40代のめまいは男性更年期障害?
セルフチェックして泌尿器科へ
かねみつクリニック
(大阪市城東区/今福鶴見駅)
最終更新日:2023/11/30


- 保険診療
男性更年期障害の存在は、最近知られるようになってきたばかり。働き盛りの40~50代に、「不定愁訴」と呼ばれる原因不明の不調が出ている場合、背景には男性更年期障害がある可能性も考えられる。「男性更年期障害の影響でめまいや心の不調が現れると、仕事がはかどらなかったり、家庭不和につながったりと日常生活に支障を来すこともあります」と話すのは、「医療法人あとま会 かねみつクリニック」の理事長を務める泌尿器の専門家・金光俊行先生。男性更年期障害はまだ認知度が低いこともあり、相談先がわからず、周囲の理解も得られずに悩んでいる人は少なくないという。今回は原因や症状、どの診療科に相談すべきか、検査や治療はどう進むのか、生活習慣との関わりといったポイントを、この病気の診療に力を入れている金光先生に詳しく聞いた。
(取材日2023年8月31日)
目次
40~50代のめまいは男性更年期障害かも。性機能低下が生じることもあるため泌尿器科受診の検討を
- Qめまいの原因が男性更年期障害の場合もあると聞きました。
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A
▲男性更年期は、加齢によるホルモンバランスの乱れにより起こる
めまいは男性更年期障害の代表的な症状です。めまいがあるときは耳鼻科に行くのが一般的でしょう。しかし耳鼻科的な所見では問題がない、原因がよくわからない場合、男性更年期障害の可能性があります。なぜ、男性更年期障害でめまいが出るのかというと……。そもそも男性更年期障害は、主に加齢に伴い男性ホルモンの一種「テストステロン」が減少することで生じます。テストステロンが減ると、脳はもっとホルモンをつくれと睾丸に命令するのですが、それは脳にとって大きなストレス。脳の中枢が担う自律神経のコントロールに悪影響を及ぼすことがあるのです。こうして生じた自律神経の乱れが、めまいをはじめとする諸症状につながっていきます。
- Qめまいの他に、セルフチェックできる症状はどんなものですか?
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A
▲AMSスコアという問診票に記入し、診療を行う
症状は多様で、不定愁訴の背景に男性更年期障害があることが少なくありません。「精神症状」としては、やる気が出ない、集中が続かない、怒りっぽくなる、落ち込むといった気分の不調や、寝つけない、夜中や早朝に目が覚めてしまうといった睡眠障害が生じます。「身体症状」としては、節々の痛みのような整形外科的な症状や顔のほてりが生じる場合も。性欲減退や勃起不全をはじめとする「性機能の低下」も代表的な症状です。当院には、集中力が途切れて仕事に支障が出ている方や、「妻から最近怒りっぽいと言われた」などご家族から指摘を受けて、受診する方もいらっしゃいます。睡眠障害や男性器に関わる相談で来られるケースも多いですね。
- Qどんなタイミングで泌尿器科に相談すればいいのでしょう。
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A
▲エコーを使用し、前立腺の状態などを確認する
働き盛りの40~50代の方に先ほどお伝えしたような症状が急に現れたら、受診をお勧めします。特に複数の症状に悩んでいる方は男性更年期障害の可能性が高いため、勃起不全など男性器の悩みも扱える泌尿器科にかかると診断・治療がスムーズだと思います。ただ、どの泌尿器科でも男性更年期障害を診ているわけではありませんから、当院のように対応可能なクリニックを探しましょう。他にも、めまいは耳鼻咽喉科、心の問題は心療内科といった形で症状に合わせて診療科を選ぶというのも一つの方法です。テストステロンの減少以外の因子が絡んで男性更年期障害の症状が出るケースもありますので、当院でも他科との併診をお勧めすることがあります。
- Q泌尿器科では、どのような検査・治療を行うのですか?
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A
▲男性ホルモンを補うため注射治療を行う
AMSスコアという問診形式の質問票にご記入いただき、それをもとに問診を行います。その結果、男性更年期障害が疑われたら、血液検査でテストステロン量を測ります。テストステロンの量は一日の中で変化するので、最も多い朝の測定が必要です。このため受診された時間帯によっては、土曜午前中などに再来院をお願いすることもあります。次に治療については、注射による男性ホルモンの補充療法が中心です。当院では多くの場合、並行して体質や症状に合わせた漢方治療もご提案しており、半年ほどホルモン補充療法を行った後は、漢方薬のみの処方とすることもできます。またテストステロンの減少を防ぐには、生活習慣の改善も有用となります。
- Qテストステロンの減少を防ぐために有用な生活習慣とは?
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A
▲男性更年期は、精神状態や身体症状の変化など多岐にわたる
テストステロンの減少には、生活習慣の乱れやストレス、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病も関与するとされており、運動、睡眠、食を見直すことが大切です。ただ激しい運動は逆効果ともいわれるので、適度に体を動かす程度にとどめましょう。睡眠に関してはなるべく質を高め、ストレスをためないように意識してみてください。また食生活では、栄養をバランス良く取ることを心がけていただければ。特定の栄養素の有用性については現状明確なエビデンスがなく、「これを摂取するといい」とは言えませんが、過剰でない範囲で、亜鉛やトリプトファン、タンパク質などを含む食べ物やサプリメントを取る分には問題ないと思います。