橋本 慎吾 院長の独自取材記事
はしもと整形外科リハビリクリニック
(西宮市/西宮駅)
最終更新日:2022/11/30
臨港線沿いの、阪神・阪急バス浜松原町バス停近く。コープ西宮南店3階にある「はしもと整形外科リハビリクリニック」は、一般整形外科からリハビリテーション、スポーツ整形外科まで幅広い診療を展開する地域のクリニックだ。院長を務める橋本慎吾先生は、神戸大学医学部附属病院で得意とする股関節手術を数多く行ってきた実績の持ち主。「『これは仕方がない』と私たちが言ってしまえば、そこで終わってしまいますから」と、症状の原因追求と根本的な改善治療にあくなき情熱を注ぐ。フランクな話しぶりで子どもから高齢者まで、どの年齢の患者からも慕われ、頼りにされる橋本院長に、同院の診療コンセプトやリハビリテーションの特徴、開院から1年を過ぎた現在の状況などをじっくり聞いてみた。
(取材日2022年10月27日)
大学病院と同じレベルの診療の提供をめざす
まずは、こちらで受けられる診療について教えてください。
当院は、運動器全般の疾患に対して診療を行うクリニックです。肩や首の凝り、腕や肩が上がりにくいといった日々の症状、骨折・捻挫・打撲などの外傷、椎間板ヘルニア・骨粗しょう症・変形性関節症・リウマチなどの病変、スポーツ障害から足に関わる対策まで、年齢を問わず幅広くカバーしています。また、股関節をはじめとする下肢関節は私の専門領域で、20年近く勤めた神戸大学医学部附属病院では人工関節置換術や骨切り術、さらにアメリカ留学で培った股関節鏡手術を得意としていました。股関節を含む体幹のゆがみや機能障害が、スポーツ障害や慢性の痛みにつながっているケースが多いもの。安心してスポーツを楽しみ、自分の足で元気に歩くためにも、慢性の痛みなどでお悩みの場合はぜひ一度ご相談ください。
診療で大切にしているコンセプトは何ですか?
地域の患者さんに対して、大学病院と同じレベルの医療を提供することですね。高齢者の慢性の痛みやスポーツ障害では原因がはっきりしないケースがありますが、よく調べてみると骨盤や脊椎、あるいは膝や足首、肩など、さまざまな部位に機能障害が隠れていることが多いもの。体全体に目を向けることで、手術をせずともリハビリなどの保存療法によって機能回復がめざせる可能性が見つかるかもしれません。そうした丁寧なアプローチを行うことで、地域の方々の生活が少しでもプラスになればという思いで診療にあたっています。「とりあえず痛み止めを」ではなく、どのような症例であってもとことん原因を調べ、きちんと病態を把握した上で再発しない体づくりをめざします。
先生の専門とする股関節障害について教えてください。
日本人で多いのは寛骨臼(かんこつきゅう)形成不全という股関節の屋根が浅い状態で、中高生になってから痛みが出てくる人もいます。また、最近はスポーツ中や日常の動作の中で痛みが出る股関節唇損傷という病状が目立ちます。さらに中高年になれば変形性関節症なども増えていきますが、いずれにしてもリハビリや体の使い方によるコントロールを基本とし、それでも改善が見込めない場合は股関節鏡手術や人工関節手術をご提案する場合があります。保存治療か手術かというのは微妙な問題で、比較的若い方であればご自身の関節の温存にウエイトを置きますが、一方で中高年の方に関しては生活の質をいかに担保するかが最大のテーマです。どちらのほうが人生が豊かになるか、その方のライフスタイルに合った選択をすることが重要なわけですね。
痛みを取り除き、再発しない体づくりをめざす
こちらではリハビリテーションにも力を入れていますね。
はい。当院には理学療法士が在籍し、痛みの改善だけでなく機能回復や再発予防に向けたリハビリテーションを展開しています。理学療法士がマンツーマンとなり、一般的な肩凝りや腰痛、関節痛などに対するリハビリはもちろん、当院では中高年の方はもちろん、スポーツに携わる小中学生や高校生、アスリートたちの抱えるさまざまな障害にも積極的に取り組んでいます。私が大学病院で手術に明け暮れていた頃、手術が適応でない患者さんは紹介元の先生方のところへお返しするのですが、そこでどのようなリハビリを受けておられるのか正直ずっと気になっていました。自分の目の届く範囲でリハビリを行える施設があればというのが、私が自分のクリニックの開院をめざしたきっかけでもあります。
スポーツ障害に対するアプローチについて教えてください。
スポーツ障害は、スポーツに伴う外傷と過度なスポーツなどで起こる障害に大別されますが、いずれの場合も原因の検証や適切なリハビリが重要な鍵となります。外傷性のものに関してはまず痛みを取ることを重視し、休まなければいけない時は休ませ、固定が必要であれば固定する。ある程度まで緩和されれば、バランスパッドなどを使ってしなやかな筋肉と関節に戻していきます。一方でフォームの間違った身体の使い方による痛みの場合、フォームの指導やテーピングによるバランスの改善、必要に応じてインソール(靴の中敷き)などを用いながら痛みの少ない環境をつくっていきます。当院のスポーツ障害の患者さんは小中学生が多いのですが、体の不調や痛みを単なる成長痛とは片づけず、ぜひ整形外科に相談してもらえればと思います。
どのような思いで子どもたちに接していますか?
