胃と大腸の検査を一度に実施
1日で行う消化器の内視鏡検査
松本医院
(横浜市港南区/上大岡駅)
最終更新日:2022/03/01
- 保険診療
食道、胃、十二指腸までを観察する上部消化管内視鏡検査、大腸および直腸を観察する下部消化管内視鏡検査は、それぞれ胃カメラ、大腸カメラとも呼ばれる検査だ。がんやポリープ、炎症などを見つけ、治療に結びつける重要な検査だが、胃や大腸の中を空にする必要があるため、どちらも半日はかかる。そんな胃と大腸の内視鏡検査を同日、一度に行っている医療施設もある。上大岡駅から徒歩約10分のところにある「松本医院」もその一つだ。大学の関連病院で内視鏡検査の経験を積み、開業した自身のクリニックでも胃と大腸の内視検査を同日一度に行っている松本慧徳(けいとく)院長。それぞれ単体で行う内視鏡検査との違いはあるのか、一番のメリットは何なのかなどの話を聞き、具体的な検査の様子をレポートした。
(取材日2021年10月14日/更新日2021年11月1日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q内視鏡検査に力を入れているのはなぜですか?
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A
内視鏡については、大学の関連病院に勤務していた時に勉強させていただきました。そこでは上部消化管内視鏡検査と下部消化管内視鏡検査の両方に対応していましたが、検査を受ける皆さんが全員、病気を早期に発見できるというわけにはいかず、がんが進行しているような方もいらっしゃいました。僕の専門は消化器外科なので、当時は自分で病気を見つけて、自分で手術を執刀するまで、患者さんを担当させていただくことができましたが、クリニックでは手術になった時から手が離れてしまいます。少しでも早い時期に病気を発見することの大切さを経験してきたことから、当院では内視鏡検査に力を入れていくことにしたのです。
- Q胃と大腸の内視鏡検査を同じ日に一度で受けられるそうですね。
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A
胃と大腸の内視鏡検査が一度にできると言うと、皆さん驚かれます。勤めていた病院が胃と大腸の検査を同時に行っていたことから、そこで数多く携わってきました。1日で胃と大腸の検査ができることは、日々忙しい患者さんにとって大きなメリットではないでしょうか。内視鏡検査では、胃も大腸もおなかの中を空にしますから、両方一度に行うことはとても合理的だと思います。当院のスタッフもこの検査方法に慣れているので、下剤の使い方や検査の手順もスムーズです。大腸の内視鏡検査からスタートするのですが、その時に少し強めの安定剤を使い、その流れで胃の検査へと移行することで患者さんが楽に検査を受けられるよう配慮しています。
- Q患者側の準備や手順、使用する機器などに違いはありますか?
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A
胃と大腸の内視鏡検査を単体で行う場合と一度に行う場合とで、患者さん側の準備や手順に大きな違いはありません。検査時間もほとんど変わりません。内視鏡は時代の変化に合わせて進歩しており、当院でも、画像が鮮明で拡大すると組織まで見ることが可能な機種を使用しています。今後は、AIによるダブルチェックができるシステムも普及してくると思うので注目しています。また、当院ではストレッチャーベッドを導入しており、大腸の検査から胃の検査へ移行する時に、患者さん自身で向きを変えていただく手間もなく、検査後も患者さんは眠ったままの状態で、ベッドごとリカバリールームへ運ぶことができます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1検査前の診察と問診
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問診では、服用している薬を確認。特に抗血栓薬を服用している場合は、検査の何日か前から服用を止めるよう指示が出ることもある。ポリープが見つかり検査のために組織を採取する際、血が止まりにくい状態になることを避けるためだ。緊急を要する場合は、診察を受けたその日に内視鏡検査を受けることもあるが、通常は別日に検査を予約。検査前の食事や検査当日の説明を受ける。
- 2下剤の服用
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当日の朝は食事を抜き、検査の約1~2時間前に下剤を飲む。クリニックから家まで近い人や比較的年齢が若い人は家で下剤を服用してもらい、遠方から来る場合や高齢者はクリニック内で服用する2通りの方法で対応。家で下剤を服用する場合は、便がどのような状態になったら検査が受けられるかが判断できる写真などを渡して患者本人が確認。クリニックで再度、看護師による確認を受けて検査へと進む。
- 3検査
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安定剤を注射し眠っている状態で検査を受けるため、目が覚めたら検査は終了している可能性もあるという。検査は下部消化管内視鏡検査からスタート。検査時間は約10分。続く上部消化管内視鏡検査は5~10分。検査中、簡単に切除できるタイプのポリープが見つかった場合はその場での処置が可能だ。かなり大きなポリープが見つかった場合は、後日、再び日にちを設けて切除するということも。
- 4検査後、リカバリー室で休憩
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検査後はリカバリールームへ移動して休憩。同院ではストレッチャー式のベッドを採用しているため、検査中だけでなく検査室からリカバリールームへの移動も患者がベッドに寝た状態のまま行うことができる。通常の検査のように一度起きる必要がないので、患者の負担が少ないスムーズな検査が可能だ。30分~1時間ほど休憩している間に目が覚めるので、着替えて診察室へ移動する。
- 5検査結果を聞く
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診察室で、検査結果の説明を受ける。付き添いの人がいる高齢者は、一緒に診察室へ。大きなポリープを切除した場合は、1日様子を見て翌日来院となることもあるが、ほとんどの場合、その日1日で胃と大腸両方の検査と検査結果の説明まで受けることができるという。ポリープの組織などを採取した場合は、約2週間後に再度来院して組織検査の結果報告を受ける。