山名 則和 院長の独自取材記事
やまな脳神経クリニック
(京都市伏見区/藤森駅)
最終更新日:2023/05/19
京阪本線藤森駅から伏見街道を南に5分ほど歩いた場所にある「やまな脳神経クリニック」。患者が受診しやすいスペースづくりをめざしたという院内には、カフェのようなくつろげる空間が広がっている。院長を務める山名則和先生は、大規模病院で長年にわたり手術やカテーテル治療などの経験を積んだ脳神経外科のエキスパート。病気の予防や早期治療の重要性を強く感じるようになり、開業を決意したという。同院では、映像や音楽を鑑賞しながら受けられる先進MRIを導入。MRIによる脳疾患の早期発見・治療をはじめ、脳卒中予防、肩凝りや腰痛といった身近な症状の診療まで幅広く対応する。「診療の際には患者さんのお話をじっくり聞くことを一番大切にしています」と柔和に語る山名院長に、開業の経緯から今後の展望までたっぷりと語ってもらった。
(取材日2023年4月20日)
不安を抱える患者が受診しやすい雰囲気づくりを大切に
院内はまるでカフェのようなくつろげる雰囲気ですね。
脳神経外科と聞くと、敷居が高いイメージを持たれる方も多いかもしれません。そうした印象を取り払い、誰もが安心して受診できるスペースづくりをめざしました。待合室の中央に背もたれのないクッションを置いて開放感を出し、車いすやつえを使っている方もストレスなく通行できるよう、診察室までの動線は一直線にしています。また周囲を気にせず読書やパソコン作業ができる壁向きのカウンターも設置しました。「カフェみたい」というお声をよく耳にしますが、そう言われると私もうれしいですね。
先生はなぜ開業を選ばれたのですか?
脳神経外科の医師の多くは手術に主眼を置いているため、開業をめざす先生はごくわずか。私も約20年間さまざまな病院の脳神経外科で手術を行いながら、京都大学の講師なども務めていて、開業するつもりはありませんでした。ところがせっかく治療しても術後や慢性期に受け入れてくれる医療機関が少なく、再発してしまう患者さんもいらっしゃったんです。病気が悪化して社会復帰も難しくなる患者さんを多く見るにつれ、病気の予防や早期治療、再発防止の重要性を強く感じるようになりました。それが「自分のクリニックをつくろう」と思った一番のきっかけです。この場所を選んだのは、伏見が地元であるとともに、すぐ近くに国立病院機構京都医療センターがあり、連携しやすい立地だったからです。
クリニックの理念や診療体制についてお聞かせください。
大きな病院ではすぐに予約が取れず、次回は1ヵ月後というケースもあるかもしれません。症状や心配があってもなかなか病院に足が向かない、そうした患者さんに即日のMRI検査と診断を提供し、安心して帰っていただくことが一番の目標です。MRI検査を行うと、いろいろな病気が見つかることがありますので、ぜひ早めにご受診いただければと思います。現在、毎週土曜日は二診体制で診療しています。京都医療センターから、第1・3・5土曜日は脳神経外科の先生、第2・4土曜日は脳神経内科の先生に来ていただいているんです。患者さんの待ち時間を減らすとともに、脳神経内科の診療を行うことでパーキンソン病など神経難病の患者さんもお支えしたいと考えています。
どんな患者さんが来院されていますか?