どうしても、つい無理をしてしまうのが子どもです。けがをする子は同じ場所を何度も繰り返す。それをいかに防ぐかを考えなくてはなりません。痛みなく最大限のパフォーマンスを出しきるのがスポーツの醍醐味ですから、そのサポートを多少なりともできればと考えています。専門性の高い理学療法を導入しているのは、そういう思いからですね。あと、スポーツをやっていれば誰にも大切な試合、大切な瞬間というものがあるはずです。ただ安静にさせておけばいいというだけでなく、その子がその出場にどれほどのウエイトを置いているのか、将来はどうしたいのか、そのあたりの状況や希望を聞いた上で、できるだけ意向に沿ってあげられる存在でありたいと考えています。
人生の貴重な時間を痛みで失ってはならない
先生ご自身もスポーツマンとお聞きしました。
スポーツは学生時時代にいろいろやりましたが、一番長かったのは野球ですね。打席ではとにかくバットを振り回し、送りバントは嫌いでした(笑)。試合にはもう長く出ていませんが、小学生の2人の息子と親子でキャッチボールしたりバッティングセンターに行ったりすることはあります。スポーツでけがをした人の気持ちは、私にも経験があるのでよくわかります。高校で野球をやっている時は肘や足、膝を痛めましたし、冬のマラソン大会に向けた授業でひどく足を痛め、原因がわからないままテーピングで本番を乗り切った思い出があります。今であればインソールを作るなど、さまざまな対策ができたでしょう。困った時は、自分で無理をせずに専門のクリニックに相談してみてください。
今後、注力していきたい治療はありますか?
当院で注力していきたいと考えているのは、体外衝撃波治療などの新しい治療を融合したリハビリテーションです。体外衝撃波はもともと尿路結石や腎結石を破砕するための機械を運動器に応用したもので、外部から衝撃を加えることで痛みの原因物質の発生を減らすことがめざせます。ほかにも筋肉自体のリラクゼーションや抗炎症などの期待もされています。世の中には、さまざまな症状に苦しみながらずっと改善されずに悩んでおられる方が大勢おられます。整形外科として、1つでも2つでも可能性があるのなら試してみる価値はあるのではないか。ひとえにそうした思いで取り組んでいきたいです。
最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。
急性・慢性に関わらず、痛みやしびれ、機能障害を感じた時は早めの整形外科受診をお勧めします。スポーツをやっているお子さんの場合も、1週間、2週間と痛みが続くようなら一度ご相談ください。専門家として適切な診療やアドバイスが提供できると思います。子どもたちが一生懸命やっていることは、みんなで応援してあげたいじゃないですか。もちろん成人もご高齢の方も同様です。スポーツであれ一般生活であれ、やりたいことをやってハッピーに生きる時間は大切です。そのサポートとして、整形外科は特に身近な診療科ではないかと私は考えています。人生の貴重な時間を充実させる、そのお手伝いをぜひさせていただければと思います。