股関節の痛みをほっとくとどうなる?
重症化の前に専門家の診断を
はしもと整形外科リハビリクリニック
(西宮市/西宮駅)
最終更新日:2025/05/08


- 保険診療
赤ちゃんから高齢者まで、幅広い年齢層に生じる股関節の病気。高齢者に多い変形性股関節症など、エックス線で特定しやすい病気もあれば、股関節の診療経験を積んできた医師でないと、診断を確定するのが難しい病気もある。股関節痛の原因特定がスムーズにいかず治療が遅れると、手術をしなくてはいけなくなったり、治るのに時間がかかるようになったりするという。「股関節の病気は早くきちんとした診断を受けて、治療を開始することが重要。痛みを感じたら、放っておかずに早めに受診してほしいですね」と「はしもと整形外科リハビリクリニック」の橋本慎吾院長。股関節専門の整形外科医として経験を積んできた橋本院長に、突然股関節が痛いと感じ歩けない状態になった時の原因や股関節を専門とする医師を受診するメリットなどについて話を聞いた。
(取材日2025年3月13日)
目次
急な股関節の痛みには、専門家の診断と適切な治療介入で慢性化・重症化を防ぐ
- Q股関節の突然の痛みで歩けない場合、どんな原因がありますか?
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▲「痛みがあった時は我慢しすぎないことが大事」と話す橋本院長
股関節痛と一言でいっても、年齢や性別、痛みが出るタイミングなどによって考えられる原因は異なります。代表的な原因は、関節内にある軟骨や関節唇といったクッションの減少・変形、先天的な股関節の不安定性に伴うもの、骨自体の損傷や壊死、股関節周囲にある筋肉の強さや柔軟性のアンバランスなど。また、股関節痛はじわじわと痛くなってくる場合もあれば、急に右だけが痛いと感じ歩けなくなるなど、片側だけに突然出たりすることも多いんですよ。痛みを我慢しすぎると適切な治療のタイミングを逃してしまい、手術をしなければいけなくなったり、治療の反応が悪くなったりすることがあります。
- Q股関節の悩みは赤ちゃんから高齢者まで幅広くあるそうですね。
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▲痛みが1週間以上続くようであれば、早めに受診を
股関節の病気はたくさんあり、どの年代でも起こる可能性があるんです。赤ちゃんでは生まれつき股関節が脱臼していたり、かぶりが浅いことがあります。幼稚園や小学生になると大腿骨頭すべり症やペルテス病、スポーツに励む年代では股関節唇損傷や寛骨臼形成不全、インピンジメント症候群、鼠径部痛症候群などが見られます。年配の方で多いのは変形性股関節症や大腿骨頭壊死、リウマチ性股関節症です。後期高齢者では転倒による大腿骨頸部骨折のリスクが高まります。赤ちゃんであれば健診で指摘された時や足の動きの左右差を感じた時など、それ以外の年代では痛みが1週間以上続くようであれば、早めに股関節を専門とする医師を受診してください。
- Q若い人やスポーツをする人ほど早めの相談が良いと聞きました。
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▲少しでも早く復帰するためには、早期の診断と治療介入が必要
はい。小さいお子さんの大腿骨頭すべり症やペルテス病は早期の治療や手術が必要です。スポーツをしている人に多い股関節周囲剥離骨折も放置すると骨のズレが進み、手術が必要になる場合もあります。鼠径部痛症候群でも、治療開始が遅れると痛みが長引き、回復に時間がかかるようになってしまいます。結果、長期離脱や引退を余儀なくされるアスリートの姿を見てきました。少しでも早くフィールドに戻るには早期の診断と治療介入が必要。その他、寛骨臼形成不全や関節唇損傷などを放置すると変形性股関節症に移行しやすい病態もあり、若いうちに人工関節手術が必要となることも。股関節痛は早期に診断をきちんとつけてもらうことが大切です。
- Q股関節を専門とする医師を受診するメリットとは?
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▲年齢や性別、ライフスタイルを考慮した提案を行う
治療の引き出しの多さでしょうか。例えば中年以降の変形性股関節症で手術が必要となったときに、股関節が専門外の場合は人工股関節手術一択となる場合も少なくありません。しかし、股関節を専門とする医師の場合、年齢や性別、ライフスタイルを考慮し、関節を残す骨切り術や関節鏡視下手術を提案できます。また、変形性股関節症や寛骨臼形成不全はエックス線である程度診断できますが、鼠径部痛症候群のような筋肉のバランスや柔軟性に問題があって痛みが出ている場合は、エックス線では異常が見つからないことも。このような機能障害の早期改善には、股関節の診療経験が豊富にある医師を受診して、診断をつけてもらうことが重要です。
- Q貴院の診療の流れや特徴について教えてください。
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▲理学療法士が体全体を観察しながらリハビリを進めていく
入室時の歩き方の確認に始まり、痛むようになったきっかけやライフスタイル、将来的な要望をお聞きするとともに、股関節の可動域や筋力をチェックし、エックス線撮影やエコー検査で骨や関節、筋肉の異常を確認します。これでおおよその診断がつくので、必要であればこの段階で一度、投薬やリハビリテーションなどを行います。当院のリハビリでは、理学療法士が積極的に関わって、痛い部位だけでなく、体全体を観察しながら進めます。その時に心がけているのは患者さんが求めるレベルに沿ったリハビリの提供。スポーツをしている子にはフォームの指導もしますし、高齢者には筋力をつけて少しでも長く歩けることなどを目標に進めていきます。