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難治性過活動膀胱に新たな治療法
ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法

かねみつクリニック

(大阪市城東区/今福鶴見駅)

最終更新日:2021/10/12

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  • 保険診療

女性に多く、冬には患者が増加するという過活動膀胱。本来ならば少しずつ尿意を自覚し、自らの意思でトイレを我慢することもできるが、重症化するとその「当たり前」が困難になってしまう病気だ。さらに難治性の場合、患者の生活の質が著しく低下する恐れがあるという。なかなか症状の改善が見込めず苦しむ患者を救いたいという情熱のもと、「かねみつクリニック」の金光俊行院長は、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を実施。日帰りで受けられる保険適用の手術で、日常的な薬の服用は不要だそうだ。導入している医療機関が少ない中で、新たな治療の選択肢としてボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を提案する院長に、具体的な治療内容や手術の流れについて聞いた。

(取材日2021年9月21日)

検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!

Q過活動膀胱とはどのような病気なのですか?
A

過活動膀胱は、我慢できないレベルの尿意が突然起きる病気です。人間は本来、最初に尿意を感じたときに排尿するか我慢するかを選択します。過活動膀胱の患者さんにはこの選択肢がなく、トイレへ行く時間すら我慢できずに漏らしてしまうタイプの過活動膀胱は「Wet OAB」、尿失禁とまでいかなくても切迫感が続く過活動膀胱は「Dry OAB」と診断されます。過活動膀胱は40歳以上の日本人の8人に1人の割合で認められます。原因は高血圧や糖尿病などの疾患や年齢が因子の一つと考えられていますが、実際は不明のものも多いです。治療は薬物療法が基本となり、3ヵ月服薬を続けても改善が見られない症例は「難治性」と診断されます。

Q治療法はどのようなものがありますか?
A

通常は薬物療法や、生活の中で取り組める運動、飲食での工夫などの行動療法を行っていきます。この方法を続けて期待する変化が見られない、難治性と診断された場合にはボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法が選択肢としてあがってきます。これは膀胱の内部の筋肉にボツリヌス毒素製剤を注入して筋肉を弛緩させることで過敏になっている神経伝達の抑制を図るものです。日本では2020年4月に難治性過活動膀胱に対してこの方法が保険適用されました。手術ですので通常のお薬の処方よりも一度の出費が大きくなります。ですが、継続的なお薬の処方や通院が不要となりますので、患者さんにとってメリットになるのではないでしょうか。

Qなぜボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を導入されたのですか?
A

過活動膀胱のお薬を出すだけなら、教科書を読めば泌尿器科以外の医師でも可能です。地域のクリニックとして、泌尿器科医の私に何ができるかを考えたとき、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法が誰かの救いになるかもしれないと思いました。患者さんの中には、薬物療法では効果が十分でない方や、副作用によって長期間の服用が難しい方もおられます。特に「Wet OAB」の方は、QOL(生活の質)が低い生活を毎日過ごしていらっしゃいます。欧米では日本に先行してこの手術療法が広がっていて、日本でも承認されたタイミングで「患者さんに対してベストを尽くす姿勢が大事」と思い立ち、一歩踏み込んだ治療を行うことにしたのです。

検診・治療START!ステップで紹介します

1医師による問診と検査

問診では症状が出始めた時期、これまでに受けてきた治療、アレルギーの有無などを回答。過活動膀胱の重症度合いを判定する「OABSS」という質問票にもチェックを入れる。検査結果と今までの治療経緯など総合的に確認の上、継続した薬物療法が困難だと判断された場合や、難治性と判断された場合に手術が適用となる。採血検査で尿の混濁や尿路感染の有無を調べ、感染している場合は先にそちらの治療を受ける。

2麻酔処置

手術中は尿意を感じる場面があり、ボツリヌス毒素製剤を注入する際は痛みも生じるため、施術は麻酔下で行われる。同院では、膀胱領域の痛覚を低下させる仙骨硬膜外麻酔という局所麻酔を使用。下半身麻酔よりは作用が弱く、必要な箇所だけに働かせていく麻酔なのだという。麻酔にかかる時間は10~15分ほど。

3手術

麻酔の効きを確認後、手術を開始。膀胱鏡という専用のカメラがついたスコープを尿道から挿入し、まずは膀胱内に水を入れて膨らませていく。その後、膀胱壁の筋肉に20箇所ほど注射針を刺して、ボツリヌス毒素製剤を注入していく。処置は10分程度で終了するが、麻酔の状態やイレギュラーな事態が発生したときのことを考えて、時間に余裕を持って受診するのが好ましいそう。

4リカバリー

手術後はリカバリールームへ運ばれ、処置室のベッドで30分ほど休憩する。麻酔から覚めたら一度実際に排尿を行い、尿がきちんと出ているか、残尿量が多くないかなどを確認。問題がなければ帰宅が可能だ。院内にいる時間は、トータルで1時間が目安。

5定期的な通院で効果を確認

施術から1週間後に受診し、手術前と同様にOABSSへのチェックと尿の検査を実施。客観的な視点から手術前後の状態を比較していくため、検査内容は大きく変えないのだそうだ。次回はそこから2週間後、さらにそこから1ヵ月後と期間を空けながら、術後の状況を確認していく。

ドクターからのメッセージ

金光 俊行院長

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の持続期間は永続的ではありません。そこで一つ提案したいのが、症状が強く出ることの多い冬は手術、尿量が減る夏は薬物療法と、使い分けていく方法。患者さんにごとに適切な治療法は異なるため、薬物療法の一辺倒ではなく、このような選択肢があっても良いのではないでしょうか。難治性過活動膀胱、特に「Wet OAB(切迫性尿失禁)」でお悩みの方は、こうした治療法のことを知っていただき、治療の選択肢に入れていただければと思います。コロナ禍において入院手術はハードルが高いでしょうし、金銭的な負担もあると思いますが、当院では日帰り手術で対応していますのでご相談ください。

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