中林 洋平 院長の独自取材記事
ひふみるクリニック
(堺市中区/初芝駅)
最終更新日:2023/04/13

南海バス北野田線の大野芝バス停からすぐの「ひふみるクリニック」。2021年6月に開院した比較的新しいクリニックだが、すでに地域に親しまれ、あらゆる世代が皮膚に関する相談に訪れている。中でも、院長の中林洋平先生が日本形成外科学会形成外科専門医でもあることから、強みとするのは形成外科や美容外科の診療。総合病院や大学病院で数多くの手術を担当してきた豊富な経験を最大限に生かした診療を行っている。「考えなくても手が勝手に動くほど、研鑽を積んできました」と、迷いなく言い切る姿は皮膚のことで悩む人たちの安心感につながっているのだろう。取材では、そんな中林院長にこれまでの経歴はもちろん、特に力を入れているという眼瞼下垂症の手術について語ってもらった。
(取材日2021年7月8日/情報更新日2023年4月11日)
形成外科の専門家として眼瞼下垂症の治療に注力
開院から1年以上たち、多くの患者さんが訪れているそうですね。

うれしいことに、想像していた以上に多くの患者さんが来てくださっています。当院は形成外科、美容外科、美容皮膚科の診療を中心に行っていますが、中でも注力しているのが、上がりにくくなったまぶたを治療する眼瞼下垂症の日帰り手術。ほかの相談でいらした方が、院内のパンフレットやモニター画面を見て「自分も眼瞼下垂症では?」と相談されることもありますし、インターネットなどで私の経歴や過去の手術歴を確認して遠方からも来院されているようです。開院時から翌年9月までの16ヵ月で、眼瞼下垂症の手術件数は1200件超に上ります。開院から日が浅い中で多くの実績を積めるのはありがたいことですし、医師としての自信にもつながっていますね。目の周囲を触る手術だけに、皆さんが「少しでも信頼の置ける医師を」というお気持ちで探しているのを感じ、その思いに応えなければと思っています。
眼瞼下垂症とはどのような病気ですか?
何らかの要因で、まぶたを上げようとしても上がらなくなる病気です。目が十分に開かなくなるため、まぶたが瞳孔と呼ばれる瞳の中心の一部にかぶさり、「眠そう」と思われたり、物が見えづらくなったりします。最近は、スマートフォンで撮った写真を見て気づく方もいますね。また、見えづらさを解消するために目を大きく開けようとするので、おでこにしわが寄り、力を入れることで頭痛や首の痛みを引き起こす場合もあるんです。原因のほとんどは加齢によるもので、40~50代になるとまぶたを上げる筋肉が弱まり、罹患する方が増えます。また、ハードコンタクトレンズを着用する方や目をこする癖のある方、白内障などの手術もきっかけになることがあります。ただ、気になっても「どの診療科を受診すればいいのかわからない」と、放置されるケースも多いので、まずは知っていただくために院内でも情報提供を行っています。
手術を希望する人が増える中で、工夫していることがあれば教えてください。

例えば、13時から17時半まで手術専用の時間にしていることです。より多くの患者さんに対応するため、手術に集中できる環境を整えています。また、2022年4月から笑気麻酔を導入しました。手術時の患者さんの恐怖心を和らげるためのものですが、リラックスすることで血圧が安定すると、出血を抑えやすくなり結果的にダウンタイムの短縮にもつながります。術者にとっても出血を抑えられると患部が見やすくなり、より精密な処置が可能になるというメリットもあるんですよ。ほかにも、審美面にも妥協しないというこだわりから、手術中にベッドを起こし目の開き具合を確認することや、術後に腫れと内出血予防のためのクリームを塗布していること、手術時間の短縮に努めていることも工夫の一環ですね。
厳しい修行のおかげで、手術時に自然と手が動くまでに
手術時間を短縮するためにどんなことを?