地域の方を中心に多くの方に来ていただいています。開業当初は脳卒中の診療をメインに考えていましたが、現状としては頭痛で悩む患者さんが多くいらしていますね。近年片頭痛に有用な注射薬も複数種類あり、当院でも治療を行っています。2021年の開業から2年が経過し、クチコミや患者さんからの紹介で来院される方が増えているようにも感じますね。
先進MRIで、脳疾患の早期発見・早期治療をサポート
性能にこだわったMRIを導入されているとお聞きしました。
当院のドーム型MRIはオランダ製で1.5テスラという磁力のモデルです。鮮明な画像が得られるだけでなく、検査時間は約12分ほどで、音も小さく抑えられているため、閉所が苦手な方にも受けていただきやすいのが特徴です。また検査前後や検査中に映像や音楽を流せるシステムを搭載していることもこだわりの一つ。MRI室の壁にも映像を投影していますので、リラックスして検査に臨んでいただけると思います。アニメを流したり照明を変化させたり、ちょっとしたアトラクション感覚を味わえるため、お子さんたちにも喜んでいただけるでしょう。加えて検査の残り時間も表示されるんです。閉所が苦手な方や今までMRIが苦手だった方にもぜひ検査を受けていただきたいですね。
他の医療機関との連携の際にも役立っているようですね。
大きな病院と同じくらいのクオリティーの画像を提供できると自負しています。万が一脳梗塞などで救急搬送が必要な場合も、事前にMRIで診断がついていればすぐに治療を始められますので、性能にこだわった装置は重要だと思いますね。また最近では、近隣の開業医の先生からMRI検査を依頼されることも増えてきました。これまでは頭部をメインに撮影していましたが、ご依頼に合わせて、腹部、肩関節、膝関節なども撮影できるよう専用機器を取りそろえています。
患者さんと接する際にはどんなことを心がけていますか?
一番は患者さんのお話をじっくり聞くことですね。お話をよく聞き、適切な診療を行うよう心がけています。中には話すのが苦手な方もいらっしゃいますので、うまく聞き出すために信頼関係を築くようにも努めています。説明する際も、患者さん専用のモニターに複数の画像を映してわかりやすくお話しします。カルテの入力は専門のクラークというスタッフが行い、私自身は必ず患者さんのほうを向いて目を見て話すよう心がけているんです。丁寧な診察にはどうしても時間が必要ですし、緊急性のある患者さんを優先する場合もあります。お待たせしてしまうこともありますが、できるだけスムーズに行うよう努めていますのでご理解いただけますと幸いです。
少しでも気になる症状があれば早めに受診してほしい
さまざまな病気のリハビリテーションにも対応されているのですね。
肩凝りや腰痛、手足のしびれなど、一般的な症状に対する物理療法をメインに行っています。脳神経外科は決して頭を診るだけではありません。脊髄の圧迫や椎間板ヘルニアなど、神経が関連しているケースも脳神経外科の領域です。勤務医時代に首や腰の手術も行っていましたから、そうした経験をもとに、肩凝りや腰痛にお悩みの方にも適切なアドバイスをさせていただきます。
ところで、先生はなぜ医師をめざされたのですか?
幼少期は病弱で、3日おきに扁桃腺を腫らして小児科で診てもらうような状態でした。当時の体験から、医師という職業に憧れを抱いたのかもしれません。その後小学校では野球、中学では剣道、高校では合気道、大学ではラグビーに打ち込みました。実は大学に進学する際、最初は研究者をめざして工学部に入ったんです。遺伝子工学の研究に携わり、面白かったのですが、「もっと人とじかに接しながら役に立てる仕事がしたい」と考え、あらためて医学部を受け直しました。勤務医時代は手術以外にカテーテル治療や内視鏡治療など、特に専門を決めずにいろいろなことに挑戦しました。今開業医として地域医療に携わるにあたり、その経験が生かされていると感じています。
今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。
今後いっそう地域医療に貢献していくことをめざし、将来的には法人化して分院展開することも視野に入れています。皆さんには、少しでも心配な症状があれば早めに受診し、もし病気が見つかったら速やかに治療を受けていただけますと幸いです。「頭痛くらい」と考えて、市販薬で対処している方も多いかもしれません。しかし、頭が痛い、めまいがする、しびれる、震えやけいれんがある、物忘れをするなどの症状の背後に、怖い病気が潜んでいることもあります。脳の病気は早期発見が大切。「いつもと違う頭痛がする」など少しでも気になる症状があれば、電話でもウェブ予約でも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。