院長は、西洋医学はもちろん東洋医学への造詣も深く、治療には漢方薬を活用しているという。「これまで心臓血管外科の現場で生死に関わる病気と格闘してきた経験から、病気にならないよう予防することの大切さを実感しています。来院してくださる皆さんが少しでも「自分の未来を健康なものにしたい」と思ってもらえるような診療をしたいと思っています」と語る野中院長にとって、漢方薬とはどんなものか。西洋薬との比較とともに、詳しく教えてもらった。
(取材日2022年4月20日)
目次
西洋薬も漢方薬も手段の一つ。「今よりもっと健康な未来」をつくるために活用することが大切
- Qクリニックでは積極的に漢方も取り入れられているそうですね。
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A
私は心臓外科で手術をしてきましたので、西洋医学について徹底して学んできました。しかし、患者さんを元気にするための方法は、なんでもいいとも思っています。当院を受診していただいた患者さんには、少しでも多くの選択肢を持っていただきたいと考えていますので、漢方薬も選択肢の一つとして取り入れています。こちらから提案することもありますが、興味があればぜひお声がけください。
- Q西洋薬と漢方薬のそれぞれ異なる特徴について教えてください。
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A
西洋薬の最大の特徴は、病気に対する「直接的な治療が得意」ということです。西洋薬は科学的根拠のもと研究・実験を重ねて作られており「病気そのもの」をターゲットとして働きます。原則的に科学的に合成された単一成分で作られているため、特定の症状に対しての即効性が期待できます。一方、漢方薬のターゲットは「病気を持つ人」です。長い歴史の中で培われた伝統医学をもとに作られており、複数の有効成分を含んだ植物や動物、鉱物でできているため、全身に広く作用するという特徴があります。どちらもそれぞれにメリット・デメリットがありますので、それらを理解して使うことが大切です。
- Q漢方に対するイメージにギャップを感じることもあるそうですね。
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A
漢方薬に「高い」「即効性がない」など、ネガティブなイメージを持っている人は多いですね。しかし、漢方薬にも保険は適用されますし、一人ひとりの状態や体質や症状に合わせて処方される点も西洋薬にはない漢方薬の良さだと思います。そして、実は即効性が期待できる漢方薬もあるんですよ。漢方薬を日常に取り入れ、自分の体調のコントロールのために活用するといった使い方もありますし、妊活中や妊娠・授乳中の女性でも使いやすいと思います。「病気の治療」だけでなく「病気の予防」のために活用することができるのも、漢方ならではの魅力ですね。
- Q漢方が適しているのはどんな症状でしょうか。
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A
漢方を用いる場合は症状の緩和だけでなく、心身のバランスを整えることを大切にします。ですから診療科目は関係なく、すべての心身の症状が対象です。症状はあるのに西洋医学では原因が見つからない、治療をしても症状が改善しないという場合には、漢方薬を試してみると良いでしょう。イライラや動悸、冷え性や消えない疲労感など「病院を受診するほどでもないけどちょっとつらい」と感じる症状があれば、漢方治療や生活習慣の改善を試してみるのも一つの方法です。これをきっかけに「今よりもっと健康な未来」へ関心を持ってもらえたらうれしいですね。
- Q高血圧症や糖尿病などの生活習慣病にも適用できますか?
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A
生活習慣病は、これまでの生活習慣や体質も大きく関連している病気です。時には重大な合併症を引き起こす可能性もあるため、緊急的に血圧を下げたり、数値を改善したりするために西洋薬を使用する必要があるかもしれません。しかし、早期から医療介入ができれば、食事や運動といった生活習慣の改善を図りながら、漢方薬による全身へのアプローチも行い、大きな病気のリスクの軽減につなげたいと考えています。もちろん「すべてを漢方薬で」とはいかない場合もありますが、そもそもの目的は「元気な体をつくること」であって、「治療そのもの」ではありません。目的が達成されれば方法はなんでもいいので、希望があれば気軽に伝えてください。