不妊治療で気になる
人工授精の痛みやスケジュール管理について
桂駅前 Mihara Clinic
(京都市西京区/桂駅)
最終更新日:2024/08/21


- 保険診療
妊娠を希望しているカップルが1年以上妊娠しない場合を「不妊症」と呼ぶ。不妊治療は「何をするのかわからない」「不安で行きづらい」「費用がかかるのでは」と、ためらう人が多いのも事実だ。「特に女性側の加齢とともに、妊娠の可能性はどんどん低下してしまう。ぜひ早めに相談に来てほしい」と話すのは「桂駅前 Mihara Clinic」の北宅弘太郎院長。同院は京都府で長年不妊治療に携わる京都の産婦人科病院「身原病院」の分院で、妊娠を希望するカップルに寄り添うため駅近くのサテライトクリニックとして、人工授精などの不妊治療に注力している。今回は、日々多くのカップルに向き合う北宅院長に、不妊治療を始めるタイミングやその方法、中でも人工授精に関する疑問について聞いた。
(取材日2024年4月15日)
目次
人工授精は本格的な不妊治療のスタート。心身ともに負担が少ない治療で妊娠を望むカップルをサポート
- Q不妊の原因は何ですか? また、不妊治療を始めるタイミングは?
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A
▲悩まずに、まずは気軽に相談をすることが大切
女性側の原因としては、「排卵障害」「卵管因子」「子宮内膜症」「子宮因子」「卵巣予備能低下」などが挙げられます。男性側の原因としては、「勃起不全」「射精障害」「精液所見不良」などが挙げられます。医学的には不妊症は「カップルが避妊をせずに1年間性交を行っても妊娠しない状態」と定義されています。しかし、女性の加齢とともに不妊治療の成績が下がっていくことが証明されています。月経周期のいつ初診予約を取れば良いのかと悩む人が多いのですが、いつでも構いません。可能な検査から順番に受けていただくことができます。不安があればカウンセリングだけでも問題ありませんので、まずは予約して相談に来院いただきたいです。
- Q不妊治療の種類について教えてください。
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A
▲日本生殖医学会生殖医療専門医の北宅弘太郎院長
不妊治療の種類は大きく3つに分けられます。一つは基礎体温や超音波検査、尿検査などから排卵日を予測し性交渉を持つ「タイミング療法」。排卵しにくい場合や黄体ホルモンが不足していると思われる場合には内服薬や注射を用いることもあります。2つ目は排卵期に合わせて子宮内に精子を注入する「人工授精」。これらの治療で妊娠が成立しなかった、または妊娠が難しいと予想される場合には3つ目の「体外受精」が選択肢となります。不妊治療は、患者さまそれぞれに合った治療法があります。その方の年齢やご夫婦の考え、置かれている状況などを考慮して、適した治療法をご提案することを大切にしています。
- Q人工授精に向いている人、向いていない人がいるのでしょうか?
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A
▲リラックスして診察が受けられるように配慮がされている
精子の数が少ないまたは運動不良などの男性因子、勃起不全や射精不全、性交痛などの性交障害、精子と頸管粘液の相性が良くない免疫性不妊などが不妊の原因となっている場合に人工授精は適しています。逆に人工授精に向かないのは、卵管に癒着や閉塞がある場合、子宮内膜症、精子の所見が極端に悪い場合です。人工授精は採取された精液から精子を抽出・洗浄・濃縮し、子宮内に注入する治療です。妊娠に必要な「受精」以降の部分は体内での自然の力に委ねられますので、受精以降の過程に問題がある場合には有用ではありません。また女性が高齢の場合、ほかの治療法を提案すべき場合もあります。
- Q人工授精はやはり痛いのでしょうか?
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A
▲不妊治療の専門家によるカウンセリング実施
人工授精自体はほとんど痛みがなく、数分で終わるため痛みの心配をする必要はありません。子宮の中に挿入するチューブもやわらかい樹脂製の管を用いて行います。したがって麻酔や鎮痛剤は原則必要ありません。ですが、それでも不安な気持ちが強い場合には事前にご相談ください。痛みの感じ方はそれぞれですし、恐怖心が大きくなると、不妊治療そのものが精神的につらい治療となってしまいます。そうなる前に医師やスタッフがしっかりと相談に応じます。また男性は、精液を採取する以外に特に必要なこともありません。妊娠を願うカップルに、心身ともに負担の少ない治療を提案していますので、悩まずにまずは相談に来ていただければと思います。
- Q人工授精のスケジュールについて知りたいです。
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A
▲患者のさまざまな悩みに寄り添う。まずは気軽に相談を
まずは月経が来たら受診していただき、必要書類の説明・お渡しや排卵誘発剤の処方を行います。超音波で卵胞の観察、必要に応じて尿検査を行って排卵日を予測します。条件がそろった時点で人工授精の日程をご相談の上で決めます。当日、提出していただいた精液から、運動精子をできるだけ抽出し、子宮内に注入します。帰宅後は特に安静にする必要はなく、普段どおりに過ごしていただいて構いません。スポーツを楽しんでいただいても大丈夫です。スケジュール管理を気にされている方も多いですが、必ずしも「その日だけ」ということはないので、来ていただける日の中で選択するといった方法でよろしいかと思います。