眼瞼下垂症の手術時間は、以前は1~2時間かかるのが平均的とされていましたが、私は20~30分程度で済むように努めています。手術時間が短いほど患者さんの負担が少なくて済み、術野を開ける時間が短いため術後の腫れも少なくしていけるからです。そのために私が大切にしているのは、事前準備を念入りに行うこと。行き当たりばったりではなく、「もしこういう状況になったらこうしよう」「この場合はこっちを……」と、あらゆるパターンを想定しておくんです。そうすると、前日にはすべての患者さんに対し「すでに1回手術を行っている」という感覚になり、安心して当日を迎えられます。勤務医時代を含め数多くの症例を経験してきたので、突発的なことにも慌てずに対処できるという自信につながっているのだと思います。
こうした工夫は以前から行っていたのですか?
いえ、勤務医時代に所属していた大阪厚生年金病院(現・地域医療機能推進機構大阪病院)の形成外科で、師匠である部長から準備の大切さを徹底して教えてもらったおかげです。例えば、「こういう手術をします」と術前に報告すると、ほぼ毎回突っぱねられていました。「自分の家族にもこの手術をするのか?」と。そこで、さまざまな論文を読み漁って熟慮し、「B案にさらに私が考えた分をプラスして、これで行きます」と報告して初めてOKが出るといった、まさにマンツーマンの指導でした。厳しくはありましたが、その代わりに手術は任せていただけましたし、患者さんへの対応や他科との連携についても学ぶことができました。こうした経験を積めたからこそ、今では手術中に頭で考えなくても自然と手が動くまでになったのかなと思います。
そもそもなぜ形成外科を専門にしたのですか?

薬の処方で治療するのではなく、自分の手で患者さんを救いたいという気持ちがあったように思います。外科なら、手術で患者さんの状況を変えることが可能ですし、マイナスをプラスできるかどうかも自分の努力次第です。明確に形成外科を志したのは、研修医の時に乳がんや舌がん切除後の再建術を見て、まるで魔法のような手技だと感動したからです。体内にある腫瘍やがんの切除の場合、ここを切ってこうつなぐという、おおよその手順が決まっているんですが、形成外科の再建手術には独創性があると感じました。乳房の再建には腹直筋や広背筋、さらには人工物を使うこともあります。そうしたさまざまな手法の中から何を選択するかを考えて取り組むことが楽しいのです。
皮膚の悩みに応え、生まれ育った地元に貢献したい
開業のきっかけを教えてください。

大阪厚生年金病院に勤務して4年目に、師匠である部長が異動になったんです。それをきっかけに、「自分の力でやっていこう」と考えるようになり、開業を意識しました。とはいえ、全身麻酔による入院が必要な再建手術はクリニックでは難しいので、日帰り対応が可能な局所麻酔を用いた手術を軸にしたいなと。そのためには柱になる診療が必要だと思い、得意とする眼瞼下垂症の手術を中心にすることにしました。この地を選んだのは、自分が生まれ育った場所だから。当院の前の通りは小さい頃に自転車で走っていたんですよ。「開業するなら地元で」と思っていたので、以前弁当屋があった場所に薬局を誘致し、駐車場だったところにクリニックを建てたんです。
内装などで工夫した点があれば教えてください。
院内は白を基調に清潔な雰囲気を心がけ、受付前の待合は吹き抜けにして広がりを感じてもらえるように設計しています。レイアウトも工夫しながら、中待合も作りました。中待合があることで、患者さんは「次に呼ばれる」と心の準備ができますし、採血などの検査を待ってもらうこともできます。それから、女性の患者さんが多いのでパウダールームにこだわったり、ロゴマークは動物の胴体に当院の名前をコラージュして、お子さんにも親しみを感じてもらえるよう工夫したりと、あらゆる面に配慮して快適に通院できるような環境を整えています。
最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

湿疹から慢性、難治性の疾患まで、皮膚のお悩みがあればまずはご相談ください。完全キャッシュレス制を導入しているので、手術費の支払いがしやすいと思いますし、感染症対策にもつなげており、安心して通っていただけるのではと思います。また、当院では基本的に形成外科疾患については保険診療を行っています。眼瞼下垂症の手術も条件がそろえば保険内で受けられますので、多くの方に知っていただきたいですね。そうして、眼瞼下垂の手術件数が日本一と呼ばれるようなクリニックをめざしていきたいと思います。そのためにも妥協することなく研鑽を重ね、院内のアップデートも図っていくつもりです。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみのケア/5mmまで:5000円、ほくろ・イボの除去/5mmまで:5000円、脱毛/脇:4400